The Motley Fool

S&P500の優秀連続増配銘柄【金融セクター】

米国株を語る上で外せない指標といえば「S&P500」です。

あのウォーレンバフェット氏は株主宛ての手紙の中で「プロでない投資家の目的は、上手くいきそうなビジネスに横断的に投資する事」であり、「S&P500に連動する低コストのインデックスファンドに投資する事でその目的は達成される」と述べています。

そんな優秀な「S&P500」から更に「優秀銘柄」をセクター別にご紹介したいと思います。

今回は「Financials」、つまり「金融」セクターにおける優秀銘柄を分析したいと思います。

「金融」と言いますと、私たちの衣・食・住を支える上で非常に重要な経済のインフラとしての役目を担っており、資金調達から運用におけるプラットフォームを形成している業種です。

まずは、「金融」セクターを3つの業種から俯瞰してみたいと思います。

1つ目に「金融」において最重要と言える「銀行業界(証券)」を分析してみます。

以下は、「最も価値のある強い銀行ブランド500」(出所:The Brand Finance Group)を基に、世界中の銀行をトップ10までランキングにした表になります。

No. Brand Nation Brand Value ($) Market Cap ($) Exhange
1 ICBC China 8.1B 242B* HKSE
2 China Construction Bank China 6.3B 197B* HKSE
3 Agricultural Bank Of China China 5.5B 147B* HKSE
4 Bank of China China 5.1B 112B* HKSE
5 Wells Fargo US 4.1B 113B NYSE
6 Bank of America US 3.5B 200B NYSE
7 CITI US 3.3B 95B NYSE
8 Chase US 3.1B 284B NYSE
9 China Merchants Bank China 2.3B 121B* HKSE
10 J.P.Morgan US 2.3B 284B NYSE

*Market Capは「finace.yahoo.com」参照 (2020/05/01時点)

*米ドル換算(HKDUSD=0.129), 2020/05/01時点

*ChaseとJ.P.Morganは同じ持株会社として計算(Market Cap)

2020年現在、中国の4大銀行がトップ4を独占しており、トップ10は米中の二国で支配されています。

また、統計の対象になった500行を地域別に見ると、中国の割合が全体の31%(2位の米国は21%)とブランド価値におけるシェアは世界最大となっています。

一方、時価総額 (2020年5月1日時点)では、チェース銀行とJPモルガン銀行を擁する「JPMorgan Chase & Co.」が首位、続いて「ICBC」、「Bank of America」となっており、トップ3においては米銀大手2社がその存在感を示しています。

ちなみ我が国のメガバンク3行はと言いますと、邦銀のトップのSMBCが22位と米中には遠く及ばないのが現状です。

No. Brand Nation Brand Value ($) Market Cap ($) Exhange
22 SMBC Japan 1.2B 35B NYSE
32 MUFG Japan 0.9B 51B NYSE
47 Mizuho Financial Group Japan 0.7B 29B NYSE

※Market Capは「finace.yahoo.com」参照 (2020/05/01時点)

2つ目に「生命保険業界」について、外資系の生保を時価総額でランキングしてみると以下のようになります。

トップには米3大生保を抑えて、フランス最大手保険グループの「AXA」がランクインしました。

No. 生命保険持株会社
(Life Insurance)
Nation Market Cap ($) Exhange
1 AXA France 34B* ENX
2 MetLife US 32B NYSE
3 Aflac US 26B NYSE
4 Prudential Financial US 24B NYSE
5 Manulife (MFC) Canada 23B NYSE

*米ドル換算(EURUSD=1.095)

ちなみに国内勢の主要生保(株式会社)の時価総額は以下の通りで、欧米生保に比べるとその規模は残念ながら遠く及ばない水準です。

生命保険持株会社 (Life Insurance) Nation Market Cap ($) Exhange
第一生命HD Japan 14.8B JPX
かんぽ生命 Japan 7.0B JPX
T&D Japan 5.3B JPX

米ドル換算(USDJPY=107円/$)

最後に、世界の取引所を時価総額順に比較してみると、以下のようになります。

取引所持株会社
(Stock Exchange)
Nation Market Cap ($) Exhange
1 CME Group US 62B NASDAQ
2 ICE US 49B NYSE
3 Deutsche Boerse AG Germany 24B* Xetra(独)
4 London Stock
Exchange Group
UK 21B* LSE(英)
5 Nasdaq US 18B NASDAQ

*米ドル換算(EURUSD=1.095), (GBPUSD=1.245)

トップには世界屈指のデリバティブ取引所として「CME日経平均先物(CME)」や「WTI原油先物(NYMEX)」などが有名な「CME Group」が、そして世界最大の株式市場「NYSE」を運営する「インターコンチネンタル取引所(ICE)」がランクインしており、米国2強が圧倒的な規模を誇っています。

我が国では、東証と大証を運営している「日本取引所グループ (JPX)」が国内最大手ですが、時価総額の規模は約$10Bと欧米主要取引所の半分にも満たない規模です。

以上の3点から大まかに「金融」セクター全体に目を通すと、中国勢が「銀行業」において勢力を拡大しつつありますが、時価総額ベースでみると、全体的に米国勢に軍配が上がる結果だと言えます。

さて、そんな米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしているS&P500における「金融」セクターより「YOC (5年間)」上位3銘柄を紹介致します。

「YOC」とは具体的に「年間受取り配当金÷買値 (平均取得価格)」であるため、連続増配する前提で考えると、基本的に「YOC」が高い銘柄ほど、長期保有するに従って配当利回りが上昇します。

前提条件として、増配記録10年以上かつ、「フリーキャッシュ・フローマージン (FCFM)」10%以上とする事で、将来的に連続増配の蓋然性がより高い銘柄を選定対象にしています。

フリーキャッシュ・フローマージンは具体的に「フリーキャッシュフロー÷売上高」であり、連続増配の原資となる企業が自由に使える現金をどれだけ効率よく稼いでるかを見る指標として、その対象銘柄の収益面、ならびに財務面の安定性を図る重要です。

【優秀銘柄】~Financials~

セクター内で増配記録年数とFCFMという前提条件をクリアしたのは12銘柄で、YOC (5年)の平均は3.70%で、上位6銘柄が平均を上回る結果となりました。

No. Financials Growth (Year) FCFM(TTM)% YOC3Y(%) YOC5Y(%)
1 PRU 11 30.28 4.08 5.42
2 CINF 59 20.33 3.38 4.67
3 CME 16 49.86 3.04 4.52
4 TROW 33 23.46 4.96 4.36
5 AIZ 16 12.94 2.62 4.16
6 BLK 10 18.09 3.76 3.93
7 AFL 37 24.55 3.00 3.50
8 UNM 11 13.26 2.44 3.38
9 TRV 11 16.32 2.82 3.33
10 CB 54 18.55 2.19 2.78
11 IVZ 11 15.96 3.37 2.67
12 MCO 10 33.26 1.90 2.09
Average 24 20.15 3.17 3.70

出所:FCFM (TTM):Key Ratioー(morinigstar.com)

YOC(3Y,5Y):Yield on Costー(seekingalpha.com)

Growth(Y):DIVIDEND GROWTH (dividend.com)

*いずれも2020/04/29時点のデータを参照。

*連続増配 (Growth)は暦年ベースで受取り配当年数が増加する銘柄を指します。

プルデンシャル・ファイナンシャル(NYSE:PRU)

比較データ

  • 連続増配年数:11年→セクター内順位No.7
  • FCFM (TTM):30.28%→セクター内順位No.3
  • YOC3Y:4.08%→セクター内順位No.2

長期チャート

コメント

1875年創業の同社は、Metlife, Aflacに次いで全米第三位の保険持株会社(時価総額ベース)であり、年金保険、生命保険、退職プラン、そして資産運用と幅広く金融サービスをクロスボーダーに提供しています。

事業セグメントは大きく3つに分かれており、米国内ビジネス、米国外ビジネスがそれぞれ収益全体の約4割を占める一方で、PGIMと呼ばれるグループ参加の運用ユニットが残り1割の収益源として、資産運用ビジネスの中核を担っています。

特に、PGIMの運用資産のうち、約65%が債券 (PGIM Fixed Income社)であり、株式、不動産、オルタナティブ投資以上にインカム重視のポートフォリオ運用がグループ全体を通して、安定的なキャッシュフローを生み出していると想定できます。

結果的にFCFMの過去10年間平均値は約26%と抜群に安定しており、同時にその配当性向は2019年末時点で、34%とまだまだ余力を感じさせる水準であり、今後も増配記録を継続的に伸ばしていくものと予想されます。

シンシナティ・ファイナンシャル(NASDAQ:CINF)

比較データ

  • 連続増配年数:59年→セクター内順位No.1
  • FCFM (TTM):20.33%→セクター内順位No.6
  • YOC3Y:3.38%→セクター内順位No.4

長期チャート

コメント

1950年創業の同社は米国オハイオ州に本社を置く保険持株会社として、損害保険から災害保険サービスを中心に全米各地に展開しており、「配当王」にも選ばれている連続増配銘柄です。

事業セグメントは、商業ラインと個人ラインの損害保険に加え、エクセス・サープラス・ライン損害保険、生命保険、インベストメントの5つから構成されており、投資セグメントを除く、本業の損害保険ビジネスにおいては、商業ラインが全体の営業利益の約75%(FY2019) と同社の中核ビジネスです。また、リースや資金調達事業も手掛けています。

59年という連続増配記録に対して、配当性向は62.66%また、負債比率(D/Eレシオ)は9%と財務面での健全性は非常に高いので、増配率(5年間)は5.24%留まるものの今後も緩やかに連続増配を続ける可能性が高いと言えます。

長期的な株価パフォーマンスでは、「コロナショック」のベア相場により直近高値から約3割も下落していますが、それでもなお30年間のパフォーマンスではS&P500セクター指数 (Financials)に大きく勝っているので、長期投資における優位性は評価できると判断します。(上記チャート参照)

CMEグループ(NASDAQ:CME)

比較データ

  • 連続増配年数:16年→セクター内順位No.5
  • FCFM (TTM):49.86%→セクター内順位No.1
  • YOC3Y:3.04%→セクター内順位No.6

長期チャート

コメント

1898年創業の同社は先物やオプションをはじめとするデリバティブ取引の運営において世界最大規模を誇っており、時価総額ベースでは今やNYSEを運営する「ICE」を抜いて、No.1に君臨しています。

主要取引所として、CME, CBOT, NYMEX, COMEXの4つがグループの中核を成しており、金利、株価指数、外国為替、エネルギー、農産物、金属といった多様な資産クラスをベースにしたデリバティブ商品のプラットフォームを電子取引(CME Globex)と店頭取引(OTC)を通じて世界中の投資家に取引環境、また市場データの提供サービスを手掛けています。

注目すべきは、その利益率の高さで、FCFMはセクター平均の20.15%をはるかに凌いで首位、また過去10年間平均値は約43%と、長期的に安定したキャッシュフローを稼いでいます。

配当の支払い余力については、約44.7%とフリーキャッシュフローの水準に対して余力もあり、5年間の増配率も約11.8%と2桁をキープしているので、YOCの最大化を通して、長期投資のメリットを目一杯に享受する事ができると判断します。

フリーレポート配信

配当株探しの3つのヒントを示すとともに、注目銘柄もご紹介します。

配当株探しの3つヒントと注目3銘柄」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。

公式ツイッターアカウント公式フェイスブックアカウントをフォローする。

免責事項と開示事項 記事の作者、Micchelは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

最新記事