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信用銘柄や賃借銘柄とは?賃借銘柄に指定されるメリットやデメリットも解説

株式に関する情報やニュースを調べていると、自社の株式が信用銘柄、あるいは賃借銘柄に指定された、という内容の発表を見かけます。

この発表は企業の株式が信用銘柄や賃借銘柄に指定されたということになり、制度信用取引が行えることを表しています。

制度信用取引は投資を始めたばかりだとリスクの高い株式取引と思われがちですが、どういった内容なのか覚えておくとリスク管理の役に立ちます。

そこで今回は、信用銘柄や賃借銘柄に指定された株式について解説します。

制度信用取引の内容や、指定されることのメリット・デメリットも併せて解説します。

信用銘柄と貸借銘柄とは?

信用銘柄と貸借銘柄はどちらも制度信用取引の対象銘柄を指します。

制度信用取引は、取引所が選定基準を設けており、この選定基準をクリアした銘柄だけが「信用銘柄」と呼ばれます。

そして、信用銘柄のなかでさらに基準をクリアした銘柄を「貸借銘柄」と呼び、貸借銘柄に指定された銘柄は買い建てと売り建ての両方が可能となります。

つまり、信用銘柄と貸借銘柄をまとめると下記になります。

  • 信用銘柄…制度信用取引の選定基準をクリアした銘柄の総称
  • 貸借銘柄…制度信用取引の買い建て・売り建ての両方が可能な株式
  • 貸借融資銘柄…制度信用取引の買い建てのみが可能な株式

2019年度末時点で上場している全銘柄3,673銘柄のうち、信用銘柄は3,664銘柄(99.8%)、そのなかの2,185銘柄(59.5%)が貸借銘柄となっています。

つまり、信用取引を自由に行える銘柄は全体の半分ということになります。

なお、東証1部に上場している銘柄の86%は貸借銘柄に指定されていますが、東証2部やマザーズに上場している株式で貸借銘柄に指定されているのは、全体の16%から28%とそれほど多くありません。

制度信用取引の売り建てを考えていた銘柄が貸借銘柄ではなかった、というケースもありえます。

しかし、信用銘柄は制度信用取引が可能な銘柄であって、証券会社の一般信用取引なら上場しているほとんどすべての銘柄で信用取引を行うことができます。

制度信用取引と一般信用取引の違い

信用取引とは一定の保証金(委託保証金)や株式を証券会社に担保として預け、預けた保証金よりも多い金額で株式取引を行う制度になります。

投資家が保有している資産でしか株式市場に参加できないという状況は、株式市場に参加できる人を制限し、わずかな売買高で株価が大きく動いてしまい、公正な市場が形成できません。

信用取引という制度があることで、株式取引に参加できるハードルが下がり、市場の健全化が促せるという考えで導入されたのです。

信用取引には制度信用取引と一般信用取引の2種類があり、大まかに下記のような違いがあります。

  • 制度信用取引…証券取引所が定めた一定の基準を満たした銘柄(信用銘柄が対象)
  • 一般信用取引…東証に上場している株式のうち、証券会社が選定した銘柄

制度信用取引と一般信用取引の違いは、金利や貸株料、返済期限なども異なっています。

また、証券会社ごとに一般信用取引のルールが違っており、実行する際はリスクを含めて注意が必要です。

信用銘柄・貸借銘柄に指定される基準

信用銘柄に選定される銘柄の基準は、上場後、最初の約定値段が決定しており、直前事業年度において債務超過でないことです。

この基準を満たしている企業は多く、上場している企業の99.8%が信用銘柄に指定されているのも納得できます。

一方で賃借銘柄の選定基準は下記になります。

  • 流通株式の数が2万単位以上
  • 株主数が1,700人以上
  • 直近6ヵ月の売買高及び値付け率が月平均100単位以上で80%以上

上記の基準を満たしているのか定期的に選定が行われており、仮に基準を満たしていなければ取り消しとなります。

信用銘柄・賃借銘柄に指定されるメリット

上場した株式が信用銘柄・賃借銘柄に指定されると、投資家と企業の双方にメリットがあります。

投資家のメリット

投資家にとって信用銘柄や賃借銘柄に指定されるメリットは、株式取引をしたい銘柄を「売り」から始められることです。

手持ち資金で株式取引を始める場合、株式を「買う」ことから始めます。購入した株式で利益を得るには、購入したときの株価よりも高い時点で売却するしかありません。

しかし、賃借銘柄に指定された株式は制度信用取引が行えるため、株式を証券会社から借りて「売り」から始められるので、値下がり時期でも利益を得ることができます。

また、賃借銘柄に指定された銘柄は流動性が高く、「空売りが可能な銘柄」ということになります。

現物取引しかできない銘柄は、暴落局面となれば売り圧力が強まり株価が一気に下落します。

日本の株式市場では制限値幅があるため当日中の暴落にも制限はありますが、場合によっては大きな損失となります。

しかし、賃借銘柄に指定されている「空売りが可能な銘柄」は下がることで利益を得ることも可能になるため、暴落時でも空売りの買戻しが入るため値動きが緩やかになる可能性があります。

特に新興銘柄は流動性が低いこともあり、大口の投資家の売買高によっては株価が大きく変動します。

しかし、新興銘柄が賃借銘柄に指定されると空売りが可能となり、流動性が向上するため投機性が薄れます。

投機性が薄まると暴落時のリスクも少なくなるため、自然と買いが集まるというメリットがあるのです。

企業のメリット

企業のメリットは自社の株価が適正な株価を形成しやすいことです。

上記でも解説しましたが、現物取引のみの株式は、資金力のある投資家の思惑によって株価が操作される可能性があります。

売りから始められる賃借銘柄に指定されれば、買い圧力だけでなく売り圧力も強くなりやすいため、流動性と需給関係の向上が見込めます。

また、信用銘柄・貸借銘柄に指定されたことは関係各所に通達されるため、投資家の興味を誘う好材料ともなります。

信用銘柄・賃借銘柄に指定されるデメリット

基本的に信用銘柄・賃借銘柄に指定されることはメリットが多く、デメリットは少ないとされています。

なぜなら、賃借銘柄に指定されることで株価が上がる、あるいは下がるとは限らないからです。

賃借銘柄に指定されることは、あくまでも制度信用取引が可能な銘柄という意味であり、すでに一般信用取引に指定されている銘柄だとインパクトは薄いです。

一方で、空売りが可能になるということは、意図的に売り注文を出して株価を下げる「売り浴びせ」がしやすくなるということでもあります。

どちらにしても、賃借銘柄に指定されるということは流動性が向上し、取引量が増えるため、現物取引を行っている投資家は急な値動きに振り回される可能性は否定できません。

賃借銘柄の株式を調べるときは信用取引残高が重要

賃借銘柄の株式を調べるときは、制度信用取引を行っている投資家が買い建てか、売り建てのどちらを多く行っているのか調べるのが重要になります。

その際に役立つのが「信用取引残高」になります。

「空売り残高・信用買い残高」とも呼び、信用取引されたまま残っている株式の累計(残高)のことで、決済期日までに反対売買される株数を表しています。

制度信用取引は6ヶ月以内に取引を終えなければならず、決済期日までに反対売買をする必要があります。

つまり、信用買いの累計(買い銭)が増えるほど将来の売り圧力は強くなっていき、空売りの累計(売り銭)が増えるほど将来の買い圧力が増していくという予想が成り立ちます。

将来の売り圧力、買い圧力のどちらが強いのかを判断するなら信用倍率を計算しましょう。計算式は次のとおりになります。

  • 買い銭÷売り銭=信用倍率(賃借倍率)

買い銭と売り銭が同数ならば、倍率は1倍となります。

仮に、買い銭が多ければ1倍を上回り、売り銭が多ければ1倍よりも下回ります。

まとめ

以上が信用銘柄や賃借銘柄の解説になります。

賃借銘柄に指定されることは流動性と需給関係の向上が見込めるため、安定した株式取引が行える可能性があります。

一方で、売り注文がしやすくなるため、売り圧力が強まり株価が下がりやすくなるというリスクもあります。

投資をする際は、売り銭・買い銭から将来的な株価を自分なりに考えて、安全資産の範囲で行いましょう。

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