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コロナからの回復力が高い企業の中でも、さらに財務基盤が優秀な企業

2020年初からのコロナショックにより、1月時点で過去最高水準にあった世界の株式時価総額は約88兆ドルから3月初旬には19兆ドル減少し、約22%の下落と事実上の「弱気相場」入りと言われています。

そんな中、各国政府と中央銀行が異例の財政支出に追加の金融緩和を発動した事が功を奏し、7月末時点で世界の時価総額は約86兆ドルと、V字回復すると同時にコロナ禍においても競争優位性を活かす事で、時価総額の拡大に成功した企業があるのも事実です。

出所:ブルームバーグ

そこで今回は、英フィナンシャル・ タイムズ紙が選ぶ、コロナ禍においても回復力に優れた企業100社を対象に言わば、「Pandemic Proof」とも呼べる優良企業に焦点を当てます。

これら100社はコロナ禍の一定期間において、時価総額を増やす事に成功した企業群からその絶対額で判断基準として選ばれています。

まずは、セクター別にその優位性を見てみると、情報技術と一般消費財セクターのみで約6割を占めており、S&P500 の上位5銘柄であるGAFAMの存在が際立っています。

【2020年に時価総額を10億ドル以上増やした企業】

セクター別
トップ3
Information
technology
Consumer discretionary Communication services
No.1 Microsoft Amazon Tencent
No.2 Apple Tesla Facebook
No.3 Nvidia Pinduoduo Alphabet

出所:FINANCIAL TIMES「Corporate 100 winners」を基に筆者作成

また、時価総額を最も伸ばした上位100社におけるその増加額の総計は約3兆ドルであり、うち米国が6割超と二番手の中国に対しても約4倍の増加幅を達成しています。

そこで、「Pandemic Proof」100社より時価総額を最も増やした上位30銘柄を分析対象にすると、これら30銘柄の時価総額増加額は全体の7割を超えており、またその増加幅についても約32%(*加重平均値)とコロナ禍においても各国の代表的な株式指数を上回るパフォーマンスを記録しています。

Prospering in the pandemic: the top 100 companies      
No. Name Market Cap ($Bn) Market Cap added ($Bn) Change (%) Country Sector
1 Amazon 1,317.30 401.1 43.8 US Consumer discretionary
2 Microsoft 1,473.00 269.9 22.4 US Technology
3 Apple 1,523.90 219.1 16.8 US Technology
4 Tesla 183.8 108.4 143.8 US Consumer discretionary
5 Tencent 550.9 93.1 20.3 China Communication services
6 Facebook 671 85.7 14.6 US Communication services
7 Nvidia 227.3 83.3 57.8 US Technology
8 Alphabet 991.1 68.1 7.4 US Communication services
9 PayPal 192.4 65.4 51.5 US Technology
10 T-Mobile US 126.8 59.7 89 US Communication services
11 Pinduoduo 99.2 55.2 125.6 China Consumer discretionary
12 Netflix 196.9 55.1 38.9 US Communication services
13 Meituan Dianping 129.6 53.7 70.6 China Consumer discretionary
14 Shopify 97.6 51.5 111.7 Canada Technology
15 Zoom Video 66.8 48 255.1 US Technology
16 JD.com 95.8 44.4 86.3 China Consumer discretionary
17 Adobe 199.2 40.1 25.2 US Technology
18 Audi 76.3 37.8 98.4 Germany Consumer discretionary
19 AbbVie 168.7 37.8 28.9 US Healthcare
20 Kweichow Moutai 249.1 35.6 16.7 China Consumer staples
21 Chugai Pharmaceutical 84.7 33.9 66.9 Japan Healthcare
22 Alibaba 601.8 32.8 5.8 China Consumer discretionary
23 Sea Group 50.5 31.9 171.1 Singapore Communication services
24 Home Depot 269.8 31.6 13.3 US Consumer discretionary
25 ASML 151 27.3 22.1 Netherlands Technology
26 Roche 303.7 27.1 9.8 Switzerland Healthcare
27 Prosus 145.7 24.7 20.4 Netherlands Consumer discretionary
28 ServiceNow 76.4 23.2 43.5 US Technology
29 Regeneron Pharmaceuticals 61.2 20.2 49.2 US Healthcare
30 Alibaba Health Information Technology 34.1 20.2 145.3 Hong Kong Healthcare
  Total 10,415.60 2,185.90 *32.10    

出所:FINANCIAL TIMES「Corporate 100 winners」を基に筆者作成

*各数値は1/1~6/17を参照

ここでは、コロナ禍においても時価総額を約3割伸ばしたこれらの企業30社において、財務的により優秀な銘柄10社をご紹介致します。

財務の健全性として、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」高い企業は、その倍率が高いほど、有利子負債の返済の安全度かつ、会社の金利負担能力が高い事を示しています。

【優秀銘柄】~Top 10 Pandemic Proof~

これら10社の加重平均値から、PERが高く割高に見える一方で、D/Eレシオが1未満かつROEは約40%と高収益な財務基盤がコロナ禍でも企業価値の成長に寄与したと言えます。

No. Name Interest Coverage *Debt/Equity ROE
TTM(%)
PER
1 Alphabet 478.92 0.08 15.79 34.84
2 Regeneron Pharmaceuticals 108.12 0.24 31.72 22.47
3 Alibaba 41.05 0.16 26.41 29.67
4 Audi 38.9 0.03 6.97 34.6
5 Nvidia 35.62 0.55 27.94 92.59
6 Adobe 28.04 0.43 35.55 64.94
7 JD.com 27.02 0.28 21.11 38.17
8 Apple 23.41 1.56 69.25 36.63
9 PayPal 22.52 0.51 15.29 87.72
10 Microsoft 21.47 0.6 40.14 37.17
  Weighted Average 109.67 0.70 39.89 40.70

* 上記4指標はいずれも「morinigstar.com」を参照。

*上記4指標はいずれも2020/09/04時点のデータを参照。

*D/Eレシオは低い数値ほど、優位性が高いとする。

アルファベット(NASDAQ:GOOGL)

比較データ

  • Interest Coverage:478.92→「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.1
  • Debt/Equity:0.08→「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.2
  • ROE:15.79%「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.8

長期チャート  (長期チャート対S&P500)

コメント

米IT大手GAFAMの一角である同社は時価総額1兆ドル超の規模を誇り、主要事業のGoogleが提供する検索エンジンのマーケットシェアは約9割と圧巻の首位です。

中核ビジネスであるGoogle事業ではオンライン広告がグループ売上げの約8割を稼ぐ主力であり、加えてGoogle CloudとGoogle PlayやYouTubeといったアプリケーションの収益がプラスに寄与した結果、売上げ高は8年間で4倍超にも拡大しています。

また、同社はスマートスピーカのGoogle Homeや、自動運転技術の開発を手掛けるWaymoといったAI技術を駆使した次世代の成長分野にも投資しています。

財務面ではインタレスト・カバレッジ・レシオが3桁と負債支払い能力が非常に高く、既存ブランドのみならず、スタートアップ企業への積極的な投資を可能にしている点から長期的に安定的な企業価値の向上が期待されます。

リジェネロン(NASDAQ:REGN)

比較データ

  • Interest Coverage:108.12→「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.2
  • Debt/Equity:0.24→「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.4
  • ROE:31.72%「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.4

長期チャート  (長期チャート対S&P500)

コメント

1988年創業の同社は、バイオ医薬品会社としてこれまで7分野に渡りFDA承認の治療法開発に成功しており、現在9分野において臨床試験を最終段階まで進めています。

医療分野のパイプラインとして主に眼疾患、循環器疾患、がん、炎症性疾患があり、加えて、仏製薬大手のサノフィ社と共同でモノクローナル抗体薬の開発やまた、新型コロナ抗体治療薬の治験も第二相まで進めています。

財務面では2012年度に黒字転換して以来8年間でROEの平均値は約31%と安定しており、一方で、D/Eレシオにおいては過去10年間で総じて1未満を維持しており、その筋肉質な経営体質に強みがあると言えます。

株価は3月に新型コロナを中和できる抗体を特定したとの報道から材料視され、52週高値を回復し、年初来で6割超上昇しており、今後の治験結果が注目されています。

アリババ(NYSE:BABA)

比較データ

  • Interest Coverage:41.05→「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.3
  • Debt/Equity:0.16→「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.3
  • ROE:26.41%「Top 10 Pandemic Proof」内順位No.6

長期チャート  (長期チャート対S&P500)

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1999年創業の同社は流通取引総額 (GMV)ベースで世界最大のEC企業であり、企業理念の一つにサステナビリティを掲げており、3世紀に渡る長期視点での経営を目指しています。

本社を上海近郊の杭州市に置く同社はニューヨーク証券取引所にADRとして、また2019年に香港証券取引所に再上場を果たし、同市場の代表的な株価指数であるハンセン指数へ今年9月から採用される事になりました。

2019会計年度時点における中国のEC市場のシェアは約68%と首位であり、2大マーケットプレイスのTaobaoとTmallを通じて国内外に卸売りと小売りサービスを展開しています。

特に、コロナ禍の直近四半期の純利益では67億ドルとアジア企業でトップと中国ネット通販最大手として、ライバル社のテンセントとともに中国企業をけん引しています。

時価総額では、6,000億ドルを突破した事で、S&P500の上位5銘柄GAFAMに次ぐ規模までに成長しており、また中国のEC市場が2019年から今後5年で80%拡大と予想されている点からも同社の電子商取引における継続的な収益拡大が予想されます。

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