【米国債券ETF】ブラックロック社が運用する米国債券ETF3選

本記事では、注目すべき米国債券ETFの紹介をしていきたいと思います。
前回の記事の内容を簡単におさらいすると、債券ETFには大きく分けて4つの特徴があります。
1つ目は市場でいつでも売買ができる点、2つ目は株式のように値動きが存在する点、3つ目は様々な債券に対して分散投資をすることができる点、4つ目は解約手数料がない点です。
コロナショック後から株価は順調に回復を続け、さらに回復圏を突破し、さらなる続伸を続けていましたが、執筆時時点で米国株式市場は調整局面に突入しており、加熱相場から一転、適性株価へと押し戻しています。
現時点で、この相場の値動きは株価の調整だとみられていますが、これが本当に株価の調整である保証はなく、米国大統領選挙やコロナパンデミックの収束具合などによっては長期のリセッション入りをする可能性もあり、株式相場は非常に不安定であり、その先行きは不透明であると言わざるを得ません。
そんな中で注目したいのが債券であり、債券を保有するにあたって知っておきたいのが債券ETFとなっています。
本記事では米国債券ETFの中からブラックロック社が運用するETFについて紹介していきます。
iシェアーズ・コア 米国総合債券市場ETF
iシェアーズ・コア 米国総合債券市場ETF(NYSE:AGG)は、米国投資適格債券市場全般を表す指数と同等水準の投資成果を目指しています。
ブラックロック・ファンド・アドバイザーズによって運営されています。
設定日は2003/09/22であり、保有銘柄数は8,076となっています。
また運用手数料に相当する正味事業費率は0.04%となっています。
同ETFのファクトシートから見る同ETFの特徴は、米国の投資適格債に幅広く投資していることや、1つのファンドで低コストで米国の投資適格債券市場に分散して投資できること、安定性及びインカムの獲得を追及するために活用できることなどが挙げられます。
組入上位10銘柄は以下の通りです。
- BLACKROCK CASH CL INST SL AGENCY…9.07%
- UMBS 30YR TBA(REG A)…1.67%
- UMBS 30YR TBA(REG A)…0.99%
- FNMA 30YR 2016 PRODUCTION…0.78%
- UMBS 30YR TBA(REG A)…0.76%
- UMBS 15YR TBA(REG B)…0.68%
- GNMA2 30YR TBA(REG C)…0.65%
- UNITED STATES TREASURY NOTE/BOND 2.5% 2024/05/15…0.63%
- FGOLD 30YR 2016 PRODUCTION…0.62%
- GNMA2 30YR 2016 PRODUCTION…0.62%
続いて上位保有発行体は以下の通りです。
- 米国財務省…37.74%
- 連邦全国住宅ローン協会…8.98%
- UNIFORM MBS…6.43%
- 政府全国住宅ローン協会Ⅱ…6.11%
- 連邦住宅ローン株式会社…2.98%
- 連邦住宅ローン株式会社-ゴールド…1.66%
- バンク・オブ・アメリカ社…0.62%
- JPモルガンチェース社…0.56%
- ウェルズ・ファーゴ社…0.46%
- シティ・グループ社…0.44%
政府機関のほか、銀行系の企業の社債を多く保有していることが分かります。
資産の信用格付けの比率について見ていきます。
資産における信用格付け構成は以下の通りです。
- キャッシュ、デリバティブ等…1.05%
- AAA…68.77%
- AA…2.93%
- A…12.20%
- BBB…15.03%
- BB…0.02%
- B以下…0.00%
資産の多くが信用格付けAAAで構成されており、会社の倒産などにより社債が償還されないリスクは非常に低くなっていると言えるでしょう。
続いて同ETFポートフォリオの特性について見ていきます。
- 平均利回り…1.10%
- 過去12か月分分配金利回り…2.32%
分配金利回りは債券ETFの中でも標準的な利回りとなっています。
続いて運用実績について見ていきます。
同ETFのパフォーマンスは直近1年で8.64%、3年で5.25%、5年で4.24%、10年で3.73%となっています。
設定来では4.29%となっています。
どの期間で見てもインデックスとの差異はほとんど見られず、米国投資適格債券市場全般を表す指数と同等水準の投資成果を出すことができていると言えるのではないでしょうか。
また同ETFの基準価額はコロナショック直前の水準を上回っており、執筆時時点での基準価額は118ドル前後となっています。
iシェアーズ・コア 米国総合債券市場ETFのまとめ
iシェアーズ・コア 米国総合債券市場ETFは、長期・中期・短期の米国債券に幅広く投資されていて値動きが安定しており、年率2%台の安定した分配金利回りが期待できるETFで委託手数料も安く、定番のETFであると言えるでしょう。
構成される資産に関しても信用格付けの高い銘柄が多く、安心して長期での運用ができるETFであり、債券ETFを始めてみたい人にも適したETFだあると言えるのではないでしょうか。
iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債ETF
iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債ETF(NYSE:HYG)は、米ドル建ての高利回り社債で構成される指数と同等水準の投資成果を目指しているETFであり、ブラックロック・ファンド・アドバイザーズによって運営されています。
設定日は2007/04/04であり、保有銘柄数は1,150となっています。
また運用手数料に相当する年間運営経費率は0.49%となっています。
同ETFのファクトシートから見る同ETFの特徴は、米国のハイイールド社債に幅広く投資していることや、一つのファンドにより米国のハイイールド債券市場に投資できること、高利回り及びインカム獲得を目指すために活用することができることが挙げられます。
組入上位10銘柄は以下の通りです。
- ALTICE FRANCE SA (FRANCE) 144A(業種:通信)…0.54%
- SPRINT CORP(業種:通信)…0.48%
- TRANSDIGM INC 144A (業種:資本財)…0.44%
- BLK CSH FND TREASURY SL AGENCY(業種:キャッシュ・デリバティブ)…0.44%
- FORD MOTOR COMPANY(業種:景気循環消費)…0.38%
- FORD MOTOR COMPANY(業種:景気循環消費)…0.38%
- CENTENE CORPORATION(業種:保険業)…0.37%
- CCO HOLDINGS LLC 144A(業種:通信)…0.35%
- BAUSCH HEALTH COMPANIES INC 144A(業種:非景気循環消費)…0.33%
- TENET HEALTHCARE CORPORATION(業種:非景気循環消費)…0.33%
続いて上位保有発行体は以下の通りです。
- CCOホールディングス社…2.45%
- テネット・ヘルスケア社…1.75%
- センティーン社…1.51%
- CSCホールディングス社…1.51%
- バウシュ・ヘルス・カンパニーズ社…1.44%
- オクシデンタル・ペトロリアム社…1.38%
- スプリント社…1.26%
- HCA社…1.19%
- コミュニティ・ヘルス・システムズ社…1.19%
- トランスダイム社…1.12%
ヘルスケア関連企業が多く存在しているほか、オクシデンタル・ペトロリアム社などのように、株式投資先として挙げられるような米国銘柄なども散見されます。
資産における信用格付け構成は以下の通りです。
- キャッシュ、デリバティブ等…-0.15%
- BBB以上…0.00%
- BB…55.71%
- B…32.63%
- CCC…10.60%
- CC…0.65%
- C…0.12%
- D…0.07%
- 格付けなし…0.37%
同ETFはハイイールド社債を運用するETFとなっておりますので、信用格付けが低い銘柄が多数ポートフォリオに組み込まれています。
信用格付けBBの銘柄がボリュームですが、中には信用格付けなしの銘柄も存在していることが分かります。
続いて同ETFのポートフォリオ特性について見ていきます。
- 平均利回り…5.27%
- 過去12ヵ月分配金利回り…4.99%
ハイイールド社債で構成されていることもあり、利回りは5%前後と非常に高くなっていると言えるでしょう。
続いて運用実績について見ていきます。
同ETFのパフォーマンスは直近1年で-1.62%、3年では2.54%、5年では3.62%、10年では5.60%となっています。
また設定来では4.99%となっています。
インデックスとの差は概ね3-5ポイント前後となっており、インデックスであるMarkit iBoxx米ドル建てリキッドハイイールド指数のパフォーマンスをやや下回る実績であると言えます。
また基準価額はコロナショックから完全には回復しておらず、コロナショック直前の基準価額が88ドル前後であったのに対して、執筆時時点での基準価額は83ドル前後となっています。
iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債ETFのまとめ
iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債ETFは、信用格付けが低い代わりに金利が高い銘柄で構成され運用されるETFです。
その特徴は何といっても年率5%前後の高い分配金利回りであり、高いインカムを追求したい人向きのETFであると言えるでしょう。
デメリットとしては値動きが激しい点や委託手数料がほかのETFよりも高い点が挙げられますので、自身の投資スタイルと相談し、検討してみるのが良いでしょう。
iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF
iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF(NYSE:LQD)は、米ドル建ての投資適格社債で構成される指数と同等水準の投資成果を目指すETFであり、ブラックロック・ファンド・アドバイザーズによって運営されています。
設定日は2002/07/22であり、保有銘柄は2,275となっています。
1つのETFで2000もの銘柄に対して分散投資することができる点は非常に魅力的であると言えます。
また運用手数料に相当する年間運営経費率は0.14%となっています。
同ETFのファクトシートからみる同ETFの特徴は、米国の投資適格社債に幅広く投資できることや、1つのファンドにより1000銘柄超の高格付け社債へ投資できること、安定性及びインカム獲得を追及するために活用できることなどが挙げられます。
組入上位10銘柄は以下の通りです。
- BLK CSH FND TREASURY SL AGENCY(業種:キャッシュ、デリバティブ)…1.34%
- AT&T INC 144A(業種:通信)…0.37%
- GE CAPITAL INTERNATIONAL FUNDING C(業種:金融法人)…0.32%
- ANHEUSER-BUSCH COMPANIES LLC(業種:非景気循環消費…0.30%
- AT&T INC 144A(業種:通信)…0.30%
- CVS HEALTH CORP(業種:非景気循環消費)…0.28%
- CVS HEALTH CORP(業種:非景気循環消費)…0.26%
- AT&T INC 144A(業種:通貨)…0.25%
- MICROSOFT CORPORATION(業種:テクノロジー)…0.24%
- GOLDMAN SACHS GROUP INC(業種:銀行業)…0.24%
続いて上位保有発行体は以下の通りです。
- バンク・オブ・アメリカ社…2.99%
- JPモルガンチェース社…2.79%
- AT&T社…2.42%
- ウェルズ・ファーゴ社…2.33%
- コムキャスト社…2.25%
- シティ・グループ社…2.14%
- ゴールドマン・サックスグループ社…1.85%
- ベライゾン・コミュニケーションズ社…1.83%
- モルガン・スタンレー社…1.82%
- アップル社…1.80%
優良企業が発行する社債を多く運用していることから、通常の株式投資の銘柄としても頻繁に出てくる企業が名を連ねています。
続いて資産の信用格付けの比率について見ていきます。
資産における信用格付け構成は以下の通りです。
- キャッシュ、デリバティブ等…1.35%
- AAA…2.00%
- AA…7.75%
- A…42.36%
- BBB…46.50%
- BB…0.03%
- B以下…0.00%
資産の多くが信用格付けA及びBBBで構成されています。
会社の倒産などによって社債が償還されなくなるリスクは非常に低くなっていると言えるでしょう。
続いて同ポートフォリオ特性について見ていきます。
- 平均利回り…2.11%
- 過去12ヵ月分配金利回り…2.88%
分配金利回りは国債などを中心に構成されているETFよりも高くなっており、同ETFの魅力と言えるでしょう。
続いて運用実績について見ていくと、同ETFのパフォーマンスは直近1年で11.04%、3年で7.11%、5年で6.38%、10年で5.96%、設定来で5.91%となっています。
インデックスとの差はあまり見られず、ベンチマークと同水準のパフォーマンス実績を残していると言えます。
iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETFのまとめ
iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETFは国債中心で構成されたETFよりも高いインカムが期待できる社債を集めたETFであり、このETF1本で2000銘柄以上もの社債に分散投資ができるほか、年率3%弱の高い分配金利回りを実現させています。
国債中心のETFと同様の安定感を持ちながらも、より高い利回りを実現しているため、非常にオススメできるETFであると言えるでしょう。
本記事のまとめ
本記事ではブラックロック社が運用する米債券ETFを3つ紹介しました。
それぞれに特徴があり、自身の投資スタイルに合ったETFに投資してみるのが良いでしょう。
今回はブラックロック社が運用するETFを紹介しましたが、ほかにもバンガード社が運用するETFにも注目すべきものがありますので、そちらに関しても紹介していこうと考えています。
興味を持たれた方はぜひそちらもご覧ください。
参考元:
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免責事項と開示事項 記事の作者、白紙は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。