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日本におけるデジタル音声広告市場とは?広告業界の現在についても解説

デジタル音声広告市場は日本だとあまり認知されていませんが、英語圏では急成長を続けています。

2019年のアメリカデジタル音声広告市場は、前年比21%増の約2,980億円に達しており、さらに成長が望めます。

そこで今回は、日本のデジタル音声広告市場について解説をします。

デジタル音声広告市場とはどんな市場なのか、どのような種類があるのかなどを詳しく解説していきます。

デジタル音声広告市場とは?

デジタル音声広告とは、音声によるデジタル広告のことを指します。

音声広告の歴史はラジオ広告が始まりと言われており、現在はSpotify(NYSE:SPOT)を始めとする音楽配信サービスなど、耳で聞くツール・アプリが増加しており、これらのインターネット媒体に流れる音声広告(デジタルオーディアド)が市場として確立しています。

近年、スマートフォンやスマートスピーカー、高機能なBluetoothイヤホンなどの音声デバイスが普及したことにより、デジタル音声コンテンツを利用するユーザー数も上昇しています。

記事執筆時点では音楽ストリーミング最大手のSpotifyの有料会員数は1.38億人、Apple Musicは6,800万人と数を増やしているのもポイントです。

また、法人・個人でデジタル音声コンテンツを作成して発信する需要も高まっており、新しい音声コンテンツの流通が始まっています。

日本ではあまり馴染みのない広告出稿先ですが、欧米では普及し広がっています。

2020年時点の日本市場は16億円規模ですが、2025年には420億円規模に広がると予想されており、これからの成長が期待される市場です。

デジタル音声広告の種類

音声広告の種類は大きく分けて2種類があります。

  • デジタル音声広告
  • 対話型音声広告

主流はデジタル音声広告ですが、将来的には対話型音声広告のニーズも増えると予想されます。

デジタル音声広告

現在主流の音声広告の活用例で、特定の広告を聞いたユーザーの数に応じて費用が発生する方法になります。

例えば、Spotifyで音楽を聴いている最中に流れてくる広告が該当します。

無作為に広告を流すだけでなく、デバイスの位置情報を活用することで、音楽を聴いているユーザーの近くにある観光地やお店の広告を優先的に流すなど、ユーザーの情報にピントを合わせた広告を流せるという強みがあります。

また、機械的に不正な形でクリックやインプレッションを消化してしまう「アドフラウド(広告詐欺)」の対策にも効果があります。

一方で、一般的なインターネット広告は、広告に対するアクションで広告の効果が見えやすくなっているのに対して、デジタル音声広告を流すことでユーザーの購買意欲や流入が増加しているのか確かめる手段が少ないという問題点が指摘されています。

この問題点に対して、各企業が様々な方法で対策を講じており、次のようなデジタル音声広告も検討されています。

対話型音声広告(インタラクティブ音声広告)

記事執筆時点では構想段階ですが、将来的にはスマートスピーカーから流れた音声広告に対してアクション(購買・質問・検索)を行える広告が始まると予想されています。

一般的なWEB広告では、広告を見たユーザーのアクションが何らかの形で測定できますが、現在のデジタル音声広告ではユーザーのアクションを判定できません。

しかし、対話型音声広告では流れている広告に、その商品についての詳細を尋ねることが可能になります。

例えば、スマートスピーカーから流れた商品の広告に対して、AIアシスタントが詳しい情報をユーザーに伝えたり、会話形式で興味の有無や類似商品の検索などを行えるようになります。

従来の広告は一方的に商品の魅力や宣伝を行っていましたが、一歩踏み込んだ広告が可能になります。

広告業界の現在

日本の広告業界は、大手広告代理店を中心に成長してきました。

1位の電通グループは売上高約5.1兆円、2位の博報堂DYホールディングスは約1.4兆円、業界全体の規模は約7兆円となっています。

電通グループは2013年にイギリスの広告会社イージス・グループを買収してからは、世界大手広告企業を目指して海外企業の買収に本格的に乗り出しており、売上総利益は国内よりも海外の方が大きくなっています。

その電通が公開した「2019年 日本の広告費」によれば、インターネット広告費は6年連続2桁成長を続け、2019年に2.1兆円を突破して地上波テレビの広告費用を越えたと判明しました。

数年前から指摘されていたことではありますが、地上波テレビの広告費は2010年から2兆円を超えられずに停滞していました。

一方で、インターネットの広告費は右肩上がりを続け、さらに成長すると予想されています。

インターネットの広告費が上昇を続ける要因の一つに、動画広告が上げられます。

YouTubeを始めとしたインターネット動画コンテンツで流れる広告の規模は前年比41%増の2,592億円で、2023年には4,000億円を突破すると見込まれています。

SNSにおける動画広告の需要が増加したのと、広告企業がスマートフォンやコンテンツに合った動画広告のやり方などが定着したことで収益に直結しやすくなり、様々な広告企業が参入して、競争が激化したのも理由に上げられます。

事実、2020年は新型コロナの影響により大手広告代理店などは売上高が減少しているなか、ネット広告代理店は売上高営業利益を伸ばしております。

インターネット動画広告の成長に加えて、デジタル音声広告の需要が増加することを考えると、インターネットの広告費はさらに成長する可能性は十分に考えられます。

広告業界のビジネスモデル

広告業界のビジネスモデルは顧客企業から依頼された広告会社が、自社メディア・他社メディアを用いて広告を配信して、料金を受け取る仕組みになります。

電通グループや博報堂DYホールディングスなどの代理店は顧客企業と広告会社、メディアなどを繋げる役割を担っていますが、複数の役割を担う企業もあるため実際の関係図は複雑になっています。

デジタル音声広告で注目を集めている企業

デジタル音声広告で最初に動き出したのは、やはり最大手の電通グループと博報堂DYホールディングスになります。

電通グループは2019年に音声コンテンツを提供する媒体に対して、デジタル音声広告配信サービス「Premium Audio広告」の提供を開始しました。

日本最大手のラジオ番組コンテンツを放送する「radiko(ラジコ)」と、音楽ストリーミングサービス「Spotify」の2つが最初の広告配信先となっています。

博報堂DYホールディングスではアメリカの企業と連携し、AI技術を活用した「対話型音声広告(インタラクティブ音声広告)」の研究開発に着手しています。

ADKホールディングスもデジタル音声広告のサービスを開始しており、松屋フーズの協力を得て、radikoで広告配信したところ、バナー広告の過去事例よりも高い来店効率を実証してみました。

これらの大手広告代理店に続く形でベンチャー企業の株式会社オトナルがSpotify・radiko・朝日新聞アルキキの3媒体でブランドリフト調査連携プラン「オーディオアド ブランドリフトサーベイ」を2020年7月1日より開始しております。

デジタル音声の弱点である広告効果の検証が行えるプランとなっており、注目が集まっています。

まとめ

以上が、日本におけるデジタル音声広告市場の解説になります。

大手広告代理店が中心となりつつも、ベンチャー企業やネット広告代理店などが参戦して競争は激化しています。

しかし、デジタル音声広告を始めとして、インターネットの広告費は順調に収益を伸ばしているため、これからの将来性が期待できる分野とも言えます。

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免責事項と開示事項 記事の作者、野田幹太は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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