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米国の失業給付金バブルとアプリ「ロビンフッド」の浸透

米国の失業保険申請数は3月以降、毎週100万件を超えて推移しています。

コロナショック以降、米国では数千万人が職を失ったのに対して、ナスダック指数は史上最高値を更新し、S&P500は2019年12月以来最長の上昇局面に位置しています。

人々が職を失ったのに、株式市場はかつてないほどのバブルに踊っている最中、背景で一体何が起きているのでしょうか。

出展:日経新聞

失業保険と現金給付により可処分所得が増加

米国ではコロナショックによる緊急経済対策の一環として現金給付、および失業保険の追加額が3月から支払われています。

その額は月に大人1人あたり1,200ドル(約13万円)、子ども1人あたり500ドル(約5万5千円)となっています。

また、失業保険は従来の支払額に7月末まで毎週600ドル(約6万5千円)が一律加算されています。

これにより、個人の可処分所得(税金や社会保険料を差し引いた手取り収入、自分の意思で消費できる収入)は従来働いて受ける所得よりも10%以上を超えるようなケースが目立ってきました。

下図は個人所得と可処分所得の推移になります。

出展:ニッセイ基礎研究所

シカゴ連邦準備銀行によれば、資金に余裕のない低所得者層では給付金の3分の2を既に月々の支払いに充てており、今回の経済刺激策は初期の2週間で最大の効果を発揮しつくしたとのことです。

では、その他の層はどうしたのでしょうか。

日本では、余力資金の行き先は貯蓄と投資に向けられることが最も多いです。

それは米国においても変わりありません。

米国の貯蓄率は4月で33.0%であり、過去最高を記録しています。(前月12.7%から20.3ポイント上昇)

一方で、個人投資も給付金や失業保険による投資ブームが起きています。

投資アプリ「ロビンフッド」とは

個人投資ブームの背景には、現在、猛烈な新規口座の開設数が増加している「ロビンフッド」という投資アプリが君臨しています。

ロビンフッドは2013年にサービス開始をした投資アプリで、上場株式銘柄から仮想通貨など様々な金融商品を選んで購入することができます。

そのサービス内容は手数料無料、かつ決済方法が柔軟な仕様となっており、利用する投資家の多くはロビンフッドが発行するデビットカードを使って資金決済をしています。

また、デビットカードにはクレジット機能が搭載され、投資資金は消費者ローンを使って決済できるようになります。

そして、クレジットカードの与信枠を使って信用取引をすれば、クレジットカードとデビットカードの2階建て取引も可能です。

ロビンフッドの利用者は1,000万人をすでに超えており、ユーザーの年齢の中央値は30歳と若く、その半数を初めて投資をする投資初心者が占めています。

また、有料サービスでは、毎月5ドルでより詳しい検索や分析ツールを使用することができます。

ロビンフッドはメディアにも参入しており、ポッドキャスト番組を昨年に買収しています。

テンポの良い投資解説番組がリーマン・ショックを経験してこなかった若者たちを投資へ導いているかのようです。

では、ロビンフッドがなぜここまで人気となる投資アプリとなったのでしょうか。

ロビンフッドが人気となった理由

ロビンフッドが人気となった理由は大きく2つが挙げられます。

  • 手数料無料とクレジットカードで信用枠が購入可能
  • 「ロビントラック」をはじめとした二次サイトの盛り上がり

ロビンフッドが手数料無料、かつ柔軟な決済が可能であることは上記でご紹介した通りですが、ロビンフッドを通じて取引した個人投資家がどんな銘柄をどれだけ保有したのかが、一目で分かる個人作成プラットフォーム「ロビントラック」が本家のロビンフッドと並行して注目を浴びています。

このロビントラックは一大学生が暇つぶしで作成したというロビンフッドのデータをダウンロードしてAPIで繋いでリアルタイムで投資家の保有状況が分かるというものです。

また、APIを使用せずとも、ロビンフッドを利用する人々であるロビンフッダーがどんな銘柄をリアルで保有しているか見えることから特定の銘柄に群がっていることが把握できます。

下図はロビントラックの人気銘柄の画面になります。

出典:ロビントラック

この大学生が作ったプラットフォームをファンドマネージャーすら参照するに至っています。

このように正確に個人の売買動向を表示するツールは、投資初心者にはどれが人気のある銘柄なのか一目で理解できる安心感をもたらすと同時に、個人売買動向を分析するクォンツ系ヘッジファンド等には格好の獲物となり得てしまいます。

さて、ロビンフッダーたちはどんな銘柄を好んで売買しているのでしょうか。

上記でご紹介した画像によれば7月9日時点で最も人気のある銘柄はフォードとなっています。

また、次点ではGE、アメリカン航空グループ、ウォルト・ディズニーと続いています。

以下の人気銘柄を比較していくと、ロビンフッダーの多くが価格の安い低位株を好んで投資していることが分かります。

そして、人気銘柄の9割以上が右肩上がりで価格が推移しており、人気銘柄に投資したロビンフッダーは利益を得ていることになります。

現在、ナスダック指数やS&P500など米国の株価指数は盛り上がりを見せています。

しかし、相場は投資初心者とヘッジファンドがまるで賭博場のように変えてしまっているともいい難い状況を繰り広げています。

今後、株価が急落して二番底を形成するならば、このような給付金でレバレッジを掛けて投資を始めた初心者から退場していくのではないでしょうか。

本件のような投機的な現象はリスクが何かを自覚して、資金管理と心理把握が相場では重要であり、群集心理で始める投資は短絡的で防御に非常に弱いということを戒められる事例ではないでしょうか。

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