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自動車業界の革命児テスラが時価総額世界1位の自動車会社である理由

8月から9月にかけての乱高下で、投機対象になってしまったテスラ(NASDAQ:TSLA)ですが、どの程度のバリュエーションが妥当かは別として、自動車業界を根本的に変える可能性のある企業としての期待感が非常に強いことは確かです。

トヨタは年間約1,000万台以上の車を販売しています。

一方、テスラは昨年36万7,500台と、30分の1でしかありません。それなのにトヨタよりも時価総額が高くなりました。

その期待はどこにあるのでしょうかか?

過剰な部分もあるかもしれないものの、期待させるものがテスラにはあるということでもあります。

テスラのミッション

テスラのミッションをご存じでしょうか?

「出来るだけ早く大衆市場に高性能な電気自動車を導入することで、持続可能な輸送手段の台頭を加速する」というものです。

そして、これを実現するため、技術開発とビジネスとして成功させるために、スポーツカーであるロードスター、そして高級セダンであるモデルS、そして大衆向けであるモデル3へと進んできています。

電気自動車には相当なコストがかかることが当時から予想されたので、性能が高ければ価格を問わずに購入してくれる富裕層を最初にターゲットし、その後環境保護などに意識の高い富裕層や、比較的余裕のある層にモデルSを販売して、技術を高めながら、大衆車を展開して、EVを一気に広めていくための布石を打っていく、というロードマップをイーロン・マスク氏は描いています。

そして、その通りにこれまで動いてきています。

また、テスラは自社をEVカンパニーとは考えておらず、エネルギーカンパニーであるとしています。

それは、化石燃料による動力に対するEV、化石燃料を燃やしてタービンを回して発電する電気に変わって、太陽光発電とそれを蓄積するバッテリーなどを手掛けており、環境負荷を下げるためのビジネスを行っているからです。

テスラのビジネスライン

テスラのビジネス・ラインとしては、主に3つあります。

  1. EVの製造・販売
  2. 特許を持つEV技術コンポーネントの販売
  3. 太陽光発電・蓄電池システムの製造・販売

顧客セグメントとしては、①の顧客は、富裕層から始まって、モデル3の販売を契機に一般消費者も対象になってきています。

②のEV技術コンポーネントの販売は、他の自動車メーカーです。

通常は、こうしたものは他社には公開せず、各社が自社開発するケースが多いです。

テスラが、自社開発の技術を公開(もちろん有料ですが)しているのは、自社の儲けのため、というよりはより多くの会社が早くEV市場に参入してくれることで、EV市場そのものの拡大が図れるからです。

もちろんそこで勝ち残っていく自信があるからこそ取りえる選択肢だと思います。

次の③の太陽光発電・蓄電システムの製造・販売は、個人向けと企業向けがあります。

EV開発で培った技術(バッテリー技術)を活かしての展開です。

個人向けでは、既に出来上がっている屋根に乗せる太陽光パネルも、新築の場合のパネルと2種類を用意しています。

新築用は、ほぼ屋根と一体化しているものです。

今回のテーマが自動車業界についてですので、①と②にフォーカスしていきます。

テスラが革命的である理由

自動車業界の大変革のキーワードとしてCASEという言葉が使われています。

これは何かと言うと、Connected(インターネットにつながっている)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有、シェアカー、乗り合い)、Electric(電気自動車)です。

車の『CASE』から見た米国株の選び方

テスラは、このどの分野でもかなり進んだ取り組みがされています。

テスラ車はネットに常時接続されていて、オンライン上の様々なサービスとつながっています。

同時に全ての路上のテスラ車から運転状況が常にデータとして吸い上げられており、その膨大なデータをAIが学習し、自動運転技術を高めています。

実際の道路を走っている自社製造の全ての車から走行データが得られるのは、他にはないメリットです。

しかも、テスラ車には最初からオートパイロットが搭載されており、車内の全ての機器の制御・コントトロールが行えるシステムが入っています。

制御の仕方を変える必要があれば、プログラムの更新と言う形で修正も可能ですし、自動運転のレベルを上げるなどのアップグレードなども、全てプログラムの更新で可能です。

さらに、全ての車が「Connected」なので、プログラムの更新はインターネットを介して可能です。

これは、もう車というよりは、「走るPC」と言っても良いくらいのものになります。

こうしたことが出来るため、伝統的な販売チャネルであるディーラーシステムを使わない方が良いと言えます。

ディーラーは数年に一度は車がモデルチェンジし、買い替えてもらうことがビジネスになっていますが、テスラ車はプログラムのアップグレードで対応出来てしまうので、新しい車を買う必要がありません。

販売をテスラ直営店が行い、整備工場も併設しているのは、そうした理由もあります。

広告・CMは一切使わず、ネットをうまく利用しているのも、インターネット時代の新しい自動車会社ならではです。

ホームページから自動車の注文ができ、現在予約を受付しているサイバートラックも、予約金1万5千円をカードで支払えば簡単に予約できます。

ディーラーシステムを持たないが故に出来ることでもあります。

ディーラーシステムがあると、自動車製造会社としては、ディーラーと競合してしまう直販は出来ません。ディーラーを紹介するようなことしかできないのが現状です。

インターネットに常時接続し、自動運転であるEV車を作っている点で極めて先進的でありますが、それ以上に革命的なのは、事故等で車が壊れたり、デザインの問題などで気に入らなくなった場合を除き、新しい車を買うインセンティブがあまりない仕組みであるということです。

これは極めて革命的なものです。

そして、EVはガソリン車に比べて部品の数が少ないのと、ガソリン車ほどの精度を求められません。

これは、EV中心になると日本の職人技的な技術が不要になります。中国がEVに力を入れているのも、そうした理由もあるかと思います。

進化するバッテリー技術

更に革命的な発明が近く発表されるのでは、と期待されています。

9月22日のバッテリーデー(Battery Day、これはテスラの投資家向けイベント)で、「Million Mile Battery」が発表されるのではないかと言われています。

EVの最大の問題は、バッテリーです。最も重く、しかも、最もコストの高い部品です。

三菱自動車がi-MiEV(世界初の量産型EV)を出したころは、1回の充電で200km走れず、東京から箱根往復も厳しいという状況でした。

テスラのモデルSでは、航続距離が610kmまで伸びています。

そして、普及のために絶対に必要なのが、充電できる場所の多さです。

このインフラが無ければ、電気自動車は絶対に普及しません。

テスラはそれを他人任せにせずに、自社でも充電ステーションを作っています。

さて、先ほどのMillion Mile Batteryに戻ると、これは繰り返し充電で1Million Mile、すなわち約160万キロメートル走行可能なバッテリーということです。

1台の車で160万キロ走るものはまずないでしょう。

日本だと10万キロ走っている車もタクシーなどを除けば少ないかと思います。

160万キロ使えるのであれば、廃車になるEVからバッテリーを回収して、再利用することも可能になります。

EVの作り方まで根底から覆してしまいそうな発明です。

こうした動きを見ていると、まだまだ、自動車業界の片隅での動きにすぎませんが、数年後・数十年後の世界を大きく変えるのは、EVの方だろうなという気がしてきます。

このような期待感がテスラの高い評価を生んでいると思います。

とはいえ、実際の株価のバリュエーションが妥当かどうかの判断は、投機的な動きの影響もあり、大変難しい状況にあります。

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免責事項と開示事項 記事の作者、松本義和は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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