【米国株動向】株価が急騰中のナスダック銘柄は買いなのか?

モトリーフール米国本社、2020年11月9日投稿記事より
ナスダック市場はとどまるところを知らずに急騰し続けていますが、急上昇銘柄に飛びつく前に立ち止まり、一呼吸置くのが良さそうです。
中でも半導体セクターの上昇は顕著で、これらの企業では見通しが大幅に誇張され、高揚感がリスクを覆い隠している可能性があります。
投資家は変化を期待
例えば、フォームファクター(NASDAQ:FORM)の株価は年初来で44%、この1カ月で24%上昇しました(株価は全て執筆時点)。
アプライド・マテリアルズ(NASDAQ:AMAT)は直近1週間で13%上昇、KLAテンコール(NASDAQ:KLAC)は数週間で15%以上上昇、ラティス・セミコンダクター(NASDAQ:LSCC)は年初来で株価が2倍になっています。
インファイ(NASDAQ:IPHI)は先日の買収報道から1週間で30%近く上昇し、年初来では100%以上上昇しています。
業界大手のクアルコム(NASDAQ:QCOM)やインテル(NASDAQ:INTC)などが大きな比率を占める上場投資信託(ETF)のiシェアーズPHLXセミコンダクター(NASDAQ:SOXX)は2~3月の落ち込みなど歯牙にもかけず、年初来で33%上昇して過去最高値を更新しています。
株価を力強く押し上げているのは、大統領選で勝利がほぼ確定したバイデン前副大統領に対する投資家の期待感です。
トランプ大統領は中国との貿易に強硬姿勢を取り、海外企業による米国企業の買収に否定的でしたが、投資家は、バイデン氏が大統領になればこうした案件にも柔軟な姿勢を見せると考えているようです。
買収は言うほど簡単ではない
実際に、2018年にシンガポールを拠点とするブロードコム(NASDAQ:AVGO)がクアルコムを買収しようとした際、トランプ大統領は中国がモバイル技術で世界をリードするのを許すことになるとして阻止しました。
トランプ大統領はその他にも、中国企業による米国のソフトウエア企業ステインタッチの買収を阻止したり、米国のオラクルとウォルマート、そして中国のTikTokによる3社提携の条件に口出ししたり、一連のテクノロジー規制を導入して中国企業との提携を邪魔したりしています。
バイデン氏は中国との貿易関係について具体的な方針を明らかにしていませんが、少なくともトランプ大統領ほどけんか腰ではなく、理性的だと思われます。
ただし、バイデン氏が中国に対して全く強硬姿勢でないというわけではなく、同氏も米国企業が所有する知的財産の侵害については激しく抗議しており、9月には、「問題は貿易赤字ではなく、彼らが我々の知的財産を盗んでいることだ」と発言しました。
間違いではありませんが、言うは易し行うは難しで、これを解決するためには米国と中国の企業が互いの技術を使用することを禁止するしかありません。
これは半導体貿易からの撤退を意味しますが、バイデン氏が実際にそこまで踏み切るかどうかは分かりません。
前提に対する誤ったアプローチ
バイデン氏は米国の知的財産権を守り、健全な技術貿易を復活させ、国境を越えた買収を容認することができるでしょうか。
もちろん不可能ではないでしょうが、現時点で具体的な見通しは何もなく、実現までに時間がかかるほど最近の急騰銘柄にとっては重石になると思われます。
特に危ういのはラティス・セミコンダクターですが、株価が過度に上昇しているのではないかと感じられるのは同社だけではありません。
ナスダックに上場する半導体関連銘柄の一部は、インファイのように買収をめぐる憶測で株価が上昇している可能性もあります。
民主党政権の下での半導体業界に投資するなら、iシェアーズPHLXセミコンダクターのようなETFを通じて業界全体に幅広く投資するという選択肢も有効かもしれません。
フリーレポート配信
株式市場は高値圏にあり、下落・調整リスクを懸念する見方があります。そこで、市場の調整局面でも比較的安定して推移することが期待される消費財銘柄を3銘柄紹介します。こちらからメルアドを登録していただき、レポートをご覧ください。
「ディフェンシブな優良消費財銘柄3選」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)
また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。
公式ツイッターアカウント、公式フェイスブックアカウントをフォローする。
また、公式LINEアカウントの方では、投資初心者向けの情報を発信しています。