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バフェットが32年もコカ・コーラを保有し続ける理由

バークシャー・ハサウェーのポートフォリオ(即ちバフェットのポートフォリオ)に超長期で保有されている銘柄がいくつかあります。

代表的なもので、コカ・コーラ(NYSE:KO)、アメリカン・エクスプレス、ウェルス・ファーゴなどがあります。

今回は、その中でも現在、上場株式として(100%子会社になってしまったものを除く)Top3(1位はアップル、2位はバンク・オブ・アメリカ)の保有であるコカ・コーラを取り上げたいと思います。

誰もが知っている企業ではありますが、GAFAM全盛期の中で、株としてあまり話題にならず、しかも、パフォーマンス的にあまり冴えないコカ・コーラをバフェットが持ち続ける理由なども考えてみたいと思います。

コカ・コーラの株価の歴史

株価…過去5年のパフォーマンス比較(S&P500とKO) / オレンジがS&P500、ブルーがコカ・コーラ

一時的にS&P500を上回ることもありましたが、このチャートを見ると、5年間の保有でS&P500が60.5%に対して、コカ・コーラは17.6%のパフォーマンスとなっています。

バフェットのポートフォリオとS&P500との比較の際に大きな足かせになっていたことは間違いないです。

しかし、そもそもバフェットの運用は、S&P500に勝つことを目的にしている訳ではありません。

保険会社の運用であることと、良いビジネスを長期で保有することを目的としています。

その結果として投資した株価が上昇すればよく、株価が上がるかどうかよりも良いビジネス(長期で利益を上げ続けられるかどうか)ということ、すなわち株価ではなく、企業の上げる利益にフォーカスしています。

子会社として、その会社を買うのにふさわしいかどうかを考えていると言って良いでしょう。

そういう意味で、考えている次元が、普通の投資家と違うということも知っておいた方が良いかと思います。

バフェットがコカ・コーラを保有している理由

では、なぜバフェットが32年に渡ってコカ・コーラを保有し続け、今もポートフォリオの比率第3位と大量に保有し続けているのでしょうか?

当初購入した理由から掘り起こしてみましょう。

1988年にバークシャーがコカ・コーラの株を購入し始めて、それが公表されるまでに10億2,000万ドルを投じていました。

この金額は、当時のバークシャーの運用資金の1/3に達します。

そこまでバフェットがコカ・コーラを気に入った理由はなんだったのでしょうか?

この点について、バフェットの投資法を分析したロバート・G・ハグストロームの「株で富を築く バフェットの法則」に詳しく書かれています。その一部をまとめてみます。

ハグストロームはバフェットの投資法を12の原則にまとめ上げています。

事業に関する原則

  • シンプルで理解できる事業か
  • 安定した実績があるか
  • 長期的に明るい見通しがあるか

経営に関する原則

  • 経営者は合理的か
  • 株主に率直に話せる経営者か
  • 組織の習性に屈しない経営者か

財務に関する原則

  • 1株あたり利益ではなく、自己資本収益率を上げようとしているか
  • 「オーナー利益」を考えているか
  • 利益率の高い企業を探しているか
  • 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上上がるように心がけているか

市場に関する原則

  • 事業の価値はどれくらいか
  • その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

これらに即して、バフェットがなぜコカ・コーラを買ったのかを解説しています。

簡単に言えば、当時のコカ・コーラは、ほぼ全ての項目でバフェットの基準を満たしていました。

ほとんどの項目は88年に購入を開始する前にその条件を満たしており、問題は「割安で買えるか」という点でした。

80年代前半は、ペプシ・コーラがコカ・コーラとの比較広告で売上を伸ばし、攻勢をかけてきた時期です。

ブラインド・テストでペプシの方がおいしいという結果が多く出たこともあり、禁断の味を変更し、85年にニュー・コークとして売り出しました。

これが消費者に大変不評で、その2か月後には、元のコークをクラシック・コークとして復活せざるを得ませんでした。

ニュー・コークは大失敗でしたが、その失敗は非常に大きな宣伝効果となり、結果として、その後のコークの売上にはプラスになったという評価がされています。

こうした混乱や、本業と関係ないコロンビア映画を持つ(89年にソニーに売却)など、儲かってはいたものの経営が混乱していた時期もありました。

実際には、混乱を収拾しつつある時期でしたが、市場がそれを確信していませんでした。

それにより株価は低迷していましたが、その中で、バフェットは購入に踏み切っています。

コカ・コーラの未来は明るいか

では、現在でもこれらの項目は当てはまるでしょうか?

特にコカ・コーラにおいて際立っているのは、シンプルで分かりやすいビジネスであることと、安定した実績があることは、異論がないかと思います。

そして、非常に収益性の高いビジネスであることについても問題はないでしょう。

バフェットが購入し始めたころ、利益率(Net Profit Margin)は20%に到達していませんでしたが、今は24%前後となっています。

ROEに至っては、40%台から50%を伺うくらいの水準と、米国の大企業の中ではトップクラスです。10年前は20%台半ばの水準でした。

バフェットも、2018年にCNBCのインタビューで、コカ・コーラについて質問された際に、「確かに5年、10年前に比べたら、当時ほどではないが、それでもとても良いビジネスである」と答えています。

にもかかわらず、株価が低迷している理由は、長期的な明るい見通しに関して、市場参加者の多くが確信を持てていないからかと思います。

また足元では、今回のCOVID-19のパンデミックで、大きな打撃を受けてしまったこともあげられます。

コークを始めとする同社の飲料の売り上げの半分は、レストラン・バー、映画館、スタジアムなどでのスポーツイベントに絡むものです。

また、アメリカの子どもの肥満の大きな原因の一つとして、砂糖を多く含むコークなどの清涼飲料がやり玉に挙がっていること、健康志向の高まりから、成長の道筋が描きにくくなっていることが、それ以前からくすぶっています。

これらが、株価低迷の大きな要因です。

最近特に投資のテーマになっているESG的にもあまり好ましいとは思われていません。

同社の世界の飲料の売り上げの70%が炭酸系のソフトドリンクであるので、コカ・コーラ社の対策としては、炭酸系ソフトドリンク以外のビジネスを増やすことと、そして炭酸系ソフトドリンクの糖分を、味を落とさずにカットして、それを消費者に認識してもらうことが必要になります

実際、この糖分カットについては、同社のイニシアチブの一つとして行われており、実際には同社の45%のブランドが低糖もしくは無糖となっているとのことです。

日本でもミネラルウォーターで有名な「いろはす」はコカ・コーラの製品です。このように飲料水ビジネスは成長分野として世界中で拡大させています。

最近では、2018年買収したコスタ・コーヒー(Costa Coffee)で、ホットドリンクの世界にも進出しています。

今は確かにCOVID-19 の影響で伸び悩んでいます。

景気の回復、イベントや映画館の再開やレストラン・バーに人が戻り始めた時に、最もそれをプラスに享受できる企業の一つです。

しかも、この非常に儲かるビジネスのおかげで、安定した配当を出している企業でもあります。

高い配当利回り、株価の安定的な成長の観点からも保守的な投資の候補の一つになりうるのではないかと思います。

【米国株動向】コカ・コーラは第3四半期にペプシに市場シェアを奪われる

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