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地銀再編が発表されたら、有価証券報告書の「ココ」を見よう

2020年9月16日、第99代内閣総理大臣に菅義偉氏が指名されました。

自民党総裁選挙投票前から、菅氏は「地銀再編を促す」とコメントしたと報道されています。

一部の地銀の株価はそのコメントによる思惑で動きがあったようです。

現在筆者は大都市からは距離がある地方で暮らしております。

数年前までの大都市生活では、どの駅を出てもメガバンクや地方銀行の看板が視界に入ってきたものですが、地方で暮らすようになったら今度は、地銀、信金の店舗が多いなと感じています。

残念ながら少なくとも向こう数十年は人口減少が避けられないと考えられる日本で、現時点で視界に入ってくる金融機関すべてが営業し続けられるとは考えにくく、特に地銀の再編は遅からず起きるだろうとかねてから思っていました。

すでに九州では再編が進んでいます。

そんな銀行は、とくに地域に密着した企業の株主である場合が少なくありません。

銀行に保有される株式は俗に「政策保有株式」と呼ばれ、どの企業の株式を保有しているかは当該銀行の有価証券報告書で確認することができます。

2019年1月31日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」が改正され、銀行のみならず上場企業は有価証券報告書における政策保有株式の開示の拡充を求められました。

この改正により、特に政策保有株式の保有方針等の検討方法や株式数の変動と理由、保有による定量的効果等の記載が必要になりました。

また、個別銘柄についての情報開示をしなければいけない範囲が、貸借対照表計上額の上位30銘柄から60銘柄に広げられています。

一方で銀行の株式保有には「5%ルール」と呼ばれる重要なものがあります。

銀行が、国内の一般事業会社の総株主の議決権の原則5%までしか株式を保有できないというルールで、金融機関による事業会社の支配を予防することがこのルールの目的です。

ただし、業績不振の会社の経営再建等一部の事由に該当する場合は5%超の保有が認められています。

さて、菅総理大臣が積極的に地銀再編を促したら、銀行が保有している株式に何が起きるでしょうか?

再編の結果、経営統合といった形になると、場合によっては経営統合した銀行がある企業の株式を5%以上保有することになってしまう可能性があります。

そのような状態になった個別銘柄がどのような扱いを受けるかといえば、5%を超えて保有できる理由がない限り、5%を超える部分については手放すと考えるのが自然でしょう。

そして、その5%を超えた株式が上場している場合は、保有株式を削減することが想定され、結果として株価にネガティブな影響をもたらす可能性があります。

必ずしもネガティブにはならないケースもあると考えられるのは、株式の発行会社が自社株買いで対応する等、プライスに大きな影響を与えないやり方もあるからです。

どの企業がその対象になるかは、どの銀行がどのような再編のされ方をするかによって違うので、ここで名前を挙げることはできません。

投資家ができることがあるとすると、すでに保有している銘柄、あるいは保有を検討している銘柄の営業地盤を確認し、その地盤で営業している地方銀行の有価証券報告書を確認し、当該地方銀行がその銘柄の株を保有しているのかいないのか、持っているのであればどれぐらいを保有しているのか(残念ながら保有比率ではなく、株式数で掲載されていることが多いので、保有比率は発行済株式数等を用いて計算しなければならない場合が少なくありません)を自分の目で確認することです。

出所:コンコルディアFG 令和2年3月期有価証券報告書

その際、同じ県や近隣都道府県に営業地盤を置く地銀についても同様の確認を行い、同じ銘柄があれば合計した保有比率が何%になるのかを合わせて確認したほうがいいと思います。

今までの地銀再編の例に倣えば、あまりにも地理的に離れた地銀同士が経営統合を行うケースは少ないです。

支店統合等によるシナジー効果を見出しにくいからでしょう。

よって、再編されるなら地理的に近い地銀と仮定するのが合理的だと考えます。

保有合計が5%を超える銘柄がもし見つかったら、再編の行方次第では売り圧力が発生する銘柄になる可能性があると考え、自分が保有し続けるのか、買うのか、売るのかを検討する材料の一つにすればいいでしょう。

ちなみに筆者はアナリスト時代、金融機関再編のニュースが入ると、この記事に書いたプロセスを実施し、機関投資家に情報提供して喜ばれたことがありました。

つまり、いわゆる投資のプロも着目する需給だということを頭の隅に置いていただけると幸いです。

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