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金融機関が破綻した場合に預金者を守る法律や制度について解説

コロナウイルス 投資
出典:Getty Images

長引く低金利政策もあり、銀行の本業である貸出業務は低調が続いています。

2020年3月期決算では減収減益が相次ぎ、いくつかの地銀は最終赤字を計上しました。

新型コロナの影響により経済が低調のままだと、銀行をはじめとした金融機関が破綻する可能性は否定できません。

そこで今回は、金融機関が破綻した場合に預金者を守る法律や制度について解説します。

預金保険法の内容や、日本で初めて行われたペイオフについても合わせて解説します。

金融機関が破綻した場合の法律

金融機関が破綻した場合、預金者と預金者の預けた資金を保護する法律は「預金保険法」になります。

預金保険法は昭和46年に公布した金融法・行政法の1つで、預金者などの保護及び破綻した金融機関に係る資金決済(当座預金・利息のつかない普通預金など)確保を目的としており、時勢や金融環境の変化に合わせて改正が行われています。

預金保険法に基づいて預金保護などを行うのは預金保険機構で、法律において対象となる金融機関は次になります。

  • 銀行法で規定する銀行
  • 長期信用銀行法に規定する長期信用銀行
  • 信用金庫
  • 信用協同組合
  • 労働金庫
  • 信用金庫連合会
  • 中小企業等協同組会
  • 労働金庫連合会
  • 株式会社商工組合中央金庫

ただし、これらの金融機関でも海外の支店や、外国銀行の在日支店は対象外となっています。

上記に含まれていませんが、農業協同組合などは農水産業協同組合貯金保険法に基づいて農水産業協同組合貯金保険機構によって保護されます。

また、ドコモ口座やPayPayといった電子決済サービスは、記事執筆時点だと発行体の側で保有者と保有額が把握できない仕組みのため適用するのは困難となっており、預金保険法の適用外となっています。

預金保険法以外の金融機関の救済策

預金保険法は預金者の保護を目的とした法律であると同時に、金融機関を助けるのも目的としています。

預金保険機構は破綻金融機関に対して資産を切り分け、あるいは救済金融機関に対して資金援助を行います。

一方で国が破綻する金融機関を助ける救済策もあります。それは、公的資金の注入です。

公的資金は政府が金融システムを安定させるために投入する政府財政資金の総称で、これまでに銀行や信用金庫といった地域経済を支える金融システムの経営が悪化した場合に投入されてきました。

過去には1990年代の金融危機やリーマン・ショックにおいて投入されてきましたが、投入された公的資金のうち10兆円以上は回収できない損失となっています。

このため、公的資金は無駄という指摘もある一方で、新型コロナの影響で業績が悪化する中小企業や個人事業主を支援するのに欠かせない地銀への資金投入として公的資金の重要性は高まっています。

預金保険法と預金保険機構の仕組み

預金保険法では、万が一金融機関が破綻した場合に備えて、銀行を含めた金融機関は預金保険料を預金保険機構に支払い、一定額の預金などを保護する制度となっています。

これを預金保険制度と呼びます。

預金者は銀行などに預金をした時点で保険関係が成り立ち、銀行が破綻した場合は預金保険機構が救済金融機関や破綻金融機関に資金援助をするか、あるいは預金者に対して保険金を支払います。

どちらの方式でも保護される預金の範囲は同じです。

原則として、利息のつく普通預金や定期預金、掛金などは1金融機関ごとに合算して、預金者1人あたり元本1,000万円までと、破綻日までの利息などが保護されます。

1,000万円を超える部分は破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われます。

破綻した金融機関の財産状況に応じるため、1,000万円を超える部分が一部カット、あるいは全額支払われない可能性もあります。

また、1金融機関ごとに預金者が同じ口座は合算して計算するため、家庭の資産を1つの金融機関に同じ名義で預けていると合算され、1,000万円を超えた部分は戻ってこないリスクがあります。

対処方法としては、資産を1つの金融機関に集めるのではなく分散するか、あるいは同じ銀行に夫婦で口座を作り資産を分けるなどがあります。

一方で当座預金や利息の付かない普通預金などの決済預金は全額保護されます。

なお、預金保険の対象外となる預金としては、外貨預金や譲渡性預金、金融債などがあり、これはら定額保証がされておらず、破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われます。

預金者のための相殺

金融機関が破綻しても、住宅ローンなどの借り入れは消滅しません。

別の救済金融機関や預金保険機構などが住宅ローンを引き継ぎ、借入者は引き受けた金融機関に対して返済をします。

このとき、預金者が破綻した金融機関から借り入れがある場合、預金と同額の借り入れを消滅する「相殺」が行えます。

例えば、破綻した金融機関に1,400万円を預けており、同時に住宅ローンが400万円残っているとします。

預金保険法に基づき、1,000万円までは保証されますが、1,000万円を超えた400万円は金融機関の財産状況によっては戻ってきません。

このケースにおいて、戻ってくるかどうか不明の400万円の権利を放棄することで、住宅ローン400万円を消滅することができます。

相殺は破綻した金融機関で借り入れをすることと、自分で手続きをする必要があります。

預金保険に基づく「ペイオフ」の歴史

日本では1971年にペイオフ制度が設立されましたが、バブル崩壊に伴う不良債権問題が深刻化し、政府は1990年代にペイオフ制度を一時凍結し、金融機関が破綻した場合は預金の全額保護を表明していました。

ペイオフ制度のままだと、金融機関が連鎖的に破綻するのではないかという恐怖が預金者に広がり、取り付け騒ぎのきっかけとなり逆に混乱を生むのではないかと考えたのです。

実際、1927年に起きた昭和金融恐慌は、当時の大蔵大臣が間違った情報を発信してしまい、銀行が危ないという噂が全国に広まったことで表面化したといわれています。

政府は2005年にペイオフ制度を解禁しましたが、制度が誕生してから40年近くもペイオフ制度は発動していませんでした。

その間にあった銀行の経営破綻においては公的資金を注入し、国有化することで預金の全額保護を行ってきました。

しかし、2010年9月10日、日本振興銀行が経営破綻をし、預金保険法に基づいたペイオフ制度を制度創設後初めて発動しました。

当時の資料によれば、5,800億円ほどの預金のほとんどは保証される1,000万円以下の預金で、1,000万円越えの預金保険者は全体の3%弱にあたる3,560人、限度越えの預金額は約120億円です。

限度額越えの預金は、破綻後6年かけて預金者に返済をしていきましたが、弁済率は61%にとどまり、約40億円が預金者の元に戻っていません。

元々、日本振興銀行は中小企業向け融資に特化した銀行で、取り扱う預金の種類が運用目的の定期預金だけです。

当座預金や普通預金などは扱っておらず、銀行のなかでは小規模な部類に入り、銀行間市場からの資金調達もないため、金融庁は公的資金注入よりもペイオフを選択したと推測できます。

とはいえ、日本振興銀行の破綻とペイオフは「銀行が破綻すると全額は保証されない」という事実を国民に示し、預金は1口座に集めるのではなく複数の金融機関に分散させるなどの対策が広く認知されました。

まとめ

以上が、金融機関が破綻した場合に預金者を守る法律や制度についての解説です。

新型コロナによって地方銀行の収益は悪化しており、メガバンクでも口座維持手数料などを徴収する方針を検討しています。

従来の政府は銀行が破綻した場合は公的資金を注入してきましたが、銀行の規模や影響力、保証額越えの預金額によってはペイオフを選択する可能性もあります。

投資を含めて、自分の資産がどうなっているのかは定期的に確認し、リスクヘッジを行いましょう。

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