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中断されたアストラゼネカのコロナワクチン開発が再開される可能性

出典:Getty Images

9月9日のニュースによれば、新型コロナウイルスのワクチン開発の最前線にいるイギリスの大手製薬企業であるアストラゼネカ(NYSE:AZN)が、一人の患者に深刻な副作用が見られたため、臨床試験を一時的に中断しました。

これを受けて、ニューヨーク証券取引所に上場されている同社の株は一時的に8%下落しました。

中断期間がどれくらいになるか明らかになっていませんが、今年の10月に予定していたコロナワクチンの提供開始時期が遅れる可能性が高まっています。

経済に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスのパンデミックを収束させるにはコロナワクチンが重要であるため、米国株投資においては最新のコロナワクチン情報を常に得ておく必要があります。

そこで、この記事では臨床試験が中断されたアストラゼネカのコロナワクチン(AZD1222)の開発状況について解説および分析していきます。

さらに、後半では同社の上半期の決算状況について解説します。

アストラゼネカのコロナワクチン開発はすぐに再開される可能性がある

アストラゼネカのコロナワクチン(AZD1222)には無毒のアデノウイルスが使用されており、このウイルスは新型コロナウイルス( SARS-CoV-2)の一部(タンパク質)をコードする遺伝子を有しています。

その一部のタンパク質によって人体に免疫が付与されます。

AZD1222の臨床試験は、米国、イギリス、ブラジルおよび南アフリカで行われています(追加で日本とロシアで行われる予定)。

臨床試験の段階は、米国ではフェーズ3(最終段階)、それ以外の国ではフェーズ2/3となっています。

今回の中断の原因となった副作用は、イギリスでの臨床試験で見られました。

詳細は明らかになっていませんが、一人の患者で副作用が見られ、現在は回復している段階にあるようです。

アストラゼネカは、任意なのですが一時的に全ての臨床試験を中断し、独立した組織であるデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)によるチェックを受けることを発表しました。

臨床試験が一時的に中断されることはよくあるようなので、それほど心配する必要はないでしょう。

また、重要なポイントは、今回の中断とチェックは第三者である組織からの要請ではなく、同社の任意で行われているものであり、このことからその中断はそれほど深刻ではないと考えられます。

以上のことから、同社の臨床試験はすぐに再開される可能性があります。

アストラゼネカの株は8%下落

先述したように、今回の臨床試験の中断をそれほど深刻に受け止める必要はないのですが、コロナワクチンの提供は予定よりも遅れる可能性が出てきました。

同社の中断発表を受けて、アストラゼネカの株は一時的に8%下落しました(ニューヨーク証券取引所)。

長期投資においては、まだ売買の判断は早い気がします。

まだネガティブな情報とは言い難く、今後のアストラゼネカからの発表や最新の情報に注意しておく必要があります。

アストラゼネカはグローバル大手製薬企業

1999年にスウェーデンのAstra AB社とイギリスのZeneca Groupが合併し、アストラゼネカが設立されました。

従って、同社はスウェーデンとイギリスの企業ですが、本社や重要な機能はイギリスにあります。

その後大きく成長し、現在は売上高で比較した製薬企業のランキングでは10位以内にランキングされています。

スタンダード&プアーズおよびムーディーズからは、各々BBB+およびA3の格付けを得ている優良な企業です(2019年)。

同社は、がんや循環器などの疾患の治療薬やワクチン開発・提供に取り組んでおり、その中でがんの治療薬で最も高い売り上げを得ています。

アストラゼネカの上半期の業績は良好

2020年7月30日に発表されたアストラゼネカの決算報告書によれば、同社の上半期の業績は良好でした。

前年同期比で売上高は12%増加しました(2020年H1: 126億ドル、2019: 113億ドル)。

また、営業利益も12%増でした(2020年H1: 102億ドル、2019年H1: 91.2億ドル)。

複数のがん治療薬の売り上げが伸びたことが主な要因です。

以下に部門ごとに説明していきます。

がん

子宮がんなど様々ながん治療薬の開発・提供が行われています。

前年同期比で売上高は28%増と大きく伸びました(2020年H1: 51億ドル)。

特に新興国での売り上げが伸びたようです。

また、非小細胞肺がんという一種の肺がんの治療薬であるOsimertinibの売り上げが最も大きく伸びました(前年同期比で16%(2020年H1)あるいは32%(2020年Q2)増加)。

ちなみに、この治療薬の売り上げは特にヨーロッパで大きく増加しました。

循環器・腎・代謝(CVRM)

2型糖尿病などの治療薬の開発・提供が行われています。

前年同期比で売上高は10%増(2020年H1: 22.5億ドル)でした。

呼吸器・免疫

新型コロナショック感染症を含む感染症などの治療薬やワクチンの開発・提供が行われています。

前年同期比で売上高は7%増(2020年H1: 26.6億ドル)でした。

コロナワクチンがマーケットに出れば、この部門は大きく伸びると思われます。

まとめ

アストラゼネカのコロナワクチンの最新情報について解説しました。

アストラゼネカのコロナワクチンは中断されましたが、現在公開されている情報によれば、すぐに開発が再開される可能性が高いでしょう。

ただし、詳細な情報はまだ明らかになっていないので注意が必要です。

一方で、アストラゼネカの最新の業績は良好です。

例えコロナワクチンが中止になったとしても、その影響は軽微でしょう。

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