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【銘柄紹介】PepsiCo(ペプシコ)ってどんな企業?

出典:Getty Images

多くの人々に愛される炭酸飲料の1つ、コーラ。

コーラを製造している企業としてCoca-Cola以外にもう1社思い浮かぶのが、「PepsiCo」です。

消化不良の治療薬がルーツとなったコーラを世界的に製造・販売するPepsiCoとCoca-Colaとの違いについて知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、PepsiCoの基本情報やセグメント情報、そしてCoca-Colaと比較しながら業績について解説していきます。

基本情報

まずは、PepsiCoの基本情報をご紹介します。

  • 本社…ニューヨーク州パーチェス
  • 創業者…ドナルド・M・ケンドール氏とハーマン・レイ氏
  • 創業年…1965年
  • 現在のCEO…インドラ・ヌーイ氏
  • 上場市場… NASDAQ(シンボル:PEP)
  • 時価総額…1,834億3,300万ドル(2020年6月1日現在。Yahoo!ファイナンスより)
  • 決算日…12月末日
  • 発行済株式数…13億8,800万株(2020年6月1日現在。Bloombergより)

PepsiCoと聞くと、私たち日本人は「ペプシコーラ」をイメージしやすいため、飲料会社かと思われがちですが、実はスナック菓子やシリアルなど食品を製造・販売する企業としての色合いが強いです。

食品会社として見ると、Kit-Katやチョコレートクランチなどを製造するスイス企業のNestleに次いで、世界第二位の実力を誇っています。

PepsiCoが製造した商品は、フランチャイズで契約している流通業者や小売業者、ボトラーなどさまざまな業者を介して販売されます。

ペプシコーラを強く売り出していましたが、2000年代に入って健康に対する意識から、炭酸飲料に含まれる砂糖が消費者に敬遠されるようになったことをきっかけに、多数の菓子メーカーなどと統合を進めて事業範囲を広めていき現在の地位を確立したのです。

有名なブランドには、以下のようなものがあります。

  • Frito-Lay(スナック菓子:mike POPCORN・Doritos・Cheetos・ドラゴンポテト・リッチギザ)
  • Gatorade(清涼飲料水)
  • Pepsi-Cola
  • Quaker(オートミール:Instant Oatmeal・Old Fashioned・Quick 1-Minute Oats)
  • Tropicana(ジュース: Tropicana Pure Premium・Trop50 NoPulp Calciun+Vitamin D・Tropicana Premium Drinks Watermeron)

PepsiCoの事業セグメント

PepsiCoの事業セグメントは、以下の7つに分かれます。

1.~3.は同地域で商品別、4.~7.は地域別でセグメントが構成されています。

  1. FLNA
  2. QFNA
  3. PBNA
  4. LatAm
  5. Europe
  6. AMESA
  7. APAC

続いて、各セグメントの事業内容を確認していきましょう。

FLNA

1つめのFLNA部門では、米国・カナダでブランド食品やスナック菓子を提供しています。

傘下の企業としてFrito-Layがあり、ポテトチップスのLay’sやトルティーヤチップスのDoritos、チーズスナックのCheetosなどが主力商品です。

QFNA

2つめのQFNA部門では、米国・カナダでシリアルやオートミールを提供しています。

傘下の企業としてQuarkerがあり、オートミールのInstant OatmealやOld Fashioned、Quick 1-Minute Oatsなどが主力商品です。

PBNA

3つめのPBNA部門では、米国・カナダで飲料の濃縮液や甘味料、完成品などを提供しています。

たとえば、以下のような飲料の濃縮液を製造しています。

  • Aquafina
  • Moutain Dew
  • Diet Pepsi
  • Gatorade
  • Pepsi
  • Tropicana

また、オランダとイギリスが本拠地である一般消費財メーカーのUnileverと合弁にて、紅茶ブランドLiptonの商品も提供しています。

完成品は流通業者や小売業者を介して消費者に届けられますが、濃縮液や甘味料はフランチャイズのボトラーに販売して、ボトラーが飲料を完成させたうえで流通・販売をおこなうというしくみです。

流通システムとしては、店舗直送や倉庫保管などがあり、eコマースサイトや小売店舗を利用して消費者に商品を届けます。

LatAm

4つめのLatAm部門では、ラテンアメリカでブランド食品やスナック菓子、飲料を提供しています。

Lay’sやDoritos、Cheetos以外には、トルティーヤチップスや付属ディップのTostitos、メキシコのスナックSabritasなどがあります。

PBNA部門と同様濃縮液の製造・販売もおこなっていて、たとえば以下のような飲料が対象です。

  • 7Up
  • Gatorade
  • H2OH!
  • MIRINDA

Europe

5つめのEurope部門では、ヨーロッパ地域でブランド食品やスナック菓子、飲料を提供しています。

上記でご紹介した食品以外だと、ギリシャのChipitaやポテトチップスのRuffles、ビスケットのWalkersなどがあります。

PBNA部門やLatAm部門と同様濃縮液の製造・販売をおこなっているのですが、フランチャイズのボトラーだけではなく独自のボトリング工場も利用しているという特徴があります。

ちなみに飲料事業においては、2018年に家庭用炭酸製造機を製造・販売している清涼飲料水メーカーのSodaStream Internationalを32億ドルで買収したという大きな出来事がありました。

これまでPepsiCoは清涼飲料水部門へのコミットが弱かったため、買収を機に参入を進めていくことが可能です。

また、SodaStream Internationalはeコマースサイトや小売店舗で製品を販売しているので、直接的にPepsiCoに新しい収益をもたらすことにも繋がります。

eコマースサイトにおいて蓄積したデータは、新ビジネス誕生の手がかりになるかもしれません。

AMESA

6つめのAMESA部門では、アフリカ・中東・南アジアでブランド食品やスナック菓子、飲料を提供しています。

Europe部門と同様、独自のボトリング工場と流通施設を保有しているという特徴があります。

2019年には南アフリカの食品・飲料会社であるPioneer Food Groupを買収し、世界中に輸出するという強みを手に入れました。

APAC

7つめのAPAC部門では、アジア太平洋地域でブランド食品やスナック菓子、飲料を提供しています。

事業内容はこれまでご紹介してきた部門と同様です。

業績

では次に、PepsiCoの業績を見ていきましょう。

出典は「投資家」ページです。

(図1)

図1は、売上高と当期純利益のグラフです。

当期純利益率については、主要な競合他社であるCoca-Colaの同時期の数値も表示しています。

まず売上高は、年々ゆるやかに成長していることがわかります。

2019年通期にかけては+4%増加しましたが、主にSodaStream買収での収益統合によるものです。

当期純利益率はたいていCoca-Colaの数値を10%程度下回っているため、競合他社と比較すると、もう少しコストを削減して経営効率を上げていく必要性を感じます。

(図2)

図2は、売上高と営業利益のグラフです。

こちらも同様に、Coca-Colaの同時期の数値を表示しています。

営業利益はほぼ横ばいという感じで、2019年通期にかけては+2%の増加でした。

生産性の改善が売上高を大きく引き上げたものの、商品コストや広告宣伝費などのマーケティングコストが増加したために、営業利益の一部が相殺されました。

当期純利益率と同じくCoca-Colaの数値を下回っており、年々Coca-Colaの経営効率が良くなり、PepsiCoが引き離されているようにも見えます。

(図3)

図3は、2019年通期におけるPepsiCoとCoca-Colaの売上高と当期純利益を並べたグラフです。

実は売上高を見ると、PepsiCoの方が、Coca-Colaより大きいことがわかります。

というのもどちらもコーラなどの炭酸飲料を製造している点では共通していますが、PepsiCoはスナック菓子やシリアルなど食品にも幅を広げてビジネスを展開しているというCoca-Colaとの明確な違いがあるからです。

(図4)

図4は、セグメント別売上高のグラフです。

AMESA部門以外の全セグメントで売上高が増加していることがわかります。

FLNA部門とQFNA部門とPBNA部門はすべて米国・カナダで展開しているセグメントなのですが、同地域だけで売上高の6割以上を占めています。

目立ったものとしてはEurope部門の+7%の売上高増加があげられ、要因はSodaStream International買収です。為替や一部地域での販売量減少によって相殺はされたものの、買収によって飲料事業は+24%も売上高が増加しました。

また、唯一売上高が減少しているのがAMESA部門です。

これは、インド飲料事業一部において再フランチャイズ化を進めていることが要因になります。

ちなみに競合他社のCoca-Colaは、米国よりも米国外での売上高が割合として大きくなっているため、今後もPepsiCoは米国でのシェアを拡大できる可能性は大いにあると考えられます。

とはいえ、グローバル市場でも継続的に力をつけて、十分なシェアを確立しておくことが求められるでしょう。

(図5)

図5は、セグメント別営業利益のグラフです。

図4のセグメント別売上高のグラフと若干構造が異なっています。

というのも、もっとも売上高が多いのはPBNA部門ですが、理業利益が大きいのはFLNA部門となっています。これは例年変わらない構造のようです。

なぜFLNA部門の営業利益への貢献度が高いかというと、米国・カナダの消費者嗜好がFLNA部門で扱っているようなトルティーヤチップスなどのメキシカンスナックにシフトしたためだと考えられます。

FLNA部門頼みのもいえるPepsiCoの収益基盤なので、今後も各地域で人気を獲得していくことが大切になります。

(図6)

図6は、キャッシュフローのグラフです。

2019年通期においては投資CFが増加していますが、これは何度も触れたSodaStream Internationalの買収費用や、生産性を高めるための設備投資などによるものです。

フリーCFは毎年非常に安定していて、PepsiCoはフリーCFの借入金の返済以外の使いみちについて“配当や自社株買いに回し、株主に還元していく”との方針を示しています。

それもそのはず、PepsiCoは48年連続で増配を発表している配当貴族銘柄なのです。

配当株への投資をしている方にとって、PepsiCoは非常に魅力的な銘柄だといえるでしょう。

新型コロナウイルス感染症の影響で第2四半期業績はどうなる?

PepsiCoは2020年第2四半期(4月~6月)の業績について、新型コロナウイルス感染症の影響によるレストランや商業施設等の休業から、飲食料品の売上高増加が鈍化するとの予想を示しています。

現場で飲食料品を売り上げるのは困難だと悟ったPepsiCoは、2つのeコマースサイトを立ち上げて、ネット宅配サービスを立ち上げたのです。

具体的には、詰め合わせ商品を販売する「PantryShop.com」とスナック菓子を組み合わせ注文できる「Snacks.com」というものがあります。

コロナ禍におけるネット通販の需要は非常に大きく、とくにスナック菓子などの保存がきく食品は買いだめの対象となりやすいと考えられます。

これまで小売店舗での販売売上に頼っていたPepsiCoが、今回のような消費者の買い物スタイルの変化に即座に対応した点は、大きく評価されています。

第2四半期の業績にどう影響を及ぼすのか、次回の決算発表にも注目しましょう。

2020年3月、エナジードリンクRockstar買収

2009年から、PepsiCoとRockstar Energy Drinkを提供するRockstar Energy Beveragesは北米での販売契約を結んでいましたが、2020年3月に38億5,000万ドルで買収することで合意がなされました。

消費者の健康志向によって炭酸飲料の需要が落ち込んでいるなか、PepsiCoはエナジードリンク分野には弱いままでした。

買収を機に飲料事業での幅を広げて、エナジードリンクの需要が高いミレニアル世代のシェアを獲得しにいく想定です。

この投資が吉と出るのか凶と出るのかにも、注目です。

まとめ

本記事ではPepsiCoについてご説明してきました。

私たちからするとコーラのイメージが強いPepsiCoですが、実は食品会社としての色合いが強いことに驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。

飲料事業でいうところのライバルCoca-Colaと比べると利益率は低いですが、食品事業も展開しているからこそPepsiCoの売上高は非常に多いです。

近年ではマーケティングコストや商品コスト、買収コストなどによって出費が多くなっているのですが、規模が大きい食品事業の経営効率をどれだけ良くできるかが今後の企業展望の鍵を握るのではないでしょうか?

株主還元の手厚さにも期待できるため、配当目的での保有でも注目です。

免責事項と開示事項 記事の作者、タナカチアキは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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