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【銘柄紹介】Philip Morrisってどんな企業?

みなさんは、「たばこ」というとどのブランド(銘柄)を思い浮かべますか?

きっと多くの方が「Marlbolo」と答えるのではないでしょうか。

Marlboloは世界1の売上を誇るたばこブランドで、その製造に関わっているのは米国企業の「Philip Morris」です。

また、日本でも馴染みのある加熱たばこ「IQOS」を製造しているのもPhilip Morrisで、近年紙たばこから加熱たばこへの大幅なシフトを進めています。

たばこは吸う人とそうでない人がいるので、ESG投資の観点からも投資家がたばこ企業に対して持つ印象はさまざまです。

本記事では、世界的なたばこ企業のPhilip Morrisの銘柄紹介をします。

ぜひ投資対象を見つける参考にしてみてください。

基本情報

まずは、Philip Morrisの基本情報をご紹介します。

  • 本社…ニューヨーク州
  • 創業者…フィリップ・モリス氏
  • 創業年…1847年
  • 現在のCEO…アンドレ・カランザポラス氏
  • 上場市場…ニューヨーク証券取引所 (シンボル:PM)
  • 時価総額…1,555億5,500万ドル(2020年6月4日現在。Yahoo!ファイナンスより)
  • 決算日…12月31日
  • 発行済株式数…15億5,700万株(2020年6月4日現在。Bloombergより)

Philip Morrisは、紙たばこや加熱たばこ(電子機器や付属品)、禁煙製品などの製造・流通・販売をおこなう企業です。

有名な製品として「Marlboro」がありますが、たばこを吸ったことがない方でも知っているくらいの世界有名ブランドです。

たばこビジネスは、世界各地で顕著となっている健康志向から若干縮小しつつあるという懸念点があります。

とはいえ、たばこ業界でのPhilip Morrisというブランド力は非常に根強く、ほぼ寡占状態に。

というのも、今やPhilip Morrisのたばこは約190を超える市場で販売されていて、そのうち100弱の市場で15%のシェア(市場において1位か2位)を獲得しています。

製品の値段はピンからキリまでありますが、それでもこれほどのシェアを確保できるのはブランド力のおかげでしょう。

ニコチンという依存性物質を含む製品であることからも、急激な需要減少という不安は特になく、リピーターをほぼ確実に囲い込んでいるという非常に有利なビジネスモデルです。

とはいえ消費者の健康志向には対応していく必要があり、Philip Morrisは“たばこ業界をリードして、煙のない未来を目指す”とし、IQOSやHEETSといった人体に対するリスクが低減された加熱たばこの製造にも尽力しています。

Philip Morrisの事業セグメント

Philip Morrisの事業セグメントは、ビジネスを展開する子会社とその地域別に6つに分けられています。

  • EU部門:スイスのローザンヌに本社がある。EU加盟国とスイス、イギリス、ノルウェー、アイスランドなどが対象
  • EE部門:スイスのローザンヌに本社がある。ウクライナ、イスラエル、ロシアなど東南ヨーロッパや中央アジアの国々が対象。
  • ME&A部門:スイスのローザンヌに本社がある。アフリカ大陸や中東の国々が対象
  • S&SA部門:香港に本社がある。インドネシアやフィリピンなど南・東南アジアの国々が対象
  • EA&A部門:香港に本社がある。オーストラリアや日本、韓国、中国などの東アジアの国々が対象
  • LA&C部門:ニューヨークに本社がある。南アフリカ大陸や中央アメリカなどの国々が対象

このうち、EE部門において東ヨーロッパで販売しているたばこブランドBond Street、地域問わず全世界で販売しているNEXTは、安価な製品として親しまれています。

ニコチンが含まれていることもあり、リピーターをきちんと確保できているため、多少景気が減速しても消費者はたばこをやめるというよりも安い製品を選ぶという選択肢を取りがちです。

よって、安価な製品を用意しておくことで、景気減速時にも価格戦略で対応することが可能となっています。

幅広い地域において、価格が安いものから高いものまで展開しておくというのは、とても重要な戦略だといえるでしょう。

業績

では、Philip Morrisの業績を見ていきましょう。出典は「投資家向け広報活動」ページです。

(図1)

図1は、純売上高(たばこ税を除く)(以下:売上高)と当期純利益のグラフです。

売上高は大きく上下することはなく、過去5年間で見ても300億ドル前後で安定して推移し続けています。

2019年通期では+0.6%と微増しました。

これは、フィリピンやトルコ、EU地域やロシアにおける加熱たばこの売上高増加によるものです。

たばこ市場は縮小しているといわれつつも、しっかりと人体へのリスクを考慮した加熱たばこを製造して売上をあげているので、良い傾向だと思います。

(図2)

図2は、売上高と営業利益のグラフです。

営業利益が7.4%減少しましたが、これはロシアでの物品税やカナダでの訴訟関連費用の発生が原因になります。

とはいえたばこビジネスはやはり参入障壁が高く、営業利益率に大きな変動はありません。

(図3)

図3は、売上高内訳のグラフです。

Philip Morrisの売上高は製品別で、可燃性製品とリスク低減製品に分けることができます。

可燃性製品が紙たばこやパイプたばこ、葉巻などで、リスク低減製品がIPOSなどの加熱たばこや関連機器、その他ニコチンを含む製品のことです。

健康志向に起因して、やはりリスク低減製品の売上高が大きく増加し、一方で可燃性製品の売上高は減少しています。

Philip Morrisは将来的に紙たばこの製造を廃止しているとしているので、加熱たばこ分野におけるさらなる健闘が求められそうです。

ここで注意するべきなのが、米国ベンチャーのたばこ企業であるJUUL Labsの台頭です。

JUULという電子たばこを製造していて、すでに米国では7割以上のシェアを獲得しているほど。

というのも米国では現在、Philip Morrisが日本を含む世界各地で販売している加熱たばこの認可が下りていません。

米国では健康志向が強くなりつつも、紙たばこしか選択肢がなかったなかで、JUULという電子たばこの登場は大きく注目が集まりました。

なかでもJUULは若者に人気で、その秘訣はSNS映えするおしゃれな見た目やフレーバーにあります。

今後米国外に進出してくる可能性もあるので、シェアを奪われないようにしていかなければなりません。

(図4)

図4は、出荷量のグラフです。

図3で見た可燃性製品とリスク低減製品の売上高増減と同様、出荷量も紙たばこは減少、加熱たばこは増加となっています。

加熱たばこは、とくにEU地域や東ヨーロッパ、日本での需要増加が寄与したようです。

しかし総出荷量(紙たばこ+加熱たばこ)は2019年通期にかけて減少しているのに対し、図1で見たように売上高は微増しています。

さまざま要因がありますが、その1つとして寡占状態におけるたばこの値上げがあります。

(図5)

図5は、キャッシュフローのグラフです。

リスク低減製品の開発において設備投資をおこなっているものの、たばこビジネスではさほど投資CFが大きくなることはないようです。

安定的にフリーCFを確保できており、とても良い状態といえます。

株価はS&P500をアンダーパフォームしている

(図6)

図6は、Philip Morrisの株価とS&P500を比較したグラフです。

過去10年間で見ると、Philip Morrisの株価はS&P500をアンダーパフォームしており、右上がりとはいえない形状となっています。

投資家がなかなか寄り付かない要因は、環境や社会に配慮している投資先を選ぶ「ESG投資」を重視する傾向が強くなったことだと考えられます。

実は近年、ESG投資を念頭に置いている運用機関における、たばこ業界や化石燃料業界などからの撤退が急増しているのです。

Philip Morrisも投資撤退の対象となっており、それが株価を押し下げている原因としてあると思います。

投資撤退のダメージを抑えるには、ESG投資の重視に則った今後の事業展開について投資家と対話を進めて、意思疎通を図ることが求められます。

Philip Morrisも加熱たばこの製造をメインにして紙たばこを廃止していく方針ですが、加熱たばこも、たばこである以上は環境に影響を与えうるものです。

また、加熱たばこへのシフトを進めつつも売上高の増加がわずかでしかないことも、投資に踏み込めない理由としてあるのではないでしょうか。

環境や社会に配慮した製品開発をアピールして、きちんと収益に反映していくことが、ESGマネーを逃さないために必要不可欠になります。

まとめ

本記事ではPhilip Morrisについてご説明してきました。

健康志向の強さから、できるだけ人体へのリスクが低いリスク低減製品の開発・製造に尽力しているPhilip Morrisは、ESG投資の面で懸念があります。

約10年間かけても株価が大きく上昇していないのは、ESG課題に対応していないと見られる点があるからでしょう。

もちろん環境や社会、人体への影響を配慮して加熱たばこの製造にシフトしつつあるのですが、喫煙者や禁煙希望者を巻き込んで、市場改革を全面的に進めていく必要もあるのではないでしょうか。

ESG投資家からのイメージ向上に努めて株式市場における評価が高くなった暁には、投資対象としての魅力が出てくるかもしれません。

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免責事項と開示事項 記事の作者タナカチアキは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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