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【銘柄紹介】Netflixってどんな企業?

出典:Getty Images

モノ消費からコト消費に移り行くなかで、多くの方が利用している「ストリーミングサービス」。

新型コロナウイルス感染症の影響により“巣ごもり消費”という言葉も飛び交っていましたが、世界最大のストリーミングサービス企業「Netflix(NASDAQ:NFLX)」も巣ごもり消費銘柄として大きな恩恵を受けています。

とはいえストリーミングサービス市場は非常に競争が激しく、競合他社との関係についても知っておく必要があります。

本記事では、Netflixの基本情報や業績、競合他社について詳しく解説します。

基本情報

まずは、Netflixの基本情報をご紹介します。

  • 本社…カリフォルニア州ロス・ガトス
  • 創業者…リード・ヘイスティングス氏
  • 創業年…1997年
  • 現在のCEO…リード・ヘイスティングス氏
  • 上場市場…NASDAQ (シンボル:NFLX)
  • 時価総額…1,845億9,900万ドル(2020年5月31日現在。Yahoo!ファイナンスより)
  • 決算日…12月31日
  • 発行済株式数…4億3,980万株(2020年5月31日現在。Bloombergより)

Netflixは、世界最大のストリーミングサービスを提供する企業です。

米国を代表する企業群「FAANG」を構成する企業の1つでもあります。

本記事を読んでくださっている方のなかにも、Netflixの会員になっている方がいらっしゃるのではないでしょうか?

もしかしたら、新型コロナウイルス感染症の影響でおうち時間が増えたことをきっかけに、最近会員になったという方もいらっしゃるかもしれません。

今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛は、Netflixにとってかなりのビジネスチャンスとなったようです。

後ほど、その影響についても詳しく見ていきます。

また、Netflixの収益源は、ストリーミングサービスにおいて毎月徴収する月額料金です。

とはいえストリーミングサービス市場は、Netflixのような動画配信でいうとhuluやDisney+、Amazon Primeなどがおり、競争が非常に激しい状況にあります。

また、ケーブルテレビや衛星経由でマルチなテレビ番組を放送するMVPDも、提供体系は違いますがNetflixは競合として認識しているようです。

Netflixは他社との差別化として、オリジナルコンテンツの制作に非常に尽力しているという特徴があり、実はコンテンツの制作には多数のデータサイエンティストを抱える同社のテクノロジー技術が駆使されているというのが興味深いポイントになります。

業績

では、Netflixの業績を見ていきましょう。出典は「投資家」ページです。

(図1)

図1は、売上高と当期純利益のグラフです。

売上高はとどまるところを知らず、どんどん増加しています。

2019年通期における売上高は、なんと28%も増加しました。

2018年10月~2019年3月にかけての過去最大級レベルの会員数増加と、プラン選択による月額料金のアップが要因です。

IT企業にしては売上高当期純利益率が10%以下とその低さが気になるところですが、その要因は先ほども触れたようなオリジナルコンテンツの制作に多額のコストをかけていることにあります。

企業にとってよくない出費が増加しているわけではなく、そんな多額の費用を毎年かけてもなお利益を確保できているので、製作費をかけていることは業績アップに寄与しているといえるでしょう。

(図2)

図2は、ストリーミングサービスユーザーの平均月額料金のグラフです。

Netflixの料金プランは、国やプラン機能によって異なるのですが、日本の場合は以下の3プランが提供されています。

どのプランもPC・テレビ・スマホ・タブレットでの視聴が可能で、映画やドラマは完全見放題です。

プラン名 月額料金(税別) 機能
ベーシック 800円 同時視聴画面数1台
スタンダード 1,200円 HD画質

同時視聴画面数2台

プレミアム 1,800円 HD画質

UHD 4K(超高画質)

同時視聴画面数4台

図2を見ると平均月額料金がだんだん高くなっていることが分かりますが、これはより高機能を追求したユーザーが増えて高い月額料金を支払うようになったということです。

Netflixは最先端テクノロジー企業ということもあり、配信技術にも注力しています。

とくにプレミアムプランのUHD 4K画質に対応したサブスクリプションサービスは数少なく、他社の場合は対応作品を見るのに別途料金が発生したりすることがあるのです。

しかも同時視聴画面数は4台なので、毎月1,800円(税別)支払うだけで超高画質の映像を家族全員でゆったり楽しむことができる点に魅力があります。

(図3)

図3は、キャッシュフローのグラフです。

営業CFのマイナスには、オリジナルコンテンツの制作費や他社コンテンツの取得費などが含まれているのですが、大きな赤字となっていることが見て取れます。

図1で見たように、Netflixは売上高当期純利益率10%以下の水準で利益をあげつつも、毎年オリジナルコンテンツの制作や他社コンテンツの取得に尽力して、自社サービスの充実に励んでいるのです。

図3だけを見ると、キャッシュフローはあまり良い状態ではなく、投資家も不安に感じるかもしれませんが、営業CFのマイナスの理由は何なのか、コストをかけた結果売上高や利益は伸びているのか(図1)を知れば、そう悪い企業とは思えないはずです。

(図4)

図4は、売上高内訳のグラフです。

実はNetflixは、創業当初はサブスクリプション型のオンラインDVDレンタル事業を展開していた企業です。

ストリーミングサービス事業を展開するようになったのが、2007年のことでした。

現在もDVD事業が若干売上高をあげているものの、ストリーミングサービス事業が約98%を占めているため、Netflixはれっきとしたストリーミングサービス企業となっていることがわかります。

今後もストリーミングサービス事業の拡大に応じて、DVD事業が縮小していくとみられますが、ストリーミングサービス収益がその分大きく増加しているためビジネスモデルの転換には大成功を収めています。

(図5)

図5は、営業費用内訳のグラフです。

Netflixが支出する営業費用は、以下の3つに分けることができます。

  • マーケティング(販売費)
  • 技術開発費
  • 一般管理費

マーケティングおよび販売費には、デジタルデバイスやテレビでの広告宣伝費やマーケティングパートナーへの支払い、マーケティングに携わる従業員の給与や経費などが含まれます。

私たち日本人からしても、最近テレビやYouTubeでのNetflixの広告を見かける頻度が増えたように思います。

2019年通期は、既存の従業員への報酬アップや従業員数増加によって、支出が増えました。

続いて技術開発費には、技術担当従業員の給与や経費、技術面におけるテストや保守、ハードウェアやソフトウェアのコストなどが含まれます。

マーケティングおよび販売費と同じく、既存の従業員への報酬アップや従業員数増加によって、支出が増えました。

Netflixはコンテンツの充実とテクノロジーの発展に尽力しているため、技術開発にはぬかりない投資をしています。

最後の一般管理費には、その他従業員の給与や経費、専門家によるコンサルティング料などが含まれます。

2019年通期は、人事管理費やコンサルティング料の増加、既存の従業員への報酬アップによって、支出が増えました。

これら営業費用は、Netflixにおけるコンテンツの充実やサービスの改善には欠かせないものなので、今後いかに収益増加をもたらすかに注目しましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響で会員数急増

冒頭でも少し触れましたが、Netflixの会員数は新型コロナウイルス感染症の感染拡大における外出自粛・自宅待機によって会員数が増加し話題となりました。

(図6)

図6は、2015年通期~2019年通期と、直近の決算期である2020年第1四半期(2020.1Q)の有料会員数を示したグラフです。

2019年通期が終了した2019年12月31日から、2020年第1四半期の終了までわずか3カ月しか経過していないにもかかわらず、有料会員が1年分増加していることがわかります。

同社やアナリストの予測では、この3カ月で有料会員数は700万人ほど増加するとの見通しでしたが、その2倍を上回り1,500万人以上も増加したのです。

新型コロナウイルス感染症による好影響は予想されていましたが、結果的にだれもが予想できなかったほどの数値になります。

たった3カ月でこれほど有料会員数が増加するというのは異例で、外出自粛や自宅待機の状況下でいかにストリーミングサービスが理想的なビジネスであるかが、よくわかる出来事となりました。

これにて2020年第1四半期決算時点でのNetflixの有料会員数は1億8,286万人となりましたが、この有料会員数の大幅な増加を同社は一時的なものとみています。

ストリーミングサービスは、良くも悪くも必要なくなったらすぐに解約することができるものです。

そのため、今回の外出自粛・自宅待機をきっかけに有料会員となった人々をいかに繋ぎ止めて収益化を継続していくかで、2020年第2四半期の決算状況はがらりと変わりそうです。

競合のDisney+は好調の滑り出し

日本でも2020年6月11日にサービスが開始されることが発表された、The Walt Disneyが提供する動画配信サービスのDisney+。

米国では2019年11月12日からすでにサービスが開始されているのですが、なんと開始からわずか5カ月で全世界(米国・西欧諸国・インドなど)における有料会員数が5,000万人を到達しています。

競合である2011年にサービスを開始したストリーミングサービスhuluの有料会員数約3,000万人を半年足らずで抜いたことになります。

この凄まじい初速は、NetflixやAmazon Primeの20倍以上ともいわれており、世界最大ストリーミングサービスのNetflixを脅かすのではないかとの声もあるようです。

ストリーミングサービストップのNetflix、2位のAmazon Primeのサービスが開始したときよりもビジネス環境が優れているとはいえ、異例のスピード感であり、今後も日本以外の地域にサービスを展開していくことが決定しているため、この勢いはとどまるところを知りません。

NetflixはDisney+にどう迎え撃つのか、今後に注目しましょう。

S&P500と比べ物にならないほどアウトパフォーム

(図7)

図7は、Netflixの株価とS&P500を指数化(2020/1/6の価格を100)したグラフです。

約10年間でNetflixの株価は約60倍にまで膨れ上がっており、S&P500が横ばいに見えてしまうほど(ちなみにS&P500は約2.6倍)です。

10年以上かけてストリーミングサービスの有料会員数を増加させてきましたが、そうなると待ち構えるのが競合他社の台頭です。

競争が激化すると、会員数が伸び悩んだり株価が横ばいになったりすることもありました。

現在は新型コロナウイルス感染症の影響によるビジネスチャンスもあり、コロナ相場に飲み込まれつつも有利なビジネスモデルによって反発を繰り返し、比較的高水準で推移しています。

(図8)

巣ごもり消費銘柄として、勝ち組ポジションを維持しているように感じます。

まとめ

本記事ではNetflixについてご説明してきました。

筆者もNetflixの有料会員になっていますが、オリジナルコンテンツが非常に多く話題になる作品が多いため、オリジナルコンテンツを目的に有料会員になる方も非常に多いように感じます。

多くのストリーミングサービスがあるなかでかなりの差別化になっているので、業績にも表れていたオリジナルコンテンツ制作やコンテンツ取得にかけた多額のコストは、非常に有意義なものです。

キャッシュフローに関しては不安を感じる点があったかもしれませんが、当期純利益を見るときちんと黒字を叩き出しています。

競合他社の勢いに負けず有料会員数を増加・維持させていき、コンテンツコストをいかに回収していくかがNetflixの今後の銘柄としての価値を左右するのではないでしょうか。

免責事項と開示事項 記事の作者、タナカチアキは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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