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損益計算書とは?企業の経営の成績表を表す指標の見方を解説

出典:Getty Images

貸借対照表とならび、投資のファンダメンタルズ分析を行う上で重要な資料が損益計算書を思い浮かべる人も多いかと思います。

しかし、貸借対照表と同様に専門用語が並んでいてそれが何を表すのかわかりませんよね。

簡単に言えば損益計算書は学校の成績表のようなものです。

株式を購入する際に、その企業がどのような成績を出していて今後はどのような成績を出してくれそうか気になりますよね。

いくら企業の健康状態がよくても、成績不振で今後も伸びる見込みがなさそうであれば将来性が期待できません。

それを見抜くためには損益計算書を読み取る力をつける必要があります。

損益計算書とは?

引用:中小企業庁

【図1

【図1】が「報告式」の損益計算書です。

そもそも損益計算書は「勘定式」「報告式」2つの仕様があります。

どちらを使用してもいいのですが、企業会計は原則「報告式」を用いることになっています。

それは勘定式は簿記の知識を持たない人には不利と言われているからです。

投資家としては「どのような要因で利益が出たのか」を知りたいため、それには報告式の方が説明しやすいためです。

そのため、今回は「報告式」の損益計算書について解説していきます。

【図1】を見てください。

左上の青く塗りつぶされた部分の「経常損益の部」「営業損益の部」「営業外損益の部」があるのがわかります。

まず、「営業損益の部」が企業が営業活動で得た利益です。

続いて、「営業外損益の部」は企業が本業以外で得た損益です。

例えば、資金の貸し付けなどで得た利息、有価証券の配当、借入金の支払い利息などです。

続いて左下の青く塗りつぶされた部分の「特別損益の部」にいきましょう。

「特別利益」、「特別損失」があると思います。

「特別」とありますので臨時で得た、または支出した金額です。

例えば、当期に不動産の売却をし収入を得た場合、有価証券の売却益などがこれにあたります。

そして全ての合算し、プラスになれば「税引前当期利益」、マイナスになれば「税引前当期損失」となります。

その後、法人税、住民税を支払い「当期純利益」または「当期純損失」が算出できます。

ファンダメンタルズ分析で抑えておきたい損益計算書のポイント

報告式の損益計算書の見方を説明をしていきましたが、ファンダメンタルズ分析をする上でどのように活用すればよいのでしょうか。

ポイントを以下の5つにまとめました。

  1. 売上高営業利益率
  2. 売上高経常利益率
  3. 売上高販管費率
  4. ROA(総資産利益率)
  5. ROE(自己資本利益率)

ここで疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。

「図1の報告式損益計算書には①~⑤はどこにも書かれていないのでは?」

おっしゃる通りで、これらの①~⑤は損益計算書からはわかりません。

ではどうするかというと、自分で計算をするしかありません。

しかし、昨今は株価分析ツールが様々な所で充実してきていますので、簡単に調べることもできます。

ここでは使い方に絞って解説していきます。

売上高営業利益率

いわゆる「粗利率」と呼ばれるものです。

売上高に対して営業利益が占める割合を示す財務指標です。

例えばある企業が、仕入れ価格2000万円、これを加工、組立をして5000万円で販売します。

その際に販売管理費が1000万円だとします。

すると、

5000万円(売上)-2000万円(仕入れ)-1000万円(販売管理費)=2000万円(営業利益)

売上高営業利益率=2000万円(営業利益)÷5000万円(売上)×100 = 40%

つまりこの企業の売上高営業利益率は40%ということになります。

一般的には10%以上が好ましいとされています。

ただし、業種によってばらつきはあるため、同業種との比較は行ってください。

売上高営業利益率が高い企業の特徴は、経営効率がいいことが挙げられます。

例えば、仕入れが発生せずサービスのみで営業活動ができる、広告など販売管理費が少ない企業などです。

ここで大切なことは、売上高営業利益率が低くても今後上昇が見込まれれば株価は上昇していく傾向があります。

これは、営業効率が上昇しているとして将来的に利益に貢献できると期待されます。

売上高営業利益率が前期、前々期に比べどのように推移しているか確認しましょう。

売上高経常利益率

売上高に対する経常利益の割合を示します。

例えばある企業が、仕入れ価格5000万円、これを加工、組立をして1億円で販売します。

その際の販売管理費が2000万円とします。

すると、

1億円(売上)-5000万円(仕入れ)-2000万円(販売管理費)=3000万円(営業利益)

さらに当期営業外収益(有価証券の売却益など)が1000万円、

営業外損失(固定資産の売却損など)が3000万円、

3000万円(営業利益)+1000万円(営業外収益)-3000万円(営業外損失)

= 1000万円(経常利益)

売上高経常利益率=1000万円÷1億円(売上)×100 = 10%

つまりこの企業の売上高経常利益率は10%となります。

一般的に売上高経常利益率は5%以上が好ましいと言われています。

こちらも業種によってばらつきはあるため、同業種との比較は行ってください。

この売上高経常利益率から言えることは、いくら営業利益が好調でも、営業外収益が悪ければ経常利益は落ち込みます。

また逆もあり、営業利益が不調でも固定資産の売却などで営業外収益が好調でも経常利益は上昇します。

このような営業外収益は一過性のものも多いため、内容を慎重に見極める必要があります。

売上高販管費率

売上高に対する販売管理費の比率を示します。

例えばある企業が、仕入れ価格8000万円、これを加工、組立をして2億円で販売します。

その際の販売管理費が4000円とします。

すると、

4000万円(販売管理費)÷2億円(売上)×100 =40%

つまりこの会社のい売上高販管費率は40%です。

一般的には10%以上が好ましいとされています。

しかし、販売管理費は業種によって様々です。

ここでも同業種との比較は行ってください。

ROA 総資産利益率

総資産に対する当期純利益の割合を示します。

ROAは借り入れなどの負債と自己資本を全て含めた総資産に対する当期純利益の割合です。

一般的にROAは5%以上が好ましいと言われています。

ROAを見れば企業が総資産をどれだけ上手く活用して利益を生み出しているのかを知ることができます。

つまり借り入れを利用して効率よく利益を上げられている企業はROAが高くなります。

ROE 自己資本利益率

自己資本に対する当期純利益の割合を示します。

実はこのROEは日本株市場で半分近くの参加率を誇る外国人投資家にとても注目されています。

ROAと違い、銀行からの借り入れなどを除いた自己資本に対する当期純利益の割合です。

一般的にROEは10%以上が好ましいと言われています。

前述の外国人投資家もROEが10%以上の銘柄を好む傾向があります。

2つの企業の例を見てみましょう。

A社:自己資本(1億円)、当期純利益(1000万円)

B社:自己資本(5000万円)、当期純利益(1000万円)

A社ROE:10%

B社ROE:20%

極端な例ではありますが、当期純利益が同じであっても自己資本の大きさによってROEは大きく変わります。

例えば、10人で100の仕事をするよりも5人で100の仕事をした方が、生産性もいいです。

企業も少ない自己資本をいかに効率よく利益に貢献させるか、これは経営者の手腕にかかっています。

損益計算書と貸借対照表の関係性

よく比べられる指標の2つですが、どちらかだけではなく両方をしっかりと分析するようにしてください。

例えば、あなたのお財布事情を考えてみるとわかりやすいです。

まずあなたの貯金が貸借対照表、収入が損益計算書です。

一時的に収入が途絶えても貯金がある程度あれば、生きていけます。

逆もしかりで、貯金がなくても継続的な収入があれば生きていけます。

どちらが良いから優秀などではなく、バランスが重要なのではないでしょうか。

銘柄分析も一緒です。

まずは企業の貯金額を把握し、同時に年収も確認してください。

どちらか一方ではなく、2つのバランスをよく確認しておきましょう。

損益計算書を読み取り、会社の「稼ぐ力を分析しよう

企業が今後伸びるか伸びないかは「稼ぐ力」があるかないかです。

これは例えると会社員の収入の部分です。

収入が高い=稼ぐ力(スキル)が高いということです。

貯金が少なくても、稼ぐ力があれば将来性もあると見ていいでしょう。

ベンチャー企業などはその典型です。

自己資本は少ないですが、稼ぐ力があれば驚くほどの伸びが見込めます。

逆に大企業で財務状態が良くても、稼ぐ力がなければ衰退を待つのみです。

損益計算書をしっかりと読み取って、会社の「稼ぐ力」を分析しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事で最も伝えたいことは、株価が伸びるかどうかは損益計算書を見ればわかると言って過言ではないでしょう。

日本企業は近年全体的に稼ぐ力が弱まっていると言われています。

そんな中でも独自のアイデアや技術で驚くような急成長を遂げている企業もあります。

そこには、徹底したコスト削減、少ない資本で効率的に収益を上げる仕組みができているなど様々な要因があります。

しっかりと損益計算書を分析して、銘柄選択をしていきましょう。