The Motley Fool

NTTの事例から、近未来の「親子上場」の行方を予想する

9/29にNTT(9432)が上場子会社であるNTTドコモ(9437)の完全子会社化を発表しました。

社名から容易に想像できますが、NTTとNTTドコモは親会社と子会社の関係で、両社とも上場していることから「親子上場」と呼ばれます。

8月に伊藤忠商事(8001)がファミリーマートをTOBしましたが、実はこの2社も親子上場でした。

日本は親子上場が多いといわれます。

親子で上場するのは、子会社が上場や増資する際に市場から資金調達できる反面、上場を維持するためには、四半期決算や株主総会、配当支払いなどの株主との手続き、取引所への上場費用、IR、企業によっては株主優待など様々な費用が必要です。

子会社の業績がよく、株価が好調に推移していれば良いですが、そうではない場合は親会社の業績や株価にもネガティブな影響を与える要素になりかねません。

多くの親子上場は「連結決算」という形で、子会社の業績が親会社の業績に組み入れられる形がとられているからです。

残念ながらネガティブといえそうな例のひとつが、日本郵政(6178)(親)とゆうちょ銀行(7182)(子)です。

ゆうちょ銀行株が低迷した結果、日本郵政が保有しているゆうちょ銀行株を3兆円という大規模で減損処理する必要に迫られたのは記憶に新しいところでしょう。

※減損処理については過去記事をご参照ください。

「今年の決算発表は、「減損」に気をつけよう」

さて、NTTによるNTTドコモの完全子会社化を「親子上場解消の象徴」と言及する記事も見られました。

親子上場には長所も短所もありますが、今年度以降コロナ禍での事業遂行を余儀なくされることを考慮すると、今後業績が低迷する企業が少なからずあると想定されます。

そのような上場子会社を持っている親会社が、いったん完全子会社化をもくろむのは不自然ではないと考えます。

完全子会社化による支配力の強化で、子会社経営をスムーズに遂行できるというメリットがあるからです。

NTTドコモ株で初めて完全子会社化というコーポレートアクションと向き合った投資家の方が多いことと思いますが、個人的にはこれからの1年~2年の期間で完全子会社化は増えると思っています。

その形態の一つである「MBO」については過去記事で触れておりますので、ご参照ください。

この先増えそうなコーポレートアクション「MBO」について

さて、ご存知の通りNTTドコモ株は前営業日までのマーケット価格より高い価格で公開買い付けされることになりました。

上場企業を完全子会社化する場合、子会社株の株価を買い取る価格は上乗せ(「プレミアム」と呼ばれることが多い)されることが多いです。

子会社株の株主にとっての完全子会社化は、取引機会の喪失や配当を受け取る権利などを失うことになるため、それらの「不利益」を埋め合わせるためと考えられます。

言い換えると、完全子会社化される銘柄を想定して先回り買いしておけば、完全子会社化されるときに利益を得られる可能性があります。

では、どんな銘柄が完全子会社化されやすいのかを考えてみましょう。

  • 浮動株が少ない

浮動株とは大株主が保有している株等を除いた、いわばマーケットで流通している株式のことですが、NTTドコモ株はNTTが約2/3を保有しており、この要件に合致します。

前述した「MBO」の記事で触れていることと同様ですが、買い占めなければいけない株が少ないほうが当然子会社化をやりやすいわけです。

  • 親会社に資金調達力がある

完全子会社化にはやり方がいくつかありますが、お金なしでできることはまれです。

NTTドコモ株の完全子会社化は浮動株が少ないとはいえ、4.2兆円ともいわれる巨額の資金が必要で、3兆円程度の資金調達が必要ですが、NTTという巨大企業で潤沢なキャッシュフローを背景に借り入れが可能だったからこそ実現できたと考えられます。

  • 子会社自身にそれなりの「稼ぐ力」がある

完全子会社化の目的は、子会社の利益を親会社にすべて取り込むことや、子会社のリストラを実施して「稼げる」会社にすることなどが挙げられます。

よって、根強いユーザーがいるとか、ライバルが少ないといった特徴がある子会社の業績や株価が低迷しているようなら、完全子会社化をもくろむ親会社があると思います。

これらの要件を満たすような子会社探しをしてみるのは銘柄研究の勉強にもなって、他の場面でも役立つことがあると思います。

興味がわいたら試してみてください。

フリーレポート配信

新型コロナウイルスの感染再拡大で未だ予断を許さない状況ですが、ワクチン開発で大きな進展が示されるなど、厳しい状況の中にも明るい兆しも見えてきています。2021年にかけて成長ストーリーを持っている5銘柄を紹介します。

2021年注目の5銘柄」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。

公式ツイッターアカウント公式フェイスブックアカウントをフォローする。

また、公式LINEアカウントの方では、投資初心者向けの情報を発信しています。
友だち追加

免責事項と開示事項 記事の作者、おせちーずは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

最新記事