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バリュー投資のプロ、ジョン・ネフの投資手法を学ぶ

今回ご紹介するのは、プロ中のプロの投資家の一人である、ジョン・ネフです。

日本人投資家の方はあまり聞いたことがないかもしれません。

コントラリアン(逆張り)的な割安株投資が主な手法で、派手さはありませんが、多くのプロを唸らせる素晴らしい投資家でした。

彼は、米国でも有数のミューチュアル・ファンドのヴァンガード・ウィンザー・ファンドを31年(1964~1995年)運用し、S&P500に対して20勝11敗。

ほぼ2/3の勝率で、年率13.7%、S&P500が同期間に10.6%でしたので、かなり卓越したパフォーマンスを安定的に出しています。

2019年6月に87歳で残念ながら他界されています。

最盛期には、グロースのピーター・リンチ(フィデリティ・インベストメンツ)、バリューのジョン・ネフ(ヴァンガード/ウェリントン)と並び称されていました。

一線を退いた後も、アメリカの週間投資新聞バロンズのラウンド・テーブルに呼ばれて、よく発言をされていました。

全米の大学基金の運用で最下位であったペンシルバニア大学の運用を引き受け、上位5%に入るところまで改善させたことも逸話で残っています。

彼の運用するメインのファンドはヴァンガード(インデックス・ファンドで有名)のウィンザー・ファンドです。

そのため、ヴァンガードのジョン・ネフと呼ばれることが多かったですが、実際に所属していたのは、そのウィンザー・ファンドの運用を受託していた(実際に行っていた)ウェリントン・マネジメントというボストンの会社です。

このウェリントン・マネジメントは、黒子に徹する会社ですが、米国の運用業界でも非常に高い評判を集める会社です。

話を元に戻し、ジョン・ネフがプロの世界で高い名声と、高いリターンをなしえた運用方法について、話を進めていきます。

ジョン・ネフの投資手法

彼の投資法の中心的な特徴は、割安株投資(バリュー・スタイル)です。

しかも、単純な割安というよりは、逆張り(コントラリアン)です。

ともかく不人気なセクター・銘柄に好んで投資を行なっています。

ただ、大きく下落して不人気な銘柄を単純に買うということはしません。そこに必ず優良企業であることを求めます。

バリュー投資の始祖でもあるベンジャミン・グラハムは、清算価値より株価が低い銘柄は買いますが、ジョン・ネフはそれだけでは買いません。

ベンジャミン・グラハムの手法は、バフェットも当初同じようなことをやっていました。

バフェット自身はそれを「シケモク投資」という言い方をしています。

ただ、のちにバフェットも、優良企業の割安、というスタイルにシフトしていっています。

また、ジョン・ネフのスタイルでは、配当にもかなりのウェイトを置きます。

配当と値上がりを合わせたトータル・リターンを重視します。

ジョン・ネフがバリュー投資にこだわる理由

彼が、グロース投資ではなく、バリュー投資にこだわる理由について、3つの理由を挙げています。

  • 株式市場は成長性を過大評価しがちである
  • 成長株は高い成長率を継続できる期間が短いことが多い
  • 成長率は多少劣っても、配当を払っている会社は、株式市場が冴えない時でも、確実に入る配当がある分、結果としてトータル・リターンが高いケースがある

成長株投資が悪いということでもないし、どちらがより良いかは何とも言えません。

ここ4、5年はグロースがバリューを上回る状態が続いていました。

今後どうなっていくのかは、確定的なことは言えない状況かと思います。

バリューの特性として、下落相場では下落幅がグロースより少ない一方、上昇相場での上昇の仕方がマイルドという印象があります。

確かにそういった特性もあると言えばあるのですが、上昇相場でも大幅にS&P500を上回っている年もあります。

これは、市場が下落相場からの反転過程にあるときなどは、割安株の戻りは成長株の動きより激しいこともしばしばあるからです。

ここまで、ジョン・ネフの運用が配当を重視して割安投資で、単に割安ということではなく、優良企業であるかどうかに気を配っている、というところまでお話しました。

この特性のうち、最後の優良企業の判断をどのように行っているのかの基準はどのようなものでしょうか?

ジョン・ネフの考える優良企業を見極めるポイント

  • バランス・シートが健全であること
  • キャッシュ・フローが一定水準以上あること
  • 自己資本利益率(ROE)が業界平均以上であること
  • 経営者が有能であること
  • 一定の成長見通しがあること
  • 製品やサービスに魅力があること
  • その企業が属する産業が成長性を持っていること

これらは、企業を見る上で非常に重要なポイントになります。

更に、その銘柄を買うかどうかの基準として以下のようなもの(株としての魅力)を挙げています。

  1. 低PER
  2. 売上・利益の成長率が最低でも7%を越えていること
  3. イールド・プロテクションがあること(配当による下値抵抗があること)
  4. トータル・リターンとPERとの良好な関係
  5. 景気循環セクターであれば、その分、PERは低くなければならない

この中でも、特にユニークな手法と思われるのが、④のトータル・リターンとPERの関係です。

彼は、これをトータル・リターン・レシオと呼んで、投資の指標の一つとして使っていたようです。

トータル・リターン・レシオ

想定のトータル・リターン=利益成長率+配当利回り

ここでは、株価は利益成長率と同じだけ、上昇すると考えています(PERが不変であれば、理屈的に正しい)。

それに、配当利回りを加えることで、期待されるトータル・リターンが計算されます。

これは高ければ高いほど良いとされています。

一方、そうした銘柄を、出来るだけ安く、すなわち低PERで買いたい。

トータル・リターンが高いがPERが高い銘柄と、トータル・リターンは劣るがPERが低い銘柄と同比較するか、それを一つの指標で示すようにしたのが、このトータル・リターン・レシオです。

トータル・リターン・レシオ=トータル・リターン÷PERです。

PER1倍でどれだけのトータル・リターンを得られるかを示します。

例えば、トータル・リターンが20%(利益成長率20%で配当ゼロとか)の銘柄がPER30倍で取引されていれば、トータル・リターン・レシオは20÷30=0.67ということになります。

一方、利益成長率10%で配当利回りが5%ある銘柄が、PER15倍で取引されていたら、トータル・リターン・レシオは、(10+5)÷15=1.0ということになります。

ジョン・ネフ的には、トータル・リターン・レシオが高い後者の方を好むことになります。

これは、学術的な裏付けのある指標ではありませんが、実務的には使いやすい指標になるかと思います。

ジョン・ネフの運用に関して、細かくはまだまだたくさんあるのですが、もう一つの大事な点をご紹介して、終わりにしたいと思います。

彼は、個別銘柄の期待値上がり率を計算したうえで、自分のポートフォリオ全体の期待収益率を計算します。(個別銘柄のウェイトで加重平均すれば簡単に出ます)

ポートフォリオ全体の期待収益率をハードル・レート(最低目標期待収益率)とし、これを上回る収益率のものしか買いません。

また、このハードル・レートを下回る期待収益率になってしまった銘柄は売却します。

こうして、ポートフォリオのクオリティを維持しているのです。

評価のある程度定まった著名投資家の運用手法を学ぶことは、自分の運用手法をより高度化させるうえで、大変良い方法だと思います。

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