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世界最大のファンド、GPIFの投資方法と個人の投資への応用を考える

世界でもっとも大きいファンドと聞いて、皆さんはどこを思い浮かべるでしょうか。

世界一の巨大ファンドは、なんと日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。2020年9月末で、167兆5,358億円の資産を運用しています。

これだけの資金が運用されていますが、皆さんが納める年金保険料が、GPIFに集まって運用されている訳ではないです。その点に多くの誤解がありますので、お気をつけください。

日本の年金制度が賦課方式といい、今我々が払っている年金保険料は、今年金を受け取っている人のところへ行きます。すなわち、運用はされていません。

しかし、高齢化社会で、その年金保険料だけで支給される年金全ては賄えません。

それを補っているのが、このGPIFの運用するファンドです。

GPIFが運用している資金の目的は、現在の年金制度を出来るだけ長く(100年)持たせるためのバッファーとなることです。

したがって、個人の長期投資よりはるかに長い、超長期投資の視点で運用されていると言っても良いでしょう。

とはいえ、あまり長い視野だと途中の管理が甘くなったり、修正が効かなくなったりしますので、5年ごとに中期計画が策定されて運用されています。

現在のような形で、運用が開始されたのが2001年です。それから19年。2020年3末で、累積の収益額は57兆5,377億円です。

リターンとしては、2019年度末で2001年度からの年率で2.8%程度です。

超低金利の円債のウェイトが非常に高い時期もあり、エンロン・ワールドコム事件、サブプライム、リーマンショック、コロナショックと様々な難局があった時期でもありました。

その割には、比較的良い運用成績をあげているのではないかと思っています。

170兆といった金額を運用するのは当然至難の業です。

自分で自分の首を絞める(買えば上がる、売れば下がる)だけなので、機動的な運用はほぼ不可能です。

そのため、全体としては、アクティブ運用:パッシブ運用(インデックス投資)は2:8くらいの割合になっています。

そして、まだ1%未満ですが、オルタナティブ運用としてプライベート・エクイティ・ファンド(未公開株ファンド)やインフラ投資なども行っています。

GPIFのポートフォリオ

今年度からの新中期計画において策定された基本ポートフォリオは、以下の通りです。

4資産を25%ずつ4等分して保有しています。

非常にシンプルですが、相当な議論を経てこのような結果になっています。

なぜこのような形にしたのか、という議論の詳細も公表されています。

GPIFのホームページに掲載されている情報はかなり詳しく、しかも適度に専門的です。

分かりやすく書かれていますが、金融(あるいは投資理論)についての基礎知識が多少必要とされます。しかし、大変勉強になる情報が満載です。

このGPIFの運用は、先ほどのように、巨大ファンドであるが故の多くの制約条件を受けつつ運用されていることと、個人の運用とは若干異なるインベストメント・ホライズン(投資期間)と投資目的を持っています。

ただ、個人の投資のポートフォリオを考える上で、多くの示唆を含んでいることも確かです。

そうした個人のポートフォリオを考える上で参考になる点をピックアップしていってみましょう。

アセット・アロケーション

分散投資の重要性は、現代の投資理論では、ある意味最も大事なポイントの一つです。

そして、国際分散投資を行うのが最も一般的な形でもあります。

投資したもの全てを総括的にポートフォリオと言いますが、その中をどのような資産に投資の配分を行ったかで、投資のパフォーマンスの9割は決まってしまうと言われています。

また、アクティブ運用の大半がパッシブ(インデックス)運用に勝てていない、という話を聞いたことがあるかと思います。

そのため、極端な例で言えば、全てパッシブファンドでアセット・アロケーションだけを考えて運用をするのが、最も効率的な運用になります。

ただ、それでは効率的ではありますが、投資をやる意味の半分くらいを失ってしまっていると思っています。

その点については、次の項目で詳しく述べたいと思います。

アセット・アロケーションを考える上で、何を基準にどのように考えていけば良いか?

人それぞれの個別の事情もあり、万人共通の正解はないですし、個々人にとっての正解を機械的に計算する方法も、まだ十分妥当性のあるものが開発されているという状況ではありません。

AIを使ったロボ・アドバイザーというものもありますが、AIは目先に起こることの予想はある程度出来ますが、5年、10年先のことは予想出来ないので、やはりAIではなくHI(Human Intelligence 人間の知能)の出番です。

GPIFの超長期の運用を行う上で、国内の株・債券、海外の株・債券を25%に等分とした状態を基準とした方法は、自分に見合ったアロケーションを考える上で、出発点としては悪くないと思います。

そこを出発点にして、大まかにいくつかのポイントを加味しながら考えていけば良いかと思います。

リスクとリターンの関係でいえば、株は債券より期待リターンは高いが、その分リスクも大きい(統計的に、単年で2割くらいのマイナスが3年に1度くらいの割合であり得る)ので、高いリターンを目指す方向では、単年で大きくマイナスになることも覚悟の上でウェイトを増やすことになります。

期待するリターンは低いが、より安定的に資産防衛が図られるのが債券です。リスクとしては、株の1/4以下のイメージです。

リスクとリターンの関係では、株>債券、海外>国内というざっくりとしたイメージを持って、ウェイトを25%等分の状態から増減させると決めやすいでしょう。

考慮すべき項目としては、既に持っている資産と目標額との差、今後追加的に投資に回せる金額、目標とする金額を達成したい期限、どの程度の下落まで耐えられると思うか?

最後のどの程度の下落に耐えられるか、を考えるのは難しいです。

市場の環境が良い、あるいは、大きな下落を経験したことのない人は、より大きな下落まで耐えられると思う傾向があります。

実際に下落すると慌てふためくのもこの層に多いです。

少しコンサバに見積もるくらいで良いかと思います。

アクティブ・パッシブ比率

投資の目的が資産を形成し、生活を安定化させるためのバッファーであり、それ以上のものを全く求めないのであれば、すべてパッシブでも構わないです。

ただし、投資を通じて世の中の動きを知る、あるいは投資を様々なことを学ぶ機会としてとらえていただけるなら、アクティブに動かす部分は是非作っていただきたいと思います。

そして、その求める程度に応じて、アクティブファンドを入れる、あるいは個別株の投資なども入れていくのが良いかと思います。

出来れば、それもチャートを主としたテクニカルではなく、ファンダメンタルズ分析を中心とした投資の方が良いかと思います。

株の後ろ側には、リアルのビジネスが動いています。

そのビジネスのダイナミズムを知ることの面白さと、それを知ることで、本業のビジネスにも生かしていけるヒントが得られるかと思います。

ビジネスの世界と投資の世界は、相互作用的に影響を与えながら動いています。

その動きをフォローしていくために、GPIFもアクティブの投資ウェイトを少ないながらも残しています(金額的には巨額ですが)。

長期投資という点では、内外の年金基金、大学の基金などの機関投資家がどのように投資しているのかは、とても参考になります。

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