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「ニコラ」と「ロビンフッド」、電気自動車とスマホ証券の新進気鋭はゲームチェンジャーとなるのか?

コロナ禍において、今、最も注目されている米国企業が電気自動車(EV)ニコラ・モーター(NASDAQ:NKLA)とスマホ証券のロビンフッド・マーケッツです。

ニコラは6月4日に米ナスダックへ上場後すぐに高騰し、早くも時価総額3兆円になり、フォード・モーターを上回りました。

また、テレワークが増えたことにより米国では個人投資家が増加しており、特にミレニアル世代やZ世代などの若年層の投資家が増えています。

スマホで簡単に株取引が出来るロビンフッドユーザーを中心に、ニコラ株が特に人気という背景も手伝って急激に注目を集めています。

今回はコロナがきっかけで熱視線を浴びるニコラとロビンフッドの企業分析を中心に考察していきます。

ニコラとは

ニコラの社名は発明家ニコラ・テスラが由来であり、当然、電気自動車のテスラ(NASDAQ:TSLA)を意識していることは明らかです。

2014年に創業し、まだ1台も商品化していないにも関わらず、驚くほど多くの注目を集めているスタートアップ企業です。

現在、電気自動車部門ではテスラの独壇場ですが、ニコラはトラックやバスなどの商用車に特化しており、この分野はまだ電気自動車が登場していないニッチな分野です。

現実問題として、電気で長距離輸送車を動かす為にはバッテリーや充電時間などの問題があり、実装までのハードルはまだまだ高い分、ニコラが様々な燃料課題を解決すれば、この市場を一気に独占する可能性があるのです。

とはいえ電気自動車が当たり前のように走る未来にはまだ時間が必要であり、電気に変わる代案として水素燃料電池を使う方法が現実的です。

もしも電気自動車が実現した時の市場におけるインパクトは計り知れず、その可能性が最も高い企業のひとつがニコラといえるでしょう。

ニコラの株価の高騰に黙っていないのがテスラのイーロン・マスクです。

テスラも2017年度に大型電気トラック(セミトラック)の生産を公言しており、テスラは今年の6月末に開催予定の「バッテリー・デー」において、バッテリー開発計画「ロードランナープロジェクト」が発表される見通しです。

ニコラのビジネスモデル

ニコラの経営戦略の鍵となるのが「水素ステーション計画」です。

これは水素燃料電池を充電する為に、米国とカナダに700以上の「水素ステーション」を設置し、水素燃料のネットワークを広げる壮大なプランです。

とはいえ現状、水素ステーションはまだ設置しておらず、商業化された車はありません。

今後ビジネスを拡大していくためには水素ネットワークが必須であり、ニコラはノルウェーのNel社と共同で事業に取り組んでいることから、米国で成功すればヨーロッパへの進出の足がかりとなる可能性は高いでしょう。

いずれにせよ、ニコラを判断するにはもう少し時間が必要です。

ロビンフッドとは

ロビンフッドは2013年の創業時から、若者を株取引の世界へ取り込むことを目的とした米国のスマホ証券です。

驚くことに株売買に関する手数料は無料であり、ロビンフッドが登場する前にこの分野のトップであった「E*Trade」のユーザー数を上回りました。

企業ミッションとして「収入に関わらず誰もが利用できる金融サービス」を掲げており、2018年からはビットコインなどの暗号通貨取り引きもスタートし、こちらの取り引きも手数料が無料です。

現在、米国フィンテック業界で最も注目されているロビンフッドですが、度々システム停止により取引ができなくなるなど、まだまだ課題があるのも事実です。

とはいえ、既存のシェアを奪われかねない企業にとっては脅威に映っており、たびたび競合他社が意図的に印象操作する「FUD戦略」よって過剰に批判されていることも考慮する必要があるでしょう。

*FUD戦略とは、不安(Fear)不確実(Uncertainty)不信(Doubt)の頭文字をとった単語で、競争優位性を保つために都合の良い情報を大衆に認識させるマーケティング手法。

ロビンフッドのビジネスモデル

ロビンフッドユーザーの年齢の中央値は30歳と言われており、ユーザーの半数が初めて株取引をする為、出来るだけ簡単に取引が出来ることでニーズを掴んでいます。

取引方法もとてもシンプルで分かりやすく、株の売買までに5タップほどで完了します。

また一部の利用者に限定されますが、1株以下での取引も可能で、こちらも手数料が無料です。

口座開設数も年々増加しており、今年だけですでに300万件増えて、合計1300万超の規模に成長しています。

1人当たりでは少額でも、多くのユーザーが集まることで相場の世界でも大きな力を手に入れつつあるのがロビンフッドなのです。

ロビンフッドは顧客の投資に使われていない残高から利益を得ているのに加えて、ユーザーが月額を支払うことで融資が受けやすくなるゴールドオプションという信用取引によって利益を得ています。

またロビンフッドの株式取引は「ダークプール」と呼ばれる仕組みであり、これは証券会社が保有していている株式を取引所を通さずに注文を付け合わせる(マッチング)取引のことです。

通常取引よりも有利な価格で約定した場合のみ手数料が発生する仕組みであり、これが多くのユーザーを惹きつけた要因の1つでもあります。

大手ネット証券も参戦する、ダークプール市場のメリットとデメリット

しかし懸念事項もあります。

それは顧客の取引情報をHFT企業に売却して巨額な利益を得ていたことが、2018年第二四半期報告書で明らかになったことです。

まるで金融ジャーナリストのマイケル・ルイス氏の著作「フラッシュ・ボーイズ」に描かれた世界が現実に起こっているのです。

とはいえ、ロビンフッドはスマホ証券分野におけるリーディングカンパニーであることは変わらず、今後も新たなフィンテック系企業が参入することを考えると、ユーザーにとっては大きなメリットになるはずです。

既存の金融機関にとっては大きな脅威に映っているのは間違いなく、証券業界の熾烈な競争が新たなフェーズへ突入したという見方が出来るはずです。

ニコラ株主とロビンフッドユーザーの親和性

ロビンフッドユーザーこそ新世代の投資家の台頭かもしれません。

なぜなら投資を始めたきっかけの多くがソーシャルメディアにあるからです。

例えばニコラへ投資をする多くのユーザーがロビンフッド経由であり、きっかけの多くはTiktokの動画でニコラを知ったからです。

これはウォール街など従来の金融アナリストが言及したことのない情報源です。

今後もスマホで情報を集め、スマホで株式売買するトレンドが加速していくのは自然な流れであり、デジタルネイティブなZ世代を中心に様々なサービスが生まれてくるはずです。

その象徴的な出来事のひとつがニコラとロビンフッドの親和性ではないでしょうか。

おわりに

ニコラやロビンフッドの台頭が示唆する社会とは、次世代産業の鍵が従来のハードのみのサービスから移行し、テクノロジー企業がシェアを奪い覇権を握る可能性が高いということです。

例えば、現在リーディングカンパニーである自動車会社や証券会社などのマーケットシェアが将来縮小することで、従来の雇用を維持できない企業が傾いてしまうケースが確実に到来するでしょう。

今後、少人数の会社が上場して大手企業のシェアを奪う形も充分に有り得ることを想定すれば、ニコラとロビンフッドが新世代のゲームチェンジャーになる可能性は否定できません。

その答えは時間が経てばハッキリと見えてくるはずです。

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免責事項と開示事項 記事の作者、鈴木林太郎は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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