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ローカル5Gソリューションとは?5Gとの違いやメリット・デメリットを解説

ソフトバンクやKDDI、NTTドコモなど大手通信業者が中心となって5G通信網を整備しています。

その5Gとは別の、局所的な5G通信を用いたローカル5Gソリューションが注目を集めています。

そこで今回は、急成長が見込めるローカル5Gソリューション市場について詳しく解説します。

ローカル5Gソリューションとは

ローカル5Gソリューションとは、企業や自治体内で完結する狭い範囲での5G通信網を指します。

ソリューションの意味は「問題解決」ですから、ローカル5Gを用いて問題を解決するのが目的となります。

ローカル5Gソリューションは、地域ニーズや企業の効率化などの目的に応じて局所的な通信環境(自営ネットワーク)を設計します。

そのため、下記のような特徴があります。

  • 地域や企業が抱えている問題点を解決するためのシステムを構築できる
  • 大手通信事業者ではカバーしにくいエリアで独自の通信網を設立できる
  • 大災害や通信障害が起きても独自の通信網のため影響を受けにくい

2019年の時点で総務省が制度化に向けたガイドライン発表しており、2025年度にはローカル5Gソリューション市場は450億円を超える大きな市場になると予想されています。

ローカル5Gソリューションとパブリック5Gの違い

2020年3月に商用化の始まった5G通信網は、NTTドコモなどの大手キャリアに対して割り当てられた電波になります。

全国規模で展開していることからパブリック5Gとも呼びます。

一方でローカル5Gソリューションは大手キャリア以外の企業や自治体に対して割り当てられた、免許制度の5G通信網になります。

大きな違いは周波数帯で、大手キャリアが使用していない4.5GHz帯の200MHz幅(4.6-4.8GHz)と28GHz帯の900MHz幅(28.2-29.1GHz)を使用します。

ローカル5Gソリューションの仕組み

ローカル5Gソリューションは免許制の通信網になります。

免許を取得するためにはいくつか条件があり、前提として使用する範囲は「自己の建物」あるいは「自己の土地の敷地内」といった限定された空間になります。

免許を取得できるのはローカル5Gソリューションを構築する企業や自治体のほかに、そのシステムを構築するのを依頼された通信企業も取得できます。

仮に、ローカル5Gソリューションを構築した土地の間に別の土地があれば、記事執筆時点では下記のような対処となっています。

  • 別の土地や建物でローカル5Gソリューションが構築されていない場合は固定通信なら認める
  • 別の土地や建物でローカル5Gソリューションが構築されている場合は互いの通信網が混線しないように措置を取る

制度としては始まったばかりですが、ポイントは全国規模で5G通信網を展開する大手キャリアとは別に、局所的な問題を解決するための通信網を構築する制度ということです。

総務省のガイドラインでも「全国キャリアのサービスを補完することを目的としてローカル5G帯域を利用することは、ローカル5Gの本来の趣旨に反する」となっており、「ローカル5Gのサービスを補完することを目的として、全国キャリア帯域を利用することは可能」と明記されています。

ローカル5Gソリューションの活用例

ローカル5Gの申請受付は2019年12月24日よりスタートしました。

最初に免許申請をしたなかで注目を集めているのが東京都とNTT東日本です。

東京都副知事の宮坂学氏は元ヤフー社長という経歴もあり、日ごろからITを活用した取り組みやイベントに対して情報を発信しています。

東京都として国立研究開発法人産業技術総合研究所にローカル5Gソリューションのインフラを作るとコメントを発表しています。

NTT東日本は東京大学と協力してローカル5Gソリューションの性能やチューニングなどを検証すると発表。

最終的にはインバウンド向けの空港、港湾、あるいは酪農での農作業車の自動運転、eスポーツでの活用などを検討するとしています。

2020年3月に入ると富士通が国内で初めて、ローカル5Gの免許を取得しました。

これからの展望として、敷地内にある多地点カメラで収集した高精細映像のデータ伝送にローカル5Gソリューションを用い、最終的にはユーザーの現場への導入支援などを行っていくとしています。

ローカル5Gソリューションのメリット

ローカル5Gソリューションには幾つかのメリットがあります。

  • 従来の通信ネットワークよりも高速・大容量・低遅延・多数同時接続
  • 大手キャリアとは別に自前の通信環境を整えられる
  • 外部のネットワークから独立する

それぞれ、どのようなメリットなのか解説します。

従来の通信ネットワークよりも高速・大容量・低遅延・多数同時接続

ローカル5Gソリューションで用いるのは帯域こそ違いますが、5G回線です。

従来の4G/LTEやWi-fi、有線LANなどの通信ネットワークと比較しても、5G回線は優れています。

例えば、遠方にある機械をほとんどタイムラグなしで操作が可能となり、センサーが読み取った大量の情報を瞬時にAIで分析して正確な予測をするなど、これまでの通信回線では難しかったことが行えます。

総務省によれば5Gによる経済効果は複数の産業を合計すると46.8兆円と巨大な規模になると見込まれています。

参照:総務省

大手キャリアとは別に自前の通信環境を整えられる

大規模な経済効果を見込める5G通信網ですが、商用化が2020年3月と始まったばかりで、5Gに必要な基地局は十分とは言えません。

5Gは4G以上に基地局が必要となり、同時に整備コストもかかるため、ソフトバンクとKDDIは地方の基地局整備を協業するなどしてコストの抑制を図っています。

ローカル5Gソリューションは、大手キャリアの意向や状況とは別に自分たちの通信環境を整えられるのが大きなメリットになります。

大手キャリアとは独立しているため、大災害や通信障害といったトラブルの影響を受けにくいのもメリットです。

外部のネットワークから独立する

大手キャリアの通信網とは別の自分たちの通信網を作るということは、外部のネットワークと接続していないクローズドなネットワークになります。

インターネットセキュリティの一つとして、ネットワークをクローズドにすることで外部からの侵入や情報流出を防ぐといった効果が期待できます。

ローカル5Gソリューションのデメリット

ローカル5Gソリューションは制度が始まったばかりのため、技術的な問題や、制度の理解度などが課題にありますが、それらとは別に導入コストが高いというデメリットが指摘されています。

通信回線を手掛ける企業は価格を公表していませんが、案件にもよりますが構築費だけでも数千万円から一億円は掛かるとされており、構築した後は保守・点検にコストが発生します。

総務省がローカル5Gソリューションの実現に向けた開発実証の公募を行ったところ、開発実証の内容にもよりますが、二億円前後の入札が成立しています。

現時点でローカル5Gソリューションを構築できるのは資金力のある大企業がメインとなっています。

ローカル5Gソリューションに関わる企業

記事執筆時点で、ローカル5Gソリューションに積極的に関わっている企業は下記になります。

  • NEC
  • パナソニック
  • 富士通
  • 東芝

すでにローカル5Gの申請を済ませている企業も含まれております。

例えば、NECはNTTと資本締結及び次世代通信網技術の共同開発を進めており、瞬時に顔認証するシステムを開発中と発表しています。

東芝はKDDIとIoTをグローバル規模で活用する法人の事業支援で連携。

最終的にはローカル5ソリューションを用いたスマート工場での活用を想定しています。

また、ローカル5Gソリューションは大手キャリアの除く企業や自治体に対して、地域限定で使用できる通信網ですが、大手キャリアでは別の動きがあります。

ソフトバンクでは2022年度以降にローカル5Gとは別の、プライベート5Gという個人向け5G通信網を提供する法人をスタートする予定です。

プライベート5Gはローカル5Gのように利用者の敷地に基地局を設置し、ソフトバンクのパブリック5Gに繋がるサービスで、ローカル5Gと違って免許の申請が不要で、保守運用はソフトバンクの法人企業が請け負います。

企業・自治体向けにはローカル5Gが、個人向けにはプライベート5Gという形になる可能性があります。

まとめ

以上が、ローカル5Gソリューションの解説になります。

現時点では自社向けのアイディアや運用が想定されているローカル5Gソリューションですが、いずれは他社向けのビジネスモデルが登場する可能性はあります。

BtoBtoXモデルで利益を生むことのできるビジネスモデルのため、最初のB(通信キャリア)が大きな利益を得ます。

急成長が見込める市場だけに、どの企業が積極的に取り組んでいるのか目が離せません。

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5Gサービスの世界市場は今年415億ドルに達し、2021年から2027年の間に年率平均44%の成長率で成長する可能性があります。その成長市場で勝者となるであろう銘柄をご紹介します。

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免責事項と開示事項 記事の作者、野田幹太は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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