The Motley Fool

赤字決算の2社の株価の動きが大きく分かれたわけ。「出前館」と「DDHD」

先週、同じ日に決算発表をした2銘柄の翌営業日の株価が、明と暗ともいえそうな動きをしました。

出前館(2484)とDDホールディングス(3073)です。

どちらも10/15のマーケットの引け後に決算を公表しました。

筆者はどちらの株も保有しておらず、普段は気にかけたことがありませんが、たまたま15日の夜にSNSを眺めていた時に、これらの銘柄を目にして翌日気にかけていたのです。

16日、出前館は前日比700円高(+23.14%)、DDHDは前日比82円安(-11.23%)と対照的な動きとなりました。

筆者はDDHDの株価の動きには合点がいったのですが、出前館の動きには困惑させられました。

なぜなら、出前館は20年8月期本決算を15日に発表し、開示した21年8月期の業績予想は売上高こそ前期比約1.7倍であるものの、営業利益は前期比約マイナス5倍だったからです。

つまり、「収益は上がる見込みだけど、儲からない見込み」を出したのが出前館でした。

出所:出前館2020年8月期決算短信より

一見ネガティブサプライズかと思えなくもなかった出前館が株価を大きく上げ、DDHDが大きく下げたのはなぜなのか?

かたや出前を仲介する企業で、もう片方は飲食店を営む企業ですが、「食」に関わるという意味では顧客層は似ているとも思われ、たまたま同じ日に決算発表をした2銘柄を比較してみました。

そもそも、来店してもらうことが収益の柱であろうDDHDと、出前を仲介する出前館とでは、この春以降のビジネスが明と暗を分けても仕方がない点は否めないでしょう。

外出自粛を要請された期間は決して短くなく、その間デリバリー需要が明らかに増えたからです。

それは出前館の決算短信をみれば明らかです。

サービスの利用料と配達代行手数料収入が大きく伸びた結果、売上高が前期比で約1.5倍になっています。

出所:出前館2020年8月期決算短信より

一方のDDHDは、2021年2月期の第2四半期決算を公表しました。

こちらは、売上高が前期比で約40%に落ち込み、非常に厳しい経営だったことがうかがえます。

前期比で大きく赤字転落しました。

出所:DDHD2020年8月期決算短信より

実は出前館も赤字ではあったのです。しかも2期連続です。

出所:出前館2020年8月期決算短信より

2社を比較すると、2期連続で赤字決算に終わった出前館の方が市場からネガティブな評価を受けそうなものです。

それにもかかわらず、明暗が分かれたのは、違う点にあると考えられます。

以下はDDHDと出前館のB/Sの一部を抜粋したものです。

出所:DDHD2020年8月期決算短信より

出所:出前館2020年8月期決算短信より

どちらも利益剰余金がマイナスになっているものの、出前館は資本金を1年間で大きく増やした一方、DDHDは利益剰余金が60億円ぐらい減少したことで、純資産が前年同期比で大きく減っています。

出前館は昨年LINEに対して第三者割当増資を行って、資本を増強しました。

結果、いわゆる自己資本比率に大きな差が出ています。

お客様が来店することで収益を生む事業を営むDDHDは、需要の回復を見通せない状況と言えます。

そのような場合、言葉は悪いですが「この企業は生きのびれるか?」を考える投資家が少なくありません。

そのように考えられれば、株は売られることになります。

その「生きのびれるか?」を判断する指標として、自己資本比率がよく用いられます。

自己資本比率が非常に高い出前館は、少なくとも「当面つぶれない」とみなされたのでしょう。

資本を増強した出前館は、前期比で現預金の金額を大きく増やしました。

資金繰りという点で投資家に安心を与えただけでなく、「投資を強化する」と唱えたこの決算短信での表明を実行に移すにあたり、資金はふんだんにあると主張しているようにも見えます。

出所:出前館2020年8月期決算短信より

つまり、2021年8月期も営業赤字にはなるけれど、その赤字は「先行投資の強化」によるものだという主張を素直に解釈すれば、2022年8月期以降に営業黒字になるなどといった明るい見通しを立てることができたのが、出前館の株高を誘った要因と考えられます。

一方のDDHDは自己資本比率が3.7%にまで低下しました。

この数値がどの水準なら安全かといった明確な定義はないように思いますが、80%近い出前館に比べると見劣りすることは間違いなく、1桁はさすがに投資家も安心できない水準だろうと考えます。

これが大きな売りにつながった可能性があります。

出所:DDHD2020年8月期決算短信より

ちょっと横にそれますが、この水準になると、DDHDは何らかの形で増資を考慮する可能性も考慮すべきでしょう。

現時点でDDHDは2021年2月期末の業績予想を開示していませんが、半年で大きく改善するような事業環境とは思えず、最終赤字で終わることも想定すると、増資による利益の希薄化は起きないかもしれませんので、増資が経営のサステナビリティにプラス寄与すると判断されて、ポジティブに評価される可能性もあると感じます。

株主優待制度の変更も発表されたようです。

店舗で株主優待券を使っている株主には特に変化はないのでしょうが、この変更も売られる要因になったでしょうか。

株主優待制度を廃止するわけではないので、できれば店舗で使ってくださいと訴えているようにも見えます。

デリバリーやテイクアウェイが主体の飲食業以外は、厳しい事業環境が続いているように思います。

外食株ホルダーの方は今回の記事を参考にして、自分がホールドし続けるのかどうかを判断していただければと思います。

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免責事項と開示事項 記事の作者、おせちーずは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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