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バフェット氏が日本主力商社5社に投資をした狙いとは

出典:Motley Fool

著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハサウェイが12ヶ月間に渡り、63億ドル(約6,700億円)を日本の主力商社5社に投資したことが明らかになり、市場の話題となっています。

今回はバフェットが8月31日に保有していると明らかになった「伊藤忠商事」「三菱商事」「三井物産」「住友商事」「丸紅」の5社及び日本の総合商社全般についてご紹介します。

商社株を選んだ狙いは何か

バークシャー・ハサウェイが前述の5銘柄を「まとめ買い」した状態で、各社の持ち株比率を現状の5%程度から将来的に株価水準によっては9.9%まで引き上げる可能性を言及しました。

バークシャー・ハサウェイの手元資金は1,500億ドルに達し、株式の総額が2,000億ドル強に上ることを考慮すれば、今回の投資額はそれほどではないかもしれません。

しかし、これまでバフェット氏の投資哲学では、すばらしい企業の一部を保有する、分かりやすいビジネスを行っている企業を保有するといったことが話題になりましたが、これら5社ではそれとは全く異なり、各商社とも株価水準、経営者の考え、企業体質も違う企業をまとめ買いしたのは、大きな驚きと新たな魅力に満ち溢れています。

その魅力の一つが総合商社の割安感ではないでしょうか。

主力商社5銘柄(2020年9月5日時点)

PER PBR
伊藤忠 10.4 1.35
三菱商事 19.3 0.74
三井物産 18.2 0.85
住友商事 0.69
丸紅 11.2 0.72

9月5日時点で、5社のうち伊藤忠を除く4社は未だPBR1倍割れである「解散価値割れ」を持続しています。

また、PERにいたっても日経平均全体のPER21.97倍(9月5日時点)を5社すべてが割っており、割安感が広がっています。

もう一つの魅力は、キャッシュフローを確保しつつ、資源関連の投資を行える点ではないでしょうか。

バフェット氏はかつての総会で、金投資について「何も生み出さない」と語ったことが有名でもあるように、企業やビジネスの成長に繋がらない投資について否定的です。

しかし、総合商社への投資はインフレヘッジと共にキャッシュフローを生み出すバランスの取れた投資先とも捉えることができます。

商社株は海外投資家には不人気なセクター

総合商社はこれまでビジネスモデルが複雑で分かりにくいために、海外投資家からは不人気な銘柄とされてきました。

ビジネスモデルを分類すれば、大きく分けて、トレードと事業投資の2つがあります。

トレード

トレードは総合商社の基幹的なビジネスであり、重要な機能を持っています。

数ある商材の販売チャネルと情報・物流ネットワークをグローバルに展開し、ビジネスと関連した金融・保険機能を活用し、商流を構築します。

事業投資

ビジネスを立ち上げるのに重要な手段となるのが事業投資です。

トレードの拡大や関連ビジネスの拡大が実現可能であるか、投資判断を行います。

経営参画や企業買収など、最適な投資をしたのち、人材・資金・経営ノウハウ等の経営資源を投入し、事業経営をしていきます。

これにより出資先企業の企業価値を向上させ、総合商社のグループ収益も向上することが可能となります。

近年、総合商社はグループ経営を重視する傾向にあります。

このように総合商社は事業展開の多角化が行われていて、複雑な収益体系となっています。

そのため、企業の評価が難しく投資先としては敬遠されてきました。

また、総合商社の多くは近年、多額の減損損失を出しています。

これは総合商社が事業投資の高値掴みか、投資判断を間違っているかを表しているともいえるのではないでしょうか。

しかし、一方では近年、株主還元が大きく改善してきたという一面もあります。

バフェット氏の投資で今後の日本株のイメージアップに期待できるか 

バフェット氏が8月にカナダの金鉱山大手のバリック・ゴールド株を新たに取得したときは、市場で追随買いを誘いました。

今回の日本商社株を取得したことで、日本市場に追随買いを誘うことになるのでしょうか。

直近の業績では、総合商社7社(他、双日及び豊田通商を含めた計7社)の第1四半期は、7社合計で63%の減損損失を出しており、資源・非資源分野で低迷しています。

このうち、住友商事は収入が支出を上回った赤字であり、他6社は減益となっています。

減益が小さいのは伊藤忠商事、丸紅の2社であり、その他の5社は5割を超える大幅減益となっています。

しかし、各社とも22年第1四半期はコロナウイルス感染拡大が終息した場合は大きく改善する見通しであり、特に業績動向が目立つのは伊藤忠商事であり、株価は底堅く推移しています。

一方、三菱商事は77%減益となり、豪州の原料炭の市況悪化による事業損失などが大きく影響しました。

現在の海外機関投資家がバフェット氏が投資したからといって、日本株へ資金流入するとはとても現実離れした考えだとは思いますが、日本株の割安感に着目をし始める海外個人投資家は、少なくとも一定数存在するものだと筆者は考えています。

そして、直近で起きた出来事として、安倍晋三首相の辞意表明が挙げられます。

安倍氏が2012年12月に選挙で勝利した週から15年6月末までに、外国人投資家は25兆円近くの日本株を買い越しましたが、足元の8月第4週(8月24~28日)の投資部門別株式売買動向によれば、海外投資家(外国人)は1597億円の売り越しでした。

海外からの日本株への資金流入が反転しているタイミングでのバフェット氏の動向には、他の投資家と逆行していることが伺えます。

今後、日本企業が株主還元を積極的に行い、ROEなどの指標の改善に務めることでより一層の海外からの日本株への資金流入も望めるのではないでしょうか。

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免責事項と開示事項 記事の作者、池田健二は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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