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星野リゾートの圧倒的な強さを分析する

国内にある高級ブランドホテルとして、一流ホテルの仲間入りを果たし、多くの方に支持されている日本発の宿泊施設が「星野リゾート」です。

社長の星野佳路氏が家業である旅館の4代目社長として就任以降、日本有数のリゾート施設と温泉旅館を展開する運営会社として、常に攻めの経営と時代に合わせて変化を遂げながら躍進を続けています。

今回は創業100年の歴史を持つ「星野リゾート」の人気の秘訣と実際に投資ができる「星野リゾートリート」の内容について解説していきます。

展開しているブランドとコンセプト

星野リゾートは現在「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO」「BEB」の5ブランドを展開しています。

「星のや」は日本文化をルーツに持つラグジュアリーリゾートです。

「界」は温泉旅館をルーツに現代の生活を提案しています。

「リゾナーレ」は自然を生かしたアクティビティを軸にその土地ならではの自然環境を活かしたイベントを提案しています。

「OMO」は都市観光に特化することで他のビジネスホテルとの差別化を図っています。

それでは、ブランド毎の特徴についてもう少し見ていきましょう。

星のや

世界の都市でも通用する日本旅館をコンセプトに掲げており、将来はニューヨーク、パリ、ロンドンなどへ世界進出することも視野に入れて展開しています。

特に2016年7月20日に東京・大手町にオープンした「星のや東京」はそのコンセプトを体現しています。

面白いのは木造旅館の伝統建築ではなく、地下2階から地上17階までの現代建築ビルの中に入ると、ホテルの内装が洗練された旅館の要素を組み入れていることです。

まるで1フロアが1つの旅館であるように、日本文化のおもてなしと一流ホテルの機能美や快適さが見事に調和されています。

実際、東京都心には5つ星のホテルが沢山あるものの、一流ホテルと呼ばれる日本旅館は極端に少ないのが現状です。

日本文化を現代の生活スタイルに合わせて提案している「星のや」は、日本の暮らしを極上な体験へと昇華させてくれる名実ともに日本を代表するホテルブランドなのです。

日本旅館と温泉文化を合わせ、そこに現代のエッセンスを加えているのが温泉旅館ブランドの「界」です。

熱海や箱根など地域の魅力と出会える旅館をコンセプトに展開しています。

他の温泉旅館と異なる特徴として、宿泊して温泉や食事を楽しむだけでなく、「ご当地楽」という地域の伝統文化を楽しんでもらう企画を提案するなど、「界」ならではの特別なおもてなしを体験することができます。

それだけでなく星野リゾートには「マルチタスク」と呼ばれる働き方が徹底されています。

これはスタッフが様々な業種に携わることで多様な知識とスキルを身につけており、これにより宿泊客の要望やリクエストを的確に判断して応えることが出来るのです。

例えば客室の清掃など、他のホテルであれば外部委託する部分も星野リゾートは自分たちで担当しています。

そうすることで繁忙期などに他店社員の応援を頼んだとしても、即戦力の人材で補い合える事はグループとしての大きな強みでしょう。

リゾナーレ

リゾナーレの中でも特に人気の施設が「リゾナーレトマム」です。

千歳空港から自動車で約80分の場所にあり、リゾナーレトマムとザ・タワーの2つの宿泊施設を展開しています。

このホテルの名物が大人気の「雲海テラス」です。

現場のスタッフによって発案されたこの企画は、毎年5月~10月の期間、標高1000mの地点から眼下に広がる雲を眺めることが出来ます。

これも早朝の雲海発生に合わせてスタッフが出勤時間を工夫するなど、ここでもマルチタスクが活かされています。

その他にも「クラウドウォーク」や「クラウドプール」など雲の上を散歩しているような浮遊感を体験できます。

また全200室の1室だけ「雲スイートルーム」があり、インテリアからアメニティまで全て「雲」がコンセプトになった部屋もあるなど、遊び心が詰まった施設です。

OMO

星野リゾートの4番目のブランドとして誕生したのが「OMO」です。

特徴的なのはそのコンセプトです。

都市部に立地するにも関わらずビジネス客をターゲットにしておらず、観光に特化することで他のビジネスホテルとの差別化を図っています。

ホテルを宿泊するだけでなく、新しい観光情報メディアとして活用してもらうことを目指したホテルです。

BEB

2018年、星野リゾートの5番目のブランドとして誕生したのが「BEB」です。

こちらは20代~30代の若い世代をターゲットに「居酒屋以上 旅未満 仲間とルーズに過ごすホテル」をコンセプトに新たな宿泊の形を提案しています。

現在は軽井沢と土浦の2カ所で展開しています。

星野リゾートが大切にしていること

星野リゾートが取り入れている経営学のひとつが、米国の経営学者ケン・ブランチャード氏の提唱するエンパワーメント手法です。

これは「仕事をする上で必要な情報の共有」と「階層化した組織の撤廃」という経営ルールですが、役職や年齢にとらわれない星野リゾートならではのフラットな組織の背景には、こうした論理的なメソッドが根底にあり、それを忠実に継続していくことで育まれています。

迷ったときに戻る場所があることも星野リゾートの強みではないでしょうか。

星野リゾートの強さは所有と運営の分離にある

星野リゾートの躍進を支えている要因として「所有と運営の分離」が挙げられます。

星野リゾートは運営に特化し、所有する施設は別のオーナー企業が存在します。

仕組みとしては運営会社はオーナー企業から施設を一任され、運営費を受け取るビジネスモデルです。

この手法は日本では珍しい形態であるものの、海外のホテルではこのやり方がスタンダードです。

実際、マリオット、ヒルトン、ハイアットなどの高級ホテルは運営に特化する手法で事業を世界展開させています。

日本は長らく所有と運営が同じホテルであることが多く、1993年から運営に特化した星野リゾートの存在意義は今後も大きくなることが予想されます。

とはいえ「所有と運営の分離」にもデメリットがあります。

例えば運営していた施設が所有するオーナーの意向で契約満了になることもあるからです。

実際、運営を終了した施設は7カ所あり、施設運営の継続はオーナー次第というリスクが顕在化しています。

そして、この課題に対して星野リゾートが打ち出した次の一手こそ「星野リゾートリート投資法人」なのです。

星野リゾートリート投資法人

星野リゾートリート投資法人は星野リゾートの100%出資会社として、2013年に東京証券取引所に上場しました。

リート(REIT)は不動産投資信託のことで、投資家から集めた資金を使って不動産に投資し、そこで得られた利益を分配金として投資家に還元する仕組みです。

星野リゾートがリートを立ち上げたことによるメリットとして、施設を所有するオーナーに左右されるリスクが軽減されることに加えて、星野リゾートから賃料を受けとり、利益を投資家に配分することで、個別オーナー企業に左右されることなく長期的なビジョンを描いて経営に集中することが挙げられます。

上場当初は150億円の小規模でスタートし、星野リゾートが運営と所有をしていた6施設をリート投資法人へと移しました。

その後、星野リゾートが運営していないロードサイド型ホテル「チサンイン」をリートに組み入れ、直近の保有資産は61物件、資産規模は1617億円に達しています。

また投資物件は将来、星野リゾートが手掛ける可能性があることを組み入れ基準としており、将来的には運営会社が異なる施設も星野リゾートが運営することも考えられます。

リート導入のメリットと課題

星野リゾートは売上などを元々公開しておらず、リートが出来たことにより経営の一端が見えるようになりました。

決算資料から施設の運営状況や客室稼働率が分かるようになったことの意義は、投資家にとっては大きな判断材料となるメリットがあります。

とはいえまだまだ課題があります。米国のホテルリートの規模に比べると数倍から十数倍規模の差があるからです。

海外の投資家から資金を集めやすくするためには、更なる資産規模の拡大が必須であり、リート投資法人の動向は運営に特化している星野リゾートのビジネスモデルに直接的な影響があるため、今後の成長性も注目でしょう。

配当に関しては安定して分配を続けており、現在の予想配当利回りは5.90%です。

ただし新型コロナウイルスの影響によって来年度の配当は大幅な減配があります。

実際、2020年10月期の投資口1口当たり予想分配金は12,753円なのに対して、2021年4月期は5,107円まで下がります。

株価も今後の社会情勢によってボラティリティの高い相場が続く可能性もあるでしょう。

おわりに 星野リゾートの今後の展開

今後の楽しみな展開として、星野リゾートの海外進出があります。

今まで多くの日系ホテルが欧米式に習ったホテルで海外展開に数々失敗してきましたが、星野リゾートは日本独自の旅館という文化を持って海外で勝負しようとしています。

世界中の観光客が宿泊先の1つとして星野リゾートを検討するようになったとき、世界のリゾート運営会社として認知されているはずです。

星野リゾートが目指しているのは、世界のホテルとしっかり肩を並べる存在になることなのです。

星野リゾートを通じて日本文化がどのように世界に受け入れられるのか、今後の経営戦略にも注目です。

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免責事項と開示事項 記事の作者、鈴木林太郎は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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