【米国株決算】ビザの最新決算情報と今後の株価の推移

ビザ(NYSE:V)はアメリカに本社を置く、アメリカのクレジットカード会社です。
同社はカードの発行やその他サービスを提供せず、同社からライセンスを得た業者が自身の会員にそれらのサービスを提供しています。
したがってビザは金融機関などに対して、クレジットカード「Visa」やデビットカード、プリペイドカード、企業間取引の決済処理プラットフォーム、ATM網「PLUS」「Interlink」、電子決済、モバイル決済、リスク管理、カード発行処理、顧客ロイヤリティープログラム、不正・オンラインセキュリティ管理決済関連サービスを提供しています。
主な競合としては、アメリカンエキスプレスやマスターカードのほか、今台頭しつつあるモバイル決済サービスを提供する各社などが挙げられます。
本記事ではビザの最新決算である、2020年第3四半期決算の内容と今後の株価の推移などについて見ていきます。
決算発表前におけるビザの株価等のデータ
ビザは2020年第3四半期決算を7/28の引け後に発表しましたので、決算発表直前である7/28における同社株価の値動きについて見ていきます。
7/28の始値は197.69ドルであり、その後日中は上昇していましたが、閉場に近づくと下落し、始値より0.63ドル安の197.06ドルで引けています。
続いて同社株価の今までの推移について概観していきます。
同社株価は上場以来上昇を続けており、コロナショック直前には210ドル超の高値を記録していました。
しかしながらコロナショックの影響などにより一時130ドル強まで下落しています。
その後は比較的順調な回復を見せていましたが、6月に200ドル前後まで回復した後は200ドルのラインを超えることができず、横ばいでの推移をしています。
ビザはNYダウ工業株30種平均とS&P500の構成銘柄の一つであり、7/29時点での同社時価総額は3350億ドルとなっています。
また同社の株式配当の実績ですが、連続して増配を行っているものの配当利回りは1%未満であり、直近の配当実績は2020/08/13権利落ち日分が配当0.3ドル、配当利回り0.61%となっています。
ビザの最新決算情報について
概要
ビザは発表した2020年第3四半期決算の概要は以下の通りです。
売上高…48.37億ドル(前年同期比17%減)
総営業経費…18.38億ドル(前年同期比5%減)
営業利益…29.99億ドル(前年同期比23%減)
純利益…23.73億ドル(前年同期比23%減)
希薄化後EPS…1.07ドル(前年同期比22%減)
売上高は前年同期から17%減少した48.37億ドル、純利益は23%減少した23.73億ドルであり、減収減益となっています。
アナリストらによる業績の事前予想では売上高が48.2億ドル、一株当たり利益が1.03ドルとなっていましたので、アナリスト予想は売上高、EPSともに上回っています。
また第3四半期における決済総額は為替変動の影響を除くと前四半期から10%減少しており、決算処理件数は13%減少しています。
また発表文において同社CEOが発表したコメントは以下の通りです。
世界的なパンデミックの課題にもかかわらず、中長期的な事業運営に引き続き注力しています。
当四半期はeコマース、非接触型決済、付加価値サービスなど、戦略的に重要な分野で力強い成長を遂げたことに満足しています。
当社は引き続きVisaの将来の業績を促進するために慎重に投資を行っていきます。
詳細
続いて同社決算を収益部門別に見ていきます。収益部門別の売上高の概要は以下の通りです。
- サービス部門…24.09億ドル(前年同期比0%増減)
- データ処理部門…25.25億ドル(前年同期比5%減)
- 国際取引部門…11.02億ドル(前年同期比44%減)
- その他部門…3.14億ドル(前年同期比8%減)
- 顧客インセンティブ部門…△15.13億ドル(前年同期比2%減)
- 総売上高…48.37億ドル(前年同期比17%減)
各部門で前年同期から売上高の減少が見られていますが、特に減少幅が大きかったのが国際取引部門(International transaction)であり、これは新型コロナウイルス感染症の影響により海外旅行などが減少したことに起因していると言えるのではないでしょうか。
次に第3四半期における地域別の決算総額および支払取引件数について見ていきます。
ただしヨーロッパ地域におけるCo-badged取引は含まれていません。
また前年同期比では為替変動の影響を除いた結果を記しています。
【決算総額】
- アジア太平洋…3,960億ドル(前四半期比16%減)
- カナダ…560億ドル(前四半期比15%減)
- CEMEA…1,080億ドル(前四半期比5%減)
- LAC…730億ドル(前四半期比13%減)
- アメリカ…9,490億ドル(前四半期比7%減)
- ヨーロッパ…3,720億ドル(前四半期比10%減)
- 決済総額…2兆4,940億ドル(前四半期比10%減)
【支払取引件数】
- アジア太平洋…70.42億件(前四半期比5%減)
- カナダ…8.44億件(前四半期比9%減)
- CEMEA…49.49億件(前四半期比11%減)
- LAC…29.39億件(前四半期比23%減)
- アメリカ…160.95億件(前四半期比9%減)
- ヨーロッパ…88.10億件(前四半期比15%減)
- 支払取引総件数…406.79億件(前四半期比11%減)
決済総額・支払取引総件数ともに前四半期から減少しており、新型コロナウイルス感染症による失業率の増加などの影響のほか、外出規制の影響を受けた結果になっています。
地域ごとの業績に大きな差異はありませんが、最も取引が多いアメリカ地域における決算総額や支払取引件数が底堅くなっており、同社の今四半期における業績を下支えしていると言えるでしょう。
また2020年の通年業績見通しについてですが、現時点では合理的に見積もることが困難であるとし、発表していません。
同社の決算情報のまとめとしては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより失業者が増加し消費が圧迫された影響を受けたため、業績は前年同期よりも悪化しました。
しかしながらすでに決算発表を行ったアメリカンエキスプレスと比較すると、同社の決算は底堅くなっています。
アメリカンエキスプレスの純利益は前年同期比で85%の減少ですが、ビザの純利益は前年同期比で23%の減少にとどまっています。
売上高は減少したものの、営業経費も同時に減少しており、そのことが純利益の減少を一部相殺したものと言えます。
決算発表後におけるビザの株価の推移
ビザは7/28の引け後に決算を発表しましたので、決算発表翌日である7/29における同社株価の値動きについて見ていきます。
前日終値である197.06ドルに対して7/29の始値は193.05ドルとなっており、2%ほど下落しています。
寄り付きで大幅な下落を経験しているものの、その後日中において同社株価は上昇を続け、終値は198.58ドルとなっており、前日終値から1%弱上昇していました。
新型コロナウイルス感染症の影響により業績が悪化していることを受け、一時は売られたものの、事前予想を上回る業績や、同業他社であるアメリカンエキスプレスと比較しても良好な業績であったことなどが好材料として働き、再び買われたものと推測することができます。
続いて同社の今後の株価の推移について考察していきます。
同社株価は底堅い業績によって、決算発表後もコロナショック後の目安である200ドル前後をキープすることができました。
記者会見において、四半期の終わりに向かうにつれて同社の業績は徐々に改善してきたと述べられていたことから、業績の回復が期待できると言えるでしょう。
懸念事項としては、コロナパンデミック収束のめどが立たないことや米中関係の緊張感などが挙げられます。
市場心理も良好であるとは言えず、執筆時時点ではコロナショック後も好調に上昇していたナスダックの上昇に歯止めがかかっているほか、為替相場では円高ドル安が進行しています。
ビザの業績ベースで今後の株価推移を予想するのであれば、堅実に200ドル前後を目安とした横ばいの推移を続けていくと考えることができますが、今の世界経済の状況を鑑みると断言はできません。
くれぐれも投資は慎重に行っていくべきでしょう。
参考元:Visa Inc. Reports Fiscal Third Quarter 2020 Results
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免責事項と開示事項 記事の作者、白紙は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。