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テクノロジー企業は「ディフェンシブ銘柄」になり得るのか

今回記事に書く「テクノロジー企業」とは、必ずしもハイテクセクターに属する企業だけとは限りません。

例えばGAFAMのうち、Facebook やGoogleはコミュニケーションセクター、Amazonは一般消費財セクターであるものの、その根幹はテクノロジー企業だと考えています。

これらを含む多くのテクノロジー企業は現在、割高で景気敏感な銘柄たちであり、ディフェンシブになりえない、と考えるのが一般的だと思われます。

しかし、筆者は一部のテクノロジー企業はディフェンシブになり得るのでは、と考えています。

荒唐無稽と思われるでしょうか。やや強引な解釈かもしれませんが、決して冗談で言っているわけではありません。ただし、それには大きな壁があります。

ディフェンシブ銘柄とは

ディフェンシブ銘柄とは本来、「景気に業績が左右されにくい」と言う観点で生活必需品(食品、日用品)、ヘルスケア、公益セクター等の企業が挙げられます。

景気敏感株と考えられるハイテクセクターとは真逆に位置する銘柄です。

しかし、この定義とは別に「保有者の体感として」のディフェンシブの考え方があると思います。

簡単に言ってしまえば「下げないこと」です。

暴落時にもポートフォリオのリスクを低減させてくれる銘柄です。

暴落とは金融危機や景気後退に伴って起こることがありますから、「景気に業績が左右されにくい」と言うのは、概ねイコールと言えるかもしれません。

ディフェンシブ銘柄について、もう少し掘り下げてみましょう。

ディフェンシブ銘柄の特徴

ディフェンシブ銘柄を保有することで「ディフェンシブさ」を体感するためには、「価格が下がりにくい」必要があります。

では、何故「価格が下がりにくいのか」と言うことにフォーカスしてみましょう。

1つは先ほど挙げた通り、景気に業績が左右されにくいと言うことです。

景気が悪くなれば節約を心掛ける人も多少増えるかもしれませんが、食品を食べなくなるわけではありません。せいぜい嗜好品を控える程度でしょう。

また、日用品も通常通り使います。ティッシュやトイレットペーパー、シャンプーや洗濯洗剤や歯磨き粉、この辺りは日常生活で使いますから、極端に低迷する事もありません。

水道や電気などの公益事業も同様です。

強いて言えば、不景気により製造業が多く倒産すれば電気使用量は減るかもしれませんし、現在のようにCOVID-19の影響で在宅が長く続けば人と会う機会が減りますから、シャンプーを使わず水のシャワーだけで済ませる人もいるかもしれません。

洗濯に関しても部屋着や下着だけで過ごして洗剤の使用量が減る可能性もあります。

とは言え、一定の需要は維持されると推測されます。

人々はどのような景気でも日常生活を送り、生活基盤に根差したビジネスが業績の下支えになるわけです。この下支えがディフェンシブさを生み出すのです。

そして、もう1つ重要な要素があります。それは「市場のイメージ」です。

長期的に見れば、株価は市場の成長、企業の成長に伴うと考えています。つまり、業績ありきです。

しかし、短期的には期待と失望、言い換えれば需要と供給が株価に大きな影響を与えます。

大きな期待が株価に織り込まれてしまうと、その期待に応え続けなければなりません。

応えられなかった時点で失望と共に売られ、株価を大きく下げてしまいます(これはグロース株でよくあることです)。

過度な期待は株価の高騰を招きますが、同時に高値で掴むリスクも生み出します。

過度な失望は株価の下落を招き、高値で掴んだ人にとっては「ディフェンシブさ」を発揮できなくなります。

そのため、安定した株価の推移を保つためには、過度な期待も抱かれず、過度な失望もされない必要があります。

ディフェンシブ銘柄にそのような「ローリスクローリターンである」、「値動きは安定している」、「いざとなっても下げにくい(≒慌てて売る必要がない)」と言うイメージそのものが更なるディフェンシブさを発揮する要因になっているとも言えるでしょう。

日本株で言えば、優待銘柄は優待が改悪されない限り下支えがある、と言ったようなイメージでしょうか。

極論を言えば、投資家にとってはバリュー株でもグロース株でもなく、ただただ安定したビジネスを継続できる銘柄こそ、真のディフェンシブ銘柄であると考えています。

テクノロジー銘柄はディフェンシブになり得るのか

さて、それではテクノロジー企業はディフェンシブ銘柄になり得るのか、と言う話ですが、その前に、ここでいう「テクノロジー企業」とはどんな企業を指しているのか改めて明確にしておく必要があります。

冒頭で少し触れたように、GAFAMはセクター違えど全て「テクノロジー企業」だと考えています。

また、ハイテクセクターでもIntelやDELLのように製造に近い企業もあれば、Salesforceのようにソフトウェアやサービスを中心にした企業、VisaやMastercardのように決済システムを提供する企業など様々です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される現代において、テクノロジー企業が担うビジネス領域が広くなっているため、セクターの考え方だけではどのようなビジネスを展開しているのかイメージが出来なくなってきています。

私がディフェンシブになり得ると考えているのは、一部の大型ITコングロマリット、つまりMicrosoftやApple、Google、Amazonのような企業です。

これらの企業は「ディフェンシブ銘柄の特徴」で挙げた1つ目の特徴である「景気に業績が左右されにくい」企業に成長していくと考えています。

そもそも、多くのハイテク企業はBtoB向けの設備投資の側面が強く、「景気敏感株」と捉えるのが妥当でした。

今もまだそうかもしれませんが、これは「ビジネスを加速させる」ための+αの要素であり、必須と言えないものも多かったわけです。

しかしスマートフォンの普及、コロナショックを起因として「早まった」リモートやオンライン主義の流れにより、人々の常識は「オンラインで出来ないのは普通」、「オンラインで出来ると便利」から、「オンラインで出来て当然」、「オンラインで出来ないのは不便」にすり替わりつつあります。

これが加速すると、もはやビジネスにとって「+α」の要素ではなく「必須」になると言えるでしょう。

予算次第で多少の波はあるものの、企業にとっての必需品となるわけです。

そしてもう一つ、ITコングロマリットは多角的ビジネスを展開しているために、多くの景気局面に対応できるよう分散されています。

前述の通り、テクノロジー企業が担うビジネス領域が広くなっています。

個々のビジネスが業績に与えるインパクトが薄まって行く分、特定の景気局面で大きな打撃を受けるリスクは小さくなっていきます。

どこかでコングロマリットディスカウントが働く可能性もありますが、成熟化の証拠と言えるでしょう。

例えばMicrosoftやAmazonのクラウドサービスの顧客はIT企業だけではありません。

全セクターの企業が顧客と言えるでしょう。

収入源となる顧客が十分に分散されていることになり、尚且つ企業にとっての必需品となれば業績は安定していくと考えられます。

Googleは現状広告収入に頼っているため、不景気となった際には落ち込みは大きくなり得ますが、こちらはビジネス領域の分散が非常に広く、それぞれの収益化が実現すれば個々のビジネスのリスクは小さくなっていくでしょう。

Appleは現代人にとって必需品であるスマートフォンを始めとして、多くのサービスやプラットフォームを提供しており、豊富な収入源を持ちます。

立ちはだかる大きな壁

ただし、これらを暴論としてしまう大きな壁があります。

「ディフェンシブ銘柄の特徴」で挙げた2つ目の要素である「市場のイメージ」です。

「景気に業績が左右されにくい=下げにくい」が成立するには、業績に伴ったフェアバリューである必要があります。

現在はGAFAMやTeslaなどテクノロジー企業のブームにより、市場は大きな期待を込めて値付けをしています。

企業は株主や市場の期待に応える必要がありますから、各テクノロジー企業もそれに伴い「ただただ安定したビジネスを継続」するわけにはいかないのです。

テクノロジーは現在進行形で進化しており、まさにパラダイムシフトの只中と言えるでしょう。

それに伴い企業は成長のため積極的な投資を行い、さらにそれに伴い市場は更なる期待を寄せていきます。

現在はこれを繰り返すことにより、伸び続ける期待に追い続けられるか、成長が停滞し期待が剥がれ落ちるか、チキンレース状態になっています。

この状態が続いている間は値動きが激しくなり、とても「ディフェンシブ」とは言えません。

まとめ

まとめますと、「成熟化に伴いテクノロジー企業は業績に下支えを持つディフェンシブな銘柄になりうる」が、「今は成長の最中であり、さらに期待が乗りすぎているため、ディフェンシブ銘柄になれるとしてもまだ先になりそう」と言うことです。

筆者はMicrosoft、Apple、Google、Nvidiaなどテクノロジー企業に投資をしており、私自身も今後の成長には期待をしています。

ただし、成長がいつまでも続く事を期待しているわけではありません。

成長の果てに、「現代」において期待されているテクノロジーが現実となり、「未来」においての常識となり、「日常にあって当然」なビジネスをただただ安定して継続できるようになること、つまり、次世代におけるディフェンシブ銘柄になることを期待しているわけです。

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