【米国株動向】ブルックフィールド・インフラストラクチャとネクステラ・エナジー、より注目すべきインフラ銘柄は?

モトリーフール米国本社、2020年11月6日投稿記事より
インフラ銘柄への投資を検討する上で、その企業が現金を生み出す大規模で必要不可欠な有形資産を保有しているかは非常に重要な点です。
しかし、ブルックフィールド・インフラストラクチャ・パートナーズ(NYSE:BIP)とネクステラ・エナジー(NYSE:NEE)を投資対象として比較する場合、最終的に投資家がインフラ分野へどのように投資したいのか、という点が重要になります。
以下は、各銘柄を理解するための手引きです。
スペシャリスト
ネクステラ・エナジーは傘下にフロリダ州最大の電力事業を有します。
リタイアしたベビーブーマーが温暖な気候で、税金の低い同州に流入するに伴い人口は増加しており、これがネクステラの顧客基盤拡大につながっています。
同社は近年、アトランタを拠点とする電力・天然ガス供給会社サザン・カンパニーからフロリダ州の公益事業を獲得し、同州での位置づけをさらに高めました。
規模が拡大し、より多くの資産を稼働できれば、ネクステラが電力料金の引き上げを実現するチャンスも高まります。
これらの公益事業はネクステラの中核であり、それを基盤に同社は再生可能エネルギー事業を展開しています。
再生可能エネルギー部門は同社の第3四半期利益の4割程度を構成しており、太陽光発電および風力発電における世界最大の事業者の1つです。
さらに、同事業のパイプラインには15ギガワット相当の複数の電力プロジェクトが控えていることから、今後も優位な位置づけを維持するはずです。
再生可能エネルギー事業はネクステラの成長エンジンです。
ネクステラは年間配当の引き上げを四半世紀以上続けており、過去10年の年間増配率はおよそ10%にのぼります。
高水準の配当成長率は同社の成功の証であり、少なくとも2022年までは継続する見込みです。
しかし、配当利回りは1.9%(執筆時点)と、公益事業者としても同社の過去の数値と比べても非常に低い水準にあることから、現在の株価が決して割安ではないことを示しています。
ネクステラはインフラ分野の中でも電力および再生可能エネルギー事業に注力する配当成長銘柄といえます。
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ゼネラリスト
MLP(マスターリミテッドパートナーシップ、共同投資事業形態)であるブルックフィールド・インフラストラクチャ・パートナーズはインフラ分野でより幅広く事業を行っています。
同社のポートフォリオは、公益事業(収入全体の28%を占める、基本的にはネクステラと類似の事業)、運輸事業(同32%を占め、有料道路や鉄道等を保有する)、エネルギー事業(同29%、パイプラインなどの資産を保有する)、データ・インフラストラクチャ事業(同11%、データ保管や携帯電話の中継塔)から構成されています。
ブルックフィールドが保有する資産は異なる種類のインフラに分散されていることに加え、地域的にも南北アメリカ、欧州、アジアなど世界中に広がっています。
ネクステラが北米を中心とした電力事業に注力しているのに比べ、ブルックフィールドはインフラ投資の総合店舗(ワンストップショップ)という側面があります。
ブルックフィールドは過去13年間、毎年増配を続けており、過去10年間の年間増配率は10%超です。
従って、増配に関してはネクステラと並びますが、ブルックフィールドの配当利回りは4.4%(執筆時点)とより高水準です。
配当成長と配当利回り両方を追求している配当投資家はブルックフィールドにより魅力を感じるでしょう。
とはいえ、ブルックフィールドの配当利回りも過去の数値と比べて低い水準にあり、現在の同社の株価はネクステラと同様に決して低い水準でないことを示しています。
同銘柄を検討する上で理解する必要がある点としては、同社はポートフォリオの資産を積極的に運用しています(片やネクステラは、資産を買収するか建設したうえで保有するといった方法を取っています)。
通常、ブルックフィールドは割安で人気のない資産を買い求め、事業運営およびキャッシュフロー改善のために投資を行います。
そして、その資産の価値が高まったら売却し、将来の買収資金を得ています。
同社の事業はこれまでのところ順調で、増配目標は年間5~9%です(もっとも同社は既にこれを達成しています)。
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どちらの銘柄に注目するかは投資スタイル次第
上記2銘柄を検討するにあたり、電力事業に注力するインフラ事業者を好むのか、インフラ分野でより幅広く事業を行う企業を好むのか、という点をまず明確にします。
事業の多角化と同じように、分散投資はポートフォリオのために有効であり、投資対象が広範にわたるということは、成長は遅くなっても確実に恩恵があるということを忘れないでください。
次に、成長と配当利回りやバリュエーションのバランスをどう取りたいかを決める必要があります。
このように比較すると、両銘柄のバリュエーションや配当成長が同程度であるなか、ブルックフィールドの高い配当利回りは多くの投資家にとってより魅力的でしょう。
とはいえ、バリュー投資家にとって、いずれの銘柄の株価も割安とは言えないので、どちらか好ましい銘柄を買い候補銘柄とし、次の市場下落時を待つのが良いかもしれません。
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