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人気のスマートベータ型米国ETF「VTV」から読み解く、高パフォーマンス米国株

出典:Getty Images

米国株を語る上で外せない指標 (インデックス)といえば、「S&P500」です。

あのウォーレンバフェット氏は株主宛ての手紙の中で「プロでない投資家の目的は上手くいきそうなビジネスに横断的に投資する事」であり、「S&P500に連動する低コストのインデックスファンドに投資する事でその目的は達成される」と述べています。

確かに、機関投資家を筆頭にパッシブ運用のニーズは年々高まっており、1995年時点で、米国ミューチュアルファンドとETFにおけるパッシブ運用の割合は僅か3%でしたが、2005年には14%に、そして15年後の現在では41%を占めるまでに成長しています。

出所:ボストン連銀「The Shift from Active to Passive Investing」

この背景には、ファンドの運用資産残高 (AUM)は増加傾向にある中で、世界的にアクティブ運用のリターンが対インデックス運用で著しく悪い事が挙げられます。

【インデックスを上回ったアクティブファンドの比率(過去10年間)】2016年12月時点

欧州籍 米国籍 日本籍 欧州籍
グローバル株式 米国大型株式 日本株 新興国株式
1.67% 28.4% 22.0% 3.35%

出所:モーニングスター株式会社「ETFはこの7本を買いなさい」を基に筆者作成

大きな要因としては、信託報酬といったコスト面でアクティブファンドはインデックス運用に対して不利であり、国内株式ファンドを例にすると、両者のコスト差は約1%、またアクティブとETF(上場インデックスファンド)では約1.4%もの差が生じています。

そんな潮流を背景に金融危機以降の超低金利時代が長期化する中、投資家のコスト意識の高まりと同時に従来のインデックス運用に加えて、様々なファクターを考慮した「スマートベータ」と呼ばれる新たな指数への投資が近年注目されています。

そこで今回は、「スマートベータ」型のETFをテーマにその構成銘柄を分析対象として優秀な銘柄をご紹介致します。

知っておきたいスマートベータ運用とは?ファクター投資との違いと代表的なETFを紹介

まず、従来の時価総額加重型指数とは異なり、「スマートベータ」は非時価総額加重型のアプローチをとっており、その定義について明確な基準はありませんが、一般的に「最小分散・ファンダメンタル・リスクパリティ」といった手法を基に構築される指数です。

出所:野村資本市場研究所「投資家にとってのスマートベータ」

これらのファクターには、分散投資を通してリスク低減を図る事で、リターン向上を目指したいといった投資ニーズが挙げられます。

なお、日本国内においては、日本証券取引所グループが2015年12月より「S&P/JPX スマートベータ指数シリーズ」の算出開始を発表しており、世界最大の公的年金基金のGPIFがESG指数と同じくスマートベータ型指数を日本株パッシブ運用に採用しています。

【GPIFの日本株パッシブ運用】(単純・加重平均型指数除く)

ベンチマーク 指数の特性・ファクター
S&P/JPX GIVI スマートベータ:低ベータ・本源的価値(intrinsic value)
JPX日経インデックス400 スマートベータ:ROE・累積営業利益・時価総額
RUSSEL/NOMURA Prime スマートベータ:ネガティブリスト(低流動性銘柄の除外)
野村RAFI基準インデックス スマートベータ:ファンダメンタル指標株主資本、配当額、        キャッシュフロー

出所:日経新聞「株安で公的年金も苦戦 ESG投資で補えず」

さて米国ではスマートベータ型ETFの運用資産残高が1兆ドルを突破しており、今年8月末に過去最高を更新した日本のETFを含む公募投信のそれに匹敵する規模へと成長しています。

Smart-Beta ETFs Top5 AUM Expense Ratio Factors
1 VUG $62.60B 0.04% 6 growth factors
2 IWF $58.70B 0.19% the highest growth characteristics
3 VTV $52.32B 0.04% multiple value factors
4 VIG $47.70B 0.06% dividend growth
5 IWD $37.15B 0.19% 3 style factors

出所:ETF.com「Smart-Beta ETFs ETF Overview」を基に筆者作成

特に運用資産残高の上位銘柄には信託報酬が0.10%未満のETFも多く、VUGやVTVは業界最低水準と、低コスト志向の個人投資家にもアクセスしやすい投資環境が整っています。

ここでは、スマートベータ型の米国ETFとして、運用資産残高がトップ3である「VTV」について、その運用パフォーマンスや構成銘柄といった特性を見ていきます。

スマートベータ型の米国ETFから読み解く、連続増配が期待できる米国株

【VTVの基本特性】

ベンチマーク CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックス
投資アプローチ 米国株式市場の大型バリュー株セグメントに着目(構成銘柄数:349)
評価 モーニングスター定量評価:★★★★/定性評価:Gold

出所:Vanguard「バンガード・米国バリューETF(VTV)」を基に筆者作成

*業種別ベンチマーク”Industry Classification Benchmark”に基づいて分類

VTVは「大型バリュー」というファクターに基づいて、その株価収益倍率PERはS&P500の27.5倍に対して、18.6倍と3割超もバリュエーションが低い構成となっています。

それでは、「VTVの組入れ上位30銘柄」を対象に*YOCが高い上位3銘柄を紹介致します。

「*YOC (Yield on Cost)」とは具体的に「年間受取り配当金÷買値 (平均取得価格)」であるため、連続増配する前提で考えると、基本的に「YOC」が高い銘柄ほど、長期保有するに従って配当利回りが上昇します。

FCFMは具体的に「フリーキャッシュフロー÷売上高」であり、配当原資となる現金をいかに効率よく稼いでるかを見る財務指標の一つです。

【優秀銘柄】~VTV「Vanguard Value ETF」~

Top10 Holdings Weight Growth (Year) FCFM
(TTM)%
YOC3Y(%) YOC5Y(%) Economic MOAT PER
1 ABBV 1.34% 47 38.96 5.43 7.95 Narrow 19.61
2 CVX 1.24% 34 4.76 4.59 6.81 Narrow N/A
3 T 1.69% 35 14.84 5.84 6.28 Narrow 17.76
4 PM 0.99% 12 26.69 4.1 6.05 Wide 16.72
5 NEE 1.08% 10 6.23 3.7 5.84 Narrow 38.61
6 JPM 2.31% 9 53.58 4.07 5.7 Wide 13.79
7 CSCO 1.27% 9 29.73 4.47 5.53 Narrow 15.29
8 VZ 1.95% 15 16.3 5.44 5.47 Narrow 13.05
9 XOM 1.34% 37 -0.77 4.39 4.79 Narrow 22.52
10 QCOM 1.06% 9 19.62 5.14 4.76 Narrow 48.54
Weighted Average 22 23.08 4.76 5.91 19.12

出所:

Growth(Y):DIVIDEND GROWTH (dividend.com)

FCFM (TTM), PER, Economic Moat:Key Ratioー(morinigstar.com)

YOC(3Y,5Y):Yield on Costー(seekingalpha.com)

*Weightは2020年8月31日時点

*上記5指標はいずれも2020年9月14時点時点のデータを参照。

*連続増配 (Growth)は暦年ベースで受取り配当年数が増加する銘柄を指す。

*各指標が同順位の場合FCFMの高い方を上位とする。

アッヴィ

比較データ

  • 連続増配年数:47年→「VTV Top10」内順位No.1
  • FCFM (TTM):38.96%→「VTV Top10」内順位No.2
  • YOC3Y:5.43%→「VTV Top10」内順位No.3

長期チャート  (過去30年チャート対S&P500)

コメント

2013年にABTよりスピンオフしたアッヴィ(NYSE:ABBV)は、研究開発を基盤としたバイオ医薬品会社であり、主に免疫学・腫瘍学・ウィルス学・神経科学の4大治療領域に事業展開しています。

特にバイオ医薬品においてはスイスのロシュに次いで、そのマーケットシェアは第2位であり、リウマチ薬の「ヒュミラ」は昨年の製薬品売上げにおいて世界トップの約192億ドルを達成したブロックバスターです。

財務面では、そのキャッシュフローが最大の強みであり、FCFMの10年間平均値は30%超と安定しているため、同社の研究開発ならびに株主還元政策を支える上で、大きな強みです。

現在、配当性向は約45%と十分に余裕がある水準であるため、連続増配50年の「配当王」に仲間入り、また直近では製薬大手の武田薬品工業と協業で新型コロナウィルス感染症の臨床試験を開始しており、今後の収益・配当の拡大が期待されます。

シェブロン

比較データ

  • 連続増配年数:34年→「VTV Top10」内順位No.4
  • FCFM (TTM):4.76%→「VTV Top10」内順位No.9
  • YOC3Y:4.59%→「VTV Top10」内順位No.5

長期チャート  (過去30年チャート対S&P500)

コメント

「国際石油資本」、または「Supermajor」の一角であるシェブロン(NYSE:CVX)は、「Energy」セクターにおける時価総額で、エクソンモービル次いで2番目の規模を誇っており、「配当貴族」にも採用されている連続増配銘柄です。

その歴史は1879年創業と約140年に渡って、上流と下流の2つの事業セグメントを通して、主に原油と天然ガス、また石油化学製品など幅広くエネルギー産業に携わっています。

そのため、ビジネスモデルの性質上、売上げが原油価格への依存が大きく、コロナショックによる原油価格の暴落により第2Qの約82億ドルの赤字に転落した事で、FCFMや株価は年初来から一時約50%も低下しました。

直近では財務体質の強化に向けて、米シェール大手ノーブル・エナジーの買収を発表しており、費用対効果の高い低コストのエネルギー資産を事業ポートフォリオに加える事で、将来的にキャッシュフローの改善及び連続増配の継続が期待されています。

AT&T

比較データ

  • 連続増配年数:35年→「VTV Top10」内順位No.3
  • FCFM (TTM):14.84%→「VTV Top10」内順位No.7
  • YOC3Y:5.84%→「VTV Top10」内順位No.1

長期チャート  (過去30年チャート対S&P500)

コメント

1983年創業のAT&T(NYSE:T)は、売上げ高ベースにおいて電気通信最大手であり、主力の通信セグメント (AT&T Communications)が約8割の収益源 (2019FY)の一方で、WarnerMediaによるTV番組のプレミアムコンテンツ (HBO)やDCコミックスやハリー・ポッターなどの長編映画、また、CNNニュースまで幅広いエンターテインメントを世界中に提供しています。

税引き利益ベースではライバル社のベライゾン・コミュニケーションズに劣るものの、連続増配記録35年の「配当貴族指数」採用銘柄であり、継続して2.0%程度の増配率を維持しています。

さらに、配当性向 (Payout Ratio)も65.06%と配当の支払いに余力を感じさせる点に加えて、直近のコロナショックにより同銘柄の予想配当利回り(FWD)は7.19%と4年平均の6.08%を大きく上回っており、投資妙味は高いと思われます。

また、同社はコロナ禍における財務体質強化を目的に一時的に自社株買いを停止し、顧客対応にあたる従業員のボーナスを2割増やす方針を発表しています。

低迷する携帯事業に代わって、動画配信サービス「HBOマックス」や光ブロードバンドの営業強化を図りながら財務改善と同時に、経営資源の選択と集中による収益拡大が予想されています。

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免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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