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バフェットの投資手法を学ぶ上で重要な長期投資銘柄

バフェットの投資法と言えば割安株投資、と簡単に済ませてしまうほど単純ではありません。

投資ホライズン(想定保有期間)は永遠と言っているバフェットでも、彼のポートフォリオを長く見ているとだいぶ変わってきています。

バフェットが売却して他の銘柄に乗り換えたケースもあれば、投資していた会社を更に買い増しして完全子会社化してしまうケースや、投資していた会社が買収されて、他の銘柄に代わってしまったケースもあります。

今年話題になった、エアライン株を全て売却するというように、経済環境が想定と全く変わってしまったという判断による売却もあります。

そうした中でも、長期で保有している銘柄をピックアップして、バフェットの投資手法のエッセンスを知っていただければと思います。

今回取り上げるのは、コカ・コーラ、アメリカン・エクスプレス、クラフト・ハインツ、コストコ、そしてプロクター&ギャンブルです。

コカ・コーラ

バフェットと言えば、コカ・コーラ(NYSE:KO)と言われるくらいお気に入りの銘柄として有名です。

バフェットの投資のエッセンスが全て詰まっていると言っても過言ではないくらいの銘柄です。

1988年から保有しており、現時点でもバークシャーのポートフォリオの中で3番目の大きさを占めています。

約2兆円分を保有しており、これはコカ・コーラ社が発行する株式の9.3%にあたります。

シンプルで分かりやすいビジネスであり、70年代の混乱から復活し、安定した事業実績が見込める企業です。

そして、高い利益率(純利益率は24%程度)とROEも約42%と高水準です。

購入時は、ロベルト・ゴイズエタ会長とドン・キーオ社長という非常に定評のある経営陣でした。

こうした条件を踏まえた上で、1988年、ブラックマンデーの翌年で暴落前よりもさらに25%ほど低い水準にあるころで同社株の購入を開始しています。

株価の成長という意味では、過去10年で2倍に満たないので、購入当初のように安定成長株というイメージからすると、株価は今一つ冴えない展開です。

ただ、新型コロナウィルスの感染に伴う経済活動の停止という大きな向かい風はあるものの、コカ・コーラの販売する飲料類の需要が大きく落ち込むことは想像しがたく、収益性も高く、良いビジネスであることは間違いありません。

アメリカン・エクスプレス

アメリカン・エキスプレス(NYSE:AXP)はバークシャー以前のパートナーシップ時代の1960年代半ばには、運用資産全体のうち40%を投資したこともあり、バフェットにとっては古くからなじみのある銘柄です。

今でもポートフォリオの4番目に大きい保有で、1兆5千億ほど投資しており、同社の18.8%を所有していることになります。

アメックスはカード会社であり、カードホルダーが買い物をしてくれることで売り上げが立つ、きわめてシンプルかつ分かりやすいビジネスです。

新型コロナウィルス感染拡大による経済活動の停滞は、同社のビジネスには非常に厳しい影響がありましたが、経済活動の再開とともに消費活動も徐々に戻ってくると期待されています。

また、ROEも約30%と高水準で、収益性の高いビジネスです。

誰かがどこかで何かをアメックスのカードを使って買ってくれさえすれば売上が立つという、バフェットがよく言う「通行料金所」(Toll Gate)型ビジネスです。

クラフト・ハインツ

2013年に3Gキャピタルというファンドと組んで、バフェットはH.J.ハインツというケチャップのトップブランドのメーカーを買収して非上場化しました。

それまでも、コカ・コーラやマクドナルドと言った消費者ブランドの会社を好んで買っていたこともあり、このH.J.ハインツの買収は、バフェットにぴったりの会社という評判でしたし、バフェット自身もそう思っていたようです。

そのハインツとクラフト(フィリップモリスから2007年にスピンオフ)が合併し、クラフト・ハインツ(NASDAQ:KHC)として存続会社になったため、現在も保有しています。

1,000億円以上の売り上げを持つブランドを8つ持ち(クラフト、ハインツ、クールエイド、フィラデルフィアなど)、北米3位、世界で5位の食品・飲料会社です。

純利益率は約14%、ROEも約14%です。

高い成長性はないにしても、生活必需品分野で強いブランドを持ち、安定したビジネスが期待できる企業です。

コロナ以前からビジネスの成長の伸び悩みが見え、株価も不調です。ターンアラウンドが期待されている状況です。

コスコ(コストコ)

日本ではコストコ(NASDAQ:COST)で有名な、会員制のホールセール・ウェアハウスです。

バフェットはこの会社に2000年から投資をしており、現在1,500億円の時価、コスコにおける株式所有率としては1%です。

メンバー制で消費者向けに卸売り価格に近いディスカウント価格で販売するというこの販売形態では、ウォルマートの子会社であるサムズクラブとの二大巨頭となっています。

新型コロナウィルスの影響で、客足は若干落ちているものの、その分eコマースの売上が伸びるなど、業績の落ち込みは見られていません。

メンバーシップの更新率も非常に高く、今後も安定した業績が期待できます。

バフェットポートフォリオの中では、珍しく収益性の低い(利益率が低い)ビジネスです。

利益率に上限を設けており、その分、顧客に還元する(より安く販売する)という哲学を堅持しており、それによって顧客から強い支持を受けています。

“Slow and Steady”(ゆっくり着実に)という方針で成長しています。

それでも、業績成長に伴い、過去10年で株価は5倍になっています。

利益率は低いものの、高いROE(20%台半ば)と強い顧客ロイヤルティ、安定成長が見込まれる事業形態、こうしたことが、バフェットが20年同社を保有していることにつながっていると思われます。

プロクター&ギャンブル

もともとはヒゲ剃りで有名なジレットに投資をしており、91年にはバフェットのポートフォリオの約15%をジレットが占め、ポートフォリオの保有上位3位に入っています。

ジレットのビジネスモデルは、ヒゲ剃りのホルダーではなく、消耗品であるカミソリの刃で儲けるというものです。

このビジネスモデルは、コピー(トナーで儲ける)やインクジェットプリンター(インクで儲ける)のもとになったものです。

男性にヒゲが生え続ける限り需要はあるという、安定成長のビジネスモデルです。

そのジレットが2007年、P&G(NYSE:PG)に買収され、これによってバフェットのジレットの保有がP&Gに代わりました。

P&G自身も、数多くのトップブランドを持つ世界的な日用品メーカーです。

収益性も高く(純利益率約18%)、ROEも20%台後半と高水準です。

成長性は高くはないものの、収益性は高く、ゆっくり着実に成長していると言えます。

まとめ

安定的に成長が持続することが期待され、収益性、ROEの高いビジネスを好むというのがバフェットのスタイルであるようです。

そして、しかも割安にこだわるので、投資家としてはとても慎重な姿勢が見て取れます。

時代の移り変わりということもあるのでしょうが、テクノロジーの急速な売り上げ成長などは長期で持続することは期待できず、バフェットのスタイルには合わないだろうなとも思います。

二人の後継者、テッド・ウェシュラーとトッド・コームズが時代に合った形でバフェットの投資哲学を受け継ぎつつ、進化させていくことで、バークシャーの運用は継続していくのでしょう。

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免責事項と開示事項 記事の作者、松本義和は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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