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老後破産とは?陥る原因と対策について解説

ここ2、3年の間にTVや本でも、「老後破産」という言葉を見ることが多くなりました。

筆者自身も、定年退職を経て2年半ほど過ぎていて、その渦中にいると言ってもよい状態なのでいろいろ考えることがあります。

今までの反省や経験から得たことなどを含めて、少し真剣に考えてみましょう。

老後破産とは

2016年の統計では、65歳以上の高齢者世帯1300万世帯のうち、330万世帯が総収入200万円以下の貧困高齢者世帯といわれています。

この数字は、現在も増え続けています。

高齢者の貧困率は、毎年確実に上がっているのです。

老後破産とは、生活保護基準より低い収入で、生活をしている高齢者の状態をいいます。

具体的には年収が160万円以下、月の収入が13万3000円以下の場合をいいます。

老後破産に陥る原因

なぜ老後破産になってしまったかという原因については、人によりそれぞれで多くの原因があります。

ひとつだけはっきり言えることは、高齢の人の寿命が急速に延びたために、年金や社会システムが追いついていないというのが最も大きな原因でしょう。

そうは言っても、現実にそのような状況の中にいる者としては、なんとか自助努力を積み重ねて、この状況を乗り切っていかねばなりません。

ここでは、具体的に原因を考えてみました。

年金・貯金不足

正社員であっても現役時の月収が30万円以下の場合には、厚生年金は5、6割くらいの15万円以下になる場合が多く、定年後は生活保護受給者以下の生活を強いられるようになります。

夫婦共稼ぎで年金生活を迎えた場合は、年金の合計が30万円を越えていれば良いのですが、専業主婦の場合にはこの条件に達しない人も多くいます。

夫婦とも正社員の場合は、年金の合計は軽く30万円を越えるので、老後は安心だと思います。

これからの若い人は、老後の経済的な安定を考えれば、共稼ぎは必須だと思います。

社会のシステムがそのように変化しています。

目標としては、65歳の時点で定年退職を迎えるとして、夫婦の世帯で退職金や貯金をまとめて3000万円という額でしょう。

ただし、60歳定年の場合は、64歳までの間の生活費を最低月額30万円として、年金支給の65歳までに1800万円ほど別に必要になります。

今は、65歳までは再雇用の道も開かれており、なるべく働いてこの部分を補ってください。

ともかく、65歳の時に3000万円くらいの蓄えがない場合は、その後の生活が大変だと考えてください。

老後資金は一体いくら必要?夫婦・独身・賃貸、それぞれのケースについて解説。

住宅ローン等借金の存在

これまでの話は、住居費が考えられていませんが、それは持ち家でなおかつ住宅ローンなどの借金が払い終えていることを前提としています。

年金生活で借金を抱えているのは、とても危険な状態です。

両親や妻の介護

両親や妻の介護のために、会社を退職するのは老後破産への近道です。

今は、介護保険も充実してきて、会社を辞めなければなんとか生活を続けられる場合が多いです。

昔は介護保険はなく、給料もボーナスもほとんど注ぎ込まなければならず、長期になれば破綻は目に見えていました。

子供の問題

子供が引きこもりやうつ病になっている時には、共倒れになるケースが多いようです。

精神的な病気の場合は入院させて医者に任せ、本人は障害者手当を受給するのが大切です。

引きこもりの場合は、よく話し合って本人の自立を促しましょう。

厳しい言い方ですが、自分で生きていかなければ生きていけないのは、すべての動物の鉄則で、人間もこの原則からは外れることができません。

引きこもりのゲーム好きの息子が、株式投資に目覚めて50億円を運用する優れた投資家になった話をTVで見ました。

その投資法が、割安株投資法で、思ったよりずっと健全なのに驚いたことがあります。

本人は、やっと最近、生きていく自信がついたとのコメントを残していたのがとても印象的でした。

認知症やうつ病や癌等の本人の病気

ここは、本人の病気のことで、年齢を重ねるごとに身体のすべての場所が悲鳴を上げてきます。

病院との付き合いは若い頃よりは増えてきます。

前に述べた65歳までに3000万円という中には、介護費用と療養費として夫婦で1000万円が考慮されています。

身体の病も心の病も同じ病気なので、やはり専門医と相談することが大切でしょう。

また、癌に侵される確率が増えますが、癌は細胞分裂を利用して増殖するので、高齢になれば細胞分裂も衰え、若い時ほど怖い病気ではなくなります。

手術などで除去しようとして体力を落とすよりは、命尽きるまで共存しようと考える方が得策だと思います。

医学の進歩は早く、命尽きる前にオプジーボのような画期的な薬ができるかもしれません。

資産形成の必要性

65歳の時点で定年退職を迎えるとして、夫婦の世帯で退職金や貯金をまとめて3000万円という額を目標にしてください。

日本人は、銀行預金が何よりも安全と考える人が多いですが、それが長い目で見たときは大きな誤りであることに早く気がついて欲しいと思います。

毎日ニュースで見ているように、円やドルの価値は毎日変化しています。

この世の中で価値が変化しない資産はありません。

貨幣社会はインフレ社会であり、来年の100万円は、今の95万円くらいの価値しかありません。

TVのニュースではインフレは進んでいないと言われていますが、これはいくつかの経済指標だけで言われていることです。

郵便代が上がり、電車賃やバス代が上がり、ウインナーソーセージ1袋の代金は同じなのに本数が3、4本減っていたりすることは日常茶飯事です。

インフレは静かに進行し、ある日突然、10%増、20%増と表面化します。

インフレに強い資産が、最も長期的には安全だということを理解しましょう。

住宅ローンの繰上げ返済を活用する

住宅ローンを抱えている人は、なるべく早い返済を考えてください。

そのためには、繰り上げ返済をうまく利用します。

繰り上げ返済のほとんどは、返済期間を短くする選択をします。

この方が、全体の返済金額が少なくて済むからです。

これは正しいようで正しくありません。

住宅ローンの普通返済は、始めに利息部分の返済をします。

したがって、毎月の返済状況を見てみると、長い間元金の返済は行われていません。

これに対して、繰り上げ返済の場合は、元金の直接の減額になります。

もし、返済期間を短縮せずに、毎月の普通返済額を減らせば経済的に余裕ができ、更に繰り上げ返済の回数を増やすことができます。

また、ボーナスやサラリーの減額とか世の中の景気の変動に対して、月々の返済額が減るということは、耐性が増します。

不安定な世の中に対しては、それに柔軟に対応できるような生き方が大切です。

また、普通住宅ローンでは、固定金利を設定する場合がほとんどだと思いますが、これも変動金利の方が良いと思います。

これは、変動金利と固定金利では1-2%程度はいつも変動金利の方が低く、この低くなった分を繰り上げ返済に使えるからです。

どちらが有利かという場合には、すぐに返済総額を計算して比較する場合が多いですが、サラリーマンでは、月々の返済をなるべく少なくし、繰り上げ返済が可能な状況を作っておくことが、経済的に最も破綻しにくい方法であることを肝に命じてください。

住宅ローンを組んで持ち家を持つことが普通になっていますが、定年近くまでは、貸家で仕事に便利なところに住む方が、経済的に不安定な社会では、はるかに安全です。

どのような名目であれ、多額の借金をすることはサラリーマン生活では危険だと考えてください。

貯金できた部分を投資に回した方が、経済的にはずっと安定性が高いです。

そして、早く健全な資産運用方法を身につけることは、何よりも重要です。

定年近くになって住居が必要なら、適当なところに中古の住宅をローンなしで購入する方が無難だと思います。

老後破産しないための対策

夫婦の世帯で退職金や貯金をまとめて3000万円の根拠は、実は年金と支出の差が7万円くらいということに起因しています。

平均的なデータでは、夫婦合わせての年金が24万円で支出が31万円くらいになるからです。

これによれば、1年間で80万円くらいですから、25年間では2000万円で、これに加算して介護費用と療養費を1000万円と見ています。

これより蓄えの少ない方は、70歳か75歳まで働くのが最も単純な解決策です。

フルタイムで働く必要はなく、月に7万円以上の収入が得られて75歳まで働ければ、2200万円の蓄えで十分ということになります。

考えられる最も無理がないのが、資産の運用です。

前にも申し上げましたように、すべての資産の価値は変動します。

老齢年金所帯で一番怖いのは、インフレです。

インフレは、持っている資産がいつの間にか半減してしまうことです。

私は、2年間ほどアメリカに留学したことありました。

日本を出るときには240万円を持ってアメリカに行きました。

当時、1ドルが240円でした。2年後の帰国の時に1ドルは120円になっていましたので、240万円は120万円に減っていました。

これは極端な例ですが、10年、20年という長期間では、このようなことは比較的よく起こります。

このようなインフレに最も強い金融商品は株式です。

特に定年以後の世帯では、株式投資の運用経験があるかないかは、大きな分かれ道になります。

経験の豊富な方は、配当金も含めて、年利10%くらいで運用することはそれほど難しくないでしょう。

また、自信のない人は、株式を運用するETFを購入すると3%くらいの運用成績は挙げられています。

この株式とETFを適当な比率で組み合わせれば、蓄えが2000万円でも老後破産に陥らずに安泰な生涯を送れるでしょう。

終わりに

定年になってからすぐに、高額の退職金の運用は危険極まりない行為で、多くの失敗例を見ています。

できれば、若い頃から株式投資の経験を積むことが肝要です。

また、定年までそのような経験のない方は、退職金の大部分を株式を運用するETFの購入に充てるのが良いと思います。

高齢での運用の失敗は、老後破産への超特急になりますので、くれぐれも用心深い運用を心がけてください。

当たり前のことですが、投資はいつも自己責任です。

退職金の運用に失敗しないために。注意点と失敗例を詳しく解説


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