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機関投資家を知ろう【後編】:「年金基金」以外の機関投資家

前回、機関投資家を知るということで、資金量も大きな年金基金を取り上げました。

機関投資家の特性を知ろう【前編】:相場に与える影響の大きい「年金基金」について

今回はそれ以外の機関投資家についての概略をお伝えします。

前回、機関投資家には大きく分けて7つあると紹介しました。

  • 銀行
  • 保険会社
  • 投資信託・運用会社(アセットマネジメント会社など)
  • 年金基金
  • ヘッジファンド
  • 基金&財団(Endowment & Foundation。基金・財団と呼ばれるもの)
  • SWF(Sovereign Wealth Fund:政府系ファンド)

年金について前回ご説明したので、今回はそれ以外について、それぞれ概略をお話します。

銀行

銀行は、基本的に債券を中心にした運用を行っています(融資が基本ですが、貸出に回らなかった資金を債券中心に運用します)。

トレーディングも、為替と債券・金利を中心に行っています。

一部でインデックスのETFを使ったトレーディングも行います。

株式市場という観点では、銀行がプレーヤーとして登場することは多くないです。

保険会社

保険会社は、生命保険会社と損害保険会社で多少性格が異なります。保険会社も基本は債券運用中心です。

ただ、保険会社は負債(保険料は負債になります)の期間が長いので、株式などリスクは高いが長期的には高いリターンを生む可能性のある株などにも投資します。

損害保険会社は、保険金支払いまでの滞留資金(フロートと言います)を運用することで、保険金支払いの不足分を補ったり、会社としての収益向上のために運用する仕組みになっていて、資金運用が本業の一部となっています。

また保険会社は、自社の運用部門が直接売買に参加するケースと、ファンドへの投資を通じて、投資を行うケースと二通りあります。

銀行も保険会社も会計ルールが一般事業会社と異なるルールがあるため、そのルールとの関係で、自社で直接運用する場合とファンドを購入するケースがあります。

金融機関は行政による規制も厳しいので、規制の変更によってその投資行動が変わります。

2008年の金融危機(所謂リーマンショック)後に、特に銀行に対する規制が非常に強くなり、リスクを取りにくい状況になりました。

トランプ政権下で、その規制も緩和され、リスクが多少取りやすくなったようです。

基金&財団

E&F(基金・財団)について説明します。

これらは、実は機関投資家としては相対的に規模が小さいことが多いです。

話題になるハーバード大学の基金やイエール大学の基金はそれぞれ3兆円くらいです。

基金の中では巨大ですが、機関投資家の中では、大きくはありません。

大学の基金は、大学の運営費に一定資金を充てるため、安定的な収益を継続的に出すことが目的とされているので、指向としては、絶対値指向の強い運用をしています。

また、非上場株や非上場の債券などへの投資が多いことでも知られています。

株式市場での存在感はあまり大きくありません。

投資信託・運用会社

個人向け投資信託の運用は、運用対象やどのような運用をするかの決めはあるものの、細かい点で自由度がかなりあります。

その一方で、市場動向や成績によって資金の出入りが激しくなることもあり、資金のコントロールに伴う調整が必要になります。

機関投資家の多くが、自家運用というよりは、運用会社に運用を委託するケースがほとんどであり、個人からの資金も同じ運用会社が預かって運用をしているケースがほとんどなので、運用会社が市場を動かしていると言っても過言ではないかと思います。

世界最大の運用会社は、ブラックロックで約6兆ドル(600兆円強)を運用しています。

1位から3位までは、インデックスファンドの扱いが大きい運用会社です。

特に機関投資家からのインデックス投資が非常に大きな部分を占めています。

ヘッジファンド

ヘッジファンドも、運用会社の一形態です。

そのほとんどは、個人富裕層もしくは、機関投資家向けの運用をしています。(最低投資金額が数千万円から億単位のものが多い)

運用会社が行っている投資は、あらかじめ投資対象の範囲を決め、どのような投資哲学・アプローチで、どのように投資を行っていくかを決めて投資を行っているケースが多いです。

そして、機関投資家向けの運用では、定期的な運用報告会が開催されることが多く、決められた投資の仕方に沿って運用されているかどうかが厳しくチェックされます。

全ての投資行動に理由・説明(投資哲学・投資の仕方に即したもの)が求められます。

したがって、かなり厳密な調査と考察によって行われます。

そのため、大きな運用会社で、ある銘柄についての評価が変わった時など、特定銘柄の大きな買いのオーダーを入れたり、大きな売りを入れたりすることがあります。

運用会社のトレーダーは、市場に大量の買いや売りを持っていることを知られないように、非常にきめ細かく、板の状況を見ながら、取引を執行していきます。

日次の取引高があまり大きくない銘柄が、出来高を増やしながらしばらく上昇し続けるようなケースは、運用会社(裏にいる機関投資家が誰かは分かりません)が買いを入れているケースが多く見られます。

機関投資家が相場に参入したのを見分ける方法

機関投資家が買いに入っている場合、それなりの期間にわたって持ち続けると期待できるので、そうした銘柄を持っている場合は個人投資家の安心感も増します。

あるいは、出来高を伴って上昇し始めている銘柄を見つけて、そうした銘柄を買いに行くのも一つの投資方法としてあり得るかと思います。

機関投資家の動きは非常に短期で動く一部のヘッジファンドを除けば、比較的長期投資であるケースが多いので、機関投資家が動く時は、ある程度方向性を見定めた時でしょう。

したがって、市場の方向性を見定める時も、上昇でも下落でも出来高が増えての動きが続くような場合は、そちらの方向へ動く可能性が高いと思って良いかと思います。

もちろん、短期でトレーディングをする資金もあるので、常に上の経験則が正しいとは限りませんが、傾向としてはあり得るかと思います。

機関投資家の動きを知る方法は、実はあまり無く、銀行や保険会社は、噂や金融系のニュースで報道される程度です。

そして、そこで話される内容は、これからどう動くかではなく、これまでどう動いたか。

これからどう動くかは、下手をすると先回りされて、投資機会を失ってしまう可能性があるので、開示はされません。

投資信託も事後的に運用レポートなどで、どう動いたかを公表しています。

公的年金(例えばGPIFなど)や基金・財団は、毎年資金運用状況についての年次報告を公表しています。

それらを見ることで、どのような状況の時にどのような行動をしたのかなどを推測することができます。

運用会社の投資状況は、年次のレポートだけでなく、SEC(証券取引委員会)に報告した内容が少し遅れて公表されます(13F レポートと呼ばれます)。

バフェットの会社であるバークシャー・ハサウェイの上場株式の投資銘柄もほぼこちらで分かります。これを眺めているだけでも、とても勉強になります。

機関投資家の行動は、正確には分かりづらいものの、その置かれた状況や規制とその投資行動の特徴を理解しておくと、公表データなどから多くのことを学ぶことができ、次の自分の投資行動に活かすこともできます。

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