The Motley Fool

「最も価値あるブランド100」から厳選した、バリュエーションが魅力的な銘柄

出典:Getty Images

2020年初からのコロナショックにより、1月時点で過去最高水準にあった世界の株式時価総額は約88兆ドルから3月初旬には19兆ドル減少し、約22%の下落、事実上の「弱気相場」入りと言われています。

そんな中、各国政府と中央銀行が異例の財政支出に追加の金融緩和を発動した事が功を奏し、7月末時点で世界の時価総額は約86兆ドルと、V字回復すると同時にコロナ禍においても競争優位性を活かす事で、そのブランド価値を高める事に成功した銘柄も存在します。

出所:ブルームバーグ

そこで今回は、米経済誌フォーブスが前年度の会計年度よりに選ぶ「最も価値あるブランド100」をテーマに、上位30ブランドの優良企業に焦点を当てます。

これらのブランド価値の算出はフォーブスが定めるメソドロジーに基づいています。

METHODOLOGY:対象ユニバースは米国内で注目に値する200社
企業がもたらした収益と税引前当期利益 (EBIT)を算出。
過去3年間のEBITを平均化すると同時に、資本利益率が8%未満のブランドを除外。
②のEBITを各産業におけるその企業のブランドが持つ役割を基に配分。

*帰属する親会社の本籍地における法人税率を当期純利益に適用

*EBITの利益は過去3年間に渡るPERから算出

まずは、2020年のブランドリストにおいて、過去1年間で、そのブランド価値が最も上昇した、また最も減少した銘柄のトップ5を見る事で、市場のトレンドを見てみます。

出所:forbes.com「BY THE NUMBERS」を基に筆者作成

上図の通り、Netflixは年間で、ブランド価値が7割も上昇しており、その順位も38位から26位にライクインすると同時に、S&P500の構成銘柄として時価総額は22位の約24兆円と日本で最大のトヨタ自動車を上回っています。

またクレジット大手のVISAの順位は25位から18位に上昇すると同時に、決済ネットワークの拡大が評価され、時価総額が10年で10倍、「テンバガー」に成長しました。

一方で、ブランド価値が減少したグループでは、特に自動車セクターが多く、メルセデスベンツやBMWはそれぞれ順位を17位から23位、21位から27位と落としており、日産に至っては、昨今の不祥事と相まって、遂に上位100から除外される結果となりました。

さて、2019会計年度におけるブランド価値のランキングトップ100の合計額は2.54兆ドルであり、前年度から約9%の上昇を達成しました。

各ブランドの特徴としては、株式時価総額と同様に米IT大手5社のGAFAMを筆頭にテクノロジーセクターが20銘柄ランクインとシェア首位と圧倒的な存在を見せています。

ブランド価値トップ30

Rank Brand Ticker Brand Value (Million in USD) Industry Nationality
1 Apple AAPL 241,200 Technology United States
2 Google GOOGL 207,500 Technology United States
3 Microsoft MSFT 162,900 Technology United States
4 Amazon AMZN 135,400 Technology United States
5 Facebook FB 70,300 Technology United States
6 Coca-Cola KO 64,400 Beverages United States
7 Disney DIS 61,300 Leisure United States
8 Samsung 5930 50,400 Technology South Korea
9 Louis Vuitton LVMH 47,200 Luxury United States
10 McDonald’s MCD 46,100 Restaurants Japan
11 Toyota 7203 41,500 Automotive United States
12 Intel INTC 39,500 Technology United States
13 NIKE NIKE 39,100 Apparel United States
14 AT&T T 37,300 Telecom United States
15 Cisco CSCO 36,000 Technology United States
16 Oracle ORCL 35,700 Technology United States
17 Verizon VZ 32,300 Telecom United States
18 Visa V 31,800 Financial Services United States
19 Walmart WMT 29,500 Retail United States
20 GE GE 29,500 Diversified United States
21 Budweiser ABI 28,900 Alcohol Belgium
22 SAP SAP 28,600 Technology Germany
23 Mercedes
-Benz
DAI 28,500 Automotive Germany
24 IBM IBM 28,200 Technology United States
25 Marlboro PM 26,800 Tobacco United States
26 Netflix NFLX 26,700 Technology United States
27 BMW BMW 25,900 Automotive Germany
28 American Express AXP 25,100 Financial Services United States
29 Honda 7267 24,500 Automotive Japan
30 L’Oréal OR 22,800 Consumer Packaged Goods France
Total Brand Value 1,704,900

出所:forbes.com「THE WORLD’S MOST VALUABLE BRANDS」を基に筆者作成

ここでは、上記のブランド価値の上位30において、最もバリュエーションが魅力的な企業トップ10を分析対象とします。

バリュエーション指標としては、企業価値評価の手法の一つ「EV/EBITDA」を用いる事で、利払い税引き前・償却前営業利益のEBITDAに対して、事業価値であるEVが小さく、つまり対象ブランドを保有する銘柄がいかに過小評価されているかという点を判断基準とします。

また、FCFMは具体的に「フリーキャッシュフロー÷売上高」であり、配当原資となる現金をいかに効率よく稼いでるかを見る財務指標の一つです。

【優秀銘柄】~Top 10 Undervalued Brands~

No. Brand
Ranking
Brand Ticker EV/EBITDA FCFM
(TTM)%
ROE
(TTM)%
1 20 GE GE 4.09 2.83 -14.25
2 8 Samsung 5930 4.79 7.83 7.43
3 12 Intel INTC 5.59 27.74 30.10
4 14 AT&T T 7.22 14.84 6.61
5 29 Honda 7267 8.46 1.01 2.51
6 17 Verizon VZ 8.52 16.3 32.1
7 27 BMW BMW 9.9 -3.33 8.3
8 15 Cisco CSCO 10.01 29.26 29.74
9 11 Toyota 7203 10.22 0.86 7.95
10 24 IBM IBM 10.95 16.06 41.25

EV/EBITDA, ROE(TTM):Valuationー(morinigstar.com)

FCFM (TTM):Key Ratioー(morinigstar.com)

*上記3指標はいずれも2020/08/20時点のデータを参照。

ゼネラル・エレクトリック(NYSE:GE)

比較データ

  • EV/EBITDA:4.09→「 Top 10 Undervalued Brands」内順位No.1
  • FCFM (TTM):2.83%→「Top 10 Undervalued Brands」内順位No.7
  • ブランド価値:「最も価値あるブランド100」内順位No.20

長期チャート  (過去30年チャート対S&P500)

コメント

1892年にトーマス・エジソン氏によって誕生した同社は、世界屈指のコングロマリット企業として、航空機エンジン、発電事業、医療診断から家電機器まで多岐に渡って、デジタル産業を100カ国以上の地域に提供しています。

同社は最初のダウ平均構成銘柄12社の一角として、唯一その地位を2018年まで守っていましたが、電力事業で巨額の赤字を計上した後にCEO退任かつ約88%の大減配と業績不振が続いた結果、大幅に時価総額が減少した事で、同指数から除外されました。

財務面でも通期は3期連続の最終赤字を計上しており、株価はリーマンショック以来の安値にありますが、発電用タービンや画像診断機器のシェアが高く、フォーブスの「GLOBAL 2000」において53位と世界の上場企業における評価は依然維持されています。

2018年に初の社外CEOとして起用された米医療機器メーカーのダナハー出身のカルプ氏は、今年以降のキャッシュフロー改善に前向きな姿勢を示しており、今後の経営再建が期待されています。

サムスン電子

比較データ

  • EV/EBITDA:4.79→「 Top 10 Undervalued Brands」内順位No.2
  • FCFM (TTM):7.83%→「Top 10 Undervalued Brands」内順位No.6
  • ブランド価値:「最も価値あるブランド100」内順位No.8

長期チャート  (長期チャート対S&P500)

コメント

昨年創業50年を迎えた同社は韓国最大の上場企業かつ、時価総額ベースで同国株式市場のの2割超を占めており、特に電子機器分野におけるリーディングカンパニーです。

同社は韓国における世界首位品目数7項目のうち、スマートフォンなど計5項目で首位とハイテク関連分野を中心に圧倒的なマーケットシェアを握っています。

中でも、DRAMとNAND型フラッシュメモリーといった半導体事業でそれぞれ世界最大のシェアを持っており、同分野はサムスン電子の営業利益の7割を稼ぐコアビジネスです。

スマートフォンや薄型テレビにおいても世界トップメーカーとしてのブランド力が強みである一方で、同分野は中国企業が政府支援のもとでシェア拡大を目指しており、今後の競争激化が予想される環境下において、事業セグメントの選択と集中により、競争優位性の高いサムスンブランドを維持できるかが課題と言えます。

インテル(NASDAQ:INTC)

比較データ

  • EV/EBITDA:5.59→「 Top 10 Undervalued Brands」内順位No.3
  • FCFM (TTM):27.74%→「Top 10 Undervalued Brands」内順位No.2
  • ブランド価値:「最も価値あるブランド100」内順位No.12

長期チャート  (過去30年チャート対S&P500)

コメント

1968年創業の同社は、マイクロプロセッサーの製造において世界最大のシェアを持ち、特にPCやデータセンターのサーバーを処理するCPUにおいて売上高が世界トップです。

とりわけ、2020年初からのコロナ禍における在宅勤務や遠隔授業からPCやデータセンター向けの半導体事業が好調で、今期の売上げ高を5年連続で過去最高更新と予想しています。

また、今夏にNVDAが同社の時価総額を上回り、AMDのCPUにおける追い上げと競争激化に対抗すべく、画像処理性能やAI計算の能力を飛躍的に高めた新製品「第11世代コアプロセッサー」を発表しており、同社の競争優位性を高める事でブランド強化に努めています。

財務面ではFCFM、ROEの過去10年間における平均値がともに20前後と、長期に渡って高収益体質なビジネスモデルを維持しており、リターンの面でもS&P500に対して明らかな優位性を示しています。

フリーレポート配信

このレポートでは、eコマース、ヘルスケアテックやギグエコノミー等の長期的なメガトレンドにのれそうな米国株5銘柄を紹介します。

長期的なメガトレンドにのる米国株5銘柄紹介」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。

公式ツイッターアカウント公式フェイスブックアカウントをフォローする。

また、公式LINEアカウントの方では、投資初心者向けの情報を発信しています。
友だち追加

免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

最新記事