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相場の雰囲気はどう掴む?具体例で解説(前編)

前回の記事で、上手な損切りのために相場の雰囲気の把握が必要であることを解説しました。

上手な損切りのためには「相場の雰囲気」の把握が欠かせない理由

本稿では、「相場の雰囲気」という漠然としたテーマについて、具体例をもとに解説していきます。

なお、相場の雰囲気をどうとらえるかということは、長期投資か短期投資か、軸としている手法、相場の目的、資金状況、経験値など、あらゆる要素によって変わってきます。

そのため、本稿の具体例は、あくまでも筆者個人のものであり、必ずしも参考になるものではないと考えてください。

本稿で例とする相場の条件は、以下の通りです。

  • 投資対象は豪ドル/円
  • 短期投資(数時間での決済を前提)
  • ローソクは10分足
  • 9/11の上昇相場での買い仕掛け

ここでは、相場の雰囲気を把握していくうえで重要となるポイントを、下図のようにA~Eの5つに分けて解説します。

底を探る

先日の豪ドルは、9/10から9/11にかけて、非常に分かりやすい展開となりました。

まず、10日夜に急騰して77.700円を超えた後、11日朝にかけて急落し、77.000円を割りました。

そこで、急騰後の急落を以て、77.700円がひとまず天井となったのであり、どこで底をつけるかを探っていく。

底を打ち、反転するものと判断できた場合には買いで仕掛け、上昇によって利益をとるというところから出発します。

底を打つ時、多くの場合、横這いの展開となります。そこで、横這いの出現と展開底に注意を払う必要があります。

11日朝の相場では、77.000円前後での横這いとなりました。

ここからさらに下落するか、上昇の兆しをみせるかによって底を探ります。

A:上昇の兆し

早朝、約3時間の横這いののち、Aの局面で上昇の兆しを見せました。

下図をもとに、雰囲気を把握します。

横這いというからには、ある価格帯で推移しています。

この価格帯を「レンジ」などといいますが、レンジを下抜けた場合には下落の継続、上抜けた場合には上昇の兆しありと考えます。

レンジ相場では、売方と買方の勢力が拮抗しており、横這いの展開となっています。

もし、彼我の勢力がまったくのイコールであれば、価格はまったく動かないはずであって、レンジ相場は、

  • 売方が買方を押し切って下落に向かうか
  • 買方が売方を押し返して上昇に向かうか

という、微妙なバランスで横這いを保っている状態といえます。

ここでは10分足を使っていますが、このレンジでの陽線は「買方が勝利した10分間」、陰線は「売方が勝利した10分間」を意味します。

まず注目したいのが、相場の雰囲気を掴む上では、陽線と陰線の比率です。

陽線・陰線の比率が同程度であれば、売方・買方の勢力は拮抗していると考えられますが、いずれか一方が多い場合には、どちらかに有利な展開であると見ることができます。

Aの局面では、レンジ内に実体(ローソクのひげをのぞく部分)が収まっている陰線が5本であるのに対し、陽線は8本であり、買方がやや強い印象を受けます。

特に、レンジの最後の陽線では、それまでに出現したローソクに比べて大きく、また直前の陰線3本の下げ幅を一度に打ち消していることから、強い買いであると感じます。

この陽線の直後にレンジの上抜けが起こり、①のまとまった動きにより、77.150円まで上昇しました。

この結果から、Aのレンジが底であった可能性が高く、上昇の兆しが見えたと判断できます。

このように雰囲気を把握していくためには、このレンジ相場の最中に試し玉を入れておくことが重要です。

B:上昇転換を確認

Aの後、相場は下図、Bのように展開していきます。

まず、Aで上昇の兆しありと判断したのち、本当に上昇転換に至ったかを判断していきます。

Bの局面では、上昇転換を裏付ける要素が複数見られます。

酒田新値の出現

Aでレンジの終了を示唆した①の陽線に続いて、②~⑤も連続で陽線となっています。

つまり、酒田罫線法における「陽線新値5本」であり、これが上昇転換の有力な裏付けとなります。

実際の相場では、⑥から⑦まで下落しています。

酒田罫線法では、陽線新値5本で上昇転換とみなしたのち、陰線新値3本の押しで本玉を入れるのが定石であり、その通りに考えるならば、⑥の陰線から数えて3本目の陰線新値で本玉を入れます。

しかし、陽線新値が6本、7本と続いて大きく上昇することもあり、また陰線を挟むものの、陰線新値3本をつけずに陽線新値が出現して上値を追うことも多いです。

このため、雰囲気の掴み方次第では⑤で本玉を入れることも、あながち間違いではありません。

さて、⑥から⑦までの下落では、陽線を挟みながらも、計6本の陰線新値をつけています。

酒田新値では、陰線新値5本で下落転換と考えますが、

  • 陽線新値は5本連続であったのに対し、陰線新値は陽線を挟みながらの非連続5本である
  • 陽線新値5本での上げ幅(①の始値76.972円から⑤の終値77.145円まで)0.173円に対し、陰線新値6本での下げ幅(⑥の始値77.145円から⑦の終値77.072円まで)は0.073円である
  • ①~⑤の上昇では、50分で0.173円の上昇であるのに対し、⑥~⑦の下落では、90分で0.073円の下落である

ことに注目すべきです。

つまり、

  • 連続は非連続に比べて勢いが強い
  • 陰線新値は6本つけていながら、陽線新値5本の上げ幅の半分以下である
  • 売方は、買方が上昇に要した時間のおよそ倍の時間をかけていながら、半分も戻せなかった

などによって、相場の雰囲気は、「陰線新値6本よりも陽線新値5本の方が強いと考えられる」と把握されます。

したがって、⑥から⑦における陰線新値5本は下落転換を示唆するものではなく、単なる押しであると判断します。

上げ幅と下げ幅の比較

Aのレンジ相場でも、Bの陰線新値5本の判断でも、陽線の上げ幅と陰線の下げ幅を比較しています。

これが、相場の雰囲気を把握する上で重要なポイントです。

また、それぞれの上昇・下落に要した時間も参考になります。

Bの局面では、⑦まで下げた後に⑧の大陽線が出現し、⑥から⑦にかけての下落を一気に解消しています。

①〜⑧までの相場を見ると、「買方優勢」の雰囲気が掴めることでしょう。

もし、⑤の陽線新値5本目、あるいは⑥からの陰線新値3本押しで本玉を入れていない場合には、⑧の上昇を以て上昇転換の可能性が濃厚と判断し、本玉を仕掛けるのが良いでしょう。

損切りの基準

さて、相場の雰囲気をこのように把握していくと、損切りの基準もおのずと適切になります。

ここまで、酒田新値と、上げ幅・下げ幅の比較によって、上昇転換の可能性を探ってきました。

この判断に依って、今後も上昇が続くことを見込むならば、それはすなわち、「今後も、下げ幅は上げ幅の範囲内に収束し、比較的大きな上昇と比較的小さな下落を繰り返しながら、上昇トレンドを描くであろう」と考えているわけです。

逆に言えば、「下げ幅が上げ幅を超える局面が出現すれば下落転換の可能性があるが、そうでない以上は上昇継続とみなして損切りの必要なし」とも考えられます。

これをもとに損切りを考えるならば、損切りの基準は「下げ幅が上げ幅を超えたとき」に据えることができます。

これにより、損切りに至った場合にも、

  • 損失はあくまでも上げ幅に限られ、小さく抑えることができる
  • 下落転換の可能性を把握してからの損切りであり、早すぎることも遅すぎることもない

という、上手な損切りができます。

具体的には、⑤で仕掛けた場合の損切りは①の始値の76.972円、⑧で仕掛けた場合の損切りは⑧の始値の77.073円を基準とします。

損切りに至った場合の実現損失は、⑤の仕掛けでは0.173円、⑧(終値は77.175円)の仕掛けでは0.102円です。

この程度の損失に抑えられるならば、十分に「損失を小さく止め得た」「上手な損切りであった」といえるでしょう。

なお、その後の推移を見てみると、⑨~⑩の下げ幅は⑧の上げ幅に満たず、⑮~⑰の下げ幅は⑪~⑭の上げ幅に満たず、確かに上昇相場であったことが確認できます。

相場の雰囲気はどう掴む?具体例で解説(後編)

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