ステップ6:NISAやiDeCoの活用法
投資を始めるのに、税制上も有利な制度としてNISAとiDeCoがありますが、これらの違いや特徴、メリット・デメリットなどをご紹介し、一覧表でわかりやすく比較してみました。
ご自分に最も合った税制優遇制度を見つけ、今後の資産運用に活かしてください。
NISAとは
NISAは2014年1月からスタートした、個人投資家のための税制優遇制度のこと。
イギリスのISA(Individual Savings Account)をモデルにした日本版であることからNISAと呼ばれています。
通常、株や投資信託から得られる配当金や譲渡益には、20%が課税されますが、NISA口座内(1人1口座)においては、1年間に120万円まで、投資した金融商品から得られる配当金や譲渡益が非課税となる制度です。
非課税期間は最長5年間となっているため、非課税投資枠は最大で600万円になります。
投資期間の5年が終了した場合は、保有している金融商品を翌年の非課税枠に移す(ロールオーバー)することが可能です。
投資可能期間は2023年までとなっています。
※5年間の非課税期間が終了しても、翌年の非課税枠にロールオーバーできるというのは、例えば2018年に非課税枠の120万円で購入した株は、2022年までに売却(利益確定)することで非課税のメリットを受けますが、含み損があって売れないケースもあります。そんな場合にロールオーバーによって非課税期間が新たに5年間延長されるというものです。
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAは、未成年者(0~19歳まで)のための非課税投資制度です。
運用管理者は両親や祖父母の二親等以内の血縁者になります(15歳以上から本人が管理することができる)。
2016年から開始されました。
1人1口座で1年間80万円まで、口座内で投資した配当金や譲渡益が非課税になります。
NISAと同じく非課税期間は5年間なので、最大400万円の非課税投資枠になります。
ジュニアNISAは、子どもや孫の資産形成を主な目的とし、中長期にわたる投資を目的としているため、口座開設者が18歳になるまで原則として払い出しができません。
途中で払い戻しする場合は、過去の非課税分も課税されることになります。
投資可能期間はNISAと同じく2023年までとなります。
つみたてNISAとは
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度で、2018年1月からスタートしました。
非課税対象は、金融庁が定めた投資信託に投資している期間に得られた分配金や譲渡益です。
つみたてNISAは、一般NISAと違って投資初心者でも利用しやすいように、販売手数料や信託報酬が低水準で頻繁に分配されないなどの条件を満たし、金融庁が厳選した投資信託(2018年5月現在で148本)の中から選ぶことになります。
年間40万円の投資が上限ですが、非課税期間は20年と長期のため、投資総額は最大で800万円になります。
したがって、投資信託の購入は2037年までになります。
2037年に購入した投資信託は20年間(2057年まで)非課税で保有することができます。
つみたてNISAと、一般NISAとは併用することはできないため、どちらかを選択することになります(1年ごとの変更は可能)。
iDeCoとは
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金のことです。
任意で加入し掛け金を拠出、自らが運用方法を選びます。
掛け金と運用益の合計額をもとに給付を受け取る制度。
2001年から始まりましたが、2017年には、加入者の範囲が拡大し、基本的に20歳以上60歳未満の全ての人が加入できるようになりました。
拠出限度額(積立金額)は、職業や加入している年金によって違いがあり、自営業者の場合は、月額68,000円(年額816,000円)まで。
サラリーマンの場合は加入している厚生年金によって月額12,000円~23,000円(年額144,000円~276,000円)まで。
主婦の場合は月額23,000円(年額276,000円)までとなっています。
運用商品は、預貯金・投資信託・保険商品など。
iDeCoは、長期化する老後資金確保のための資産形成の制度なので、原則60歳までは受け取ることができません。
iDeCoの大きな特徴として、以下の3つの税制メリットがあることです。
- 掛け金が全額所得控除となる。
- 運用益が非課税で再投資される。
- 受け取り時、年金として受け取る場合は「公的年金控除」、一時金で受け取る場合は「退職金控除」の対象となる。
これらは、iDeCoだけの大きなメリットです。
各商品の比較表
NISA | ジュニアNISA | 積立NISA | iDeCo | |
1年間の非課税枠 | 120万円 | 80万円 | 40万円 | 加入している年金によって異なる(14,4000円~816,000円) |
非課税期間 | 5年 | 5年 | 20年 | 加入後から60歳まで(延長10年間可能) |
合計非課税金額 | 600万円 | 400万円 | 800万円 | 最大で3,264万円(40年間) |
年齢などの条件 | 日本在住の20歳以上の人 | 0歳~19歳までの未成年者(親や祖父母が運用管理者) | 日本在住の20歳以上の人 | 日本在住の20歳以上60歳未満の人 |
投資対象商品 | 株・投資信託・ETF・REIT | 株・投資信託・ETF・REIT | 金融庁が定めた長期積立分散投資向け投資信託・ETF(2018年5月現在148本) | 定期預金・保険商品・投資信託など |
引き出しの自由度 | いつでも引き出し可能 | 原則18歳まで引き出しできない(引き出す場合は課税される) | いつでも引き出し可能 | 60歳まで引き出しできない |
メリット | ・5年間の非課税期間が終了しても、2023年までは新な非課税枠にロールオーバーできる。 | ・5年間の非課税期間終了後、新たな非課税投資枠へロールオーバーして継続保有できる。 | ・非課税期間が長い。
・少額から始めることができる(金融機関によっては100円から可能)。 |
・積立した金額すべてが「所得控除」の対象になる。
・受け取るときは「公的年金控除」「退職所得控除」の対象になる。 |
デメリット | ・既に課税口座で保有している商品をNISAに移すことはできない。
・1年間で未使用分の非課税枠は翌年にロールオーバーできない。 |
・1年間で未使用枠があっても翌年にロールオーバーできない。 | ・投資する商品が限定される。
・年間の非課税枠が小さい。 |
・基本的に中途解約はできない。
・専業主婦の場合は所得がないため、所得控除のメリットはない。 ・夫婦で掛け金を合算しての所得控除はできない。 |
まとめ
NISA・つみたてNISA・iDeCoの特徴や違いはおわかりいただけたでしょうか?
ある程度投資経験があり、多少のリスクは承知しながらも自由な銘柄でアクティブに運用したい人はNISAがおすすめです。
投資初心者の人や、なるべく低リスクの運用方法で貯蓄の代わりに長期運用したい人は、つみたてNISAがいいでしょう。
自営業者など老後に不安のある人や、老後をより豊かにしたい人、また所得税の節税をしたいサラリーマンなどにはiDeCoをおすすめします。
尚、NISAとつみたてNISAは併用できませんが、NISAとiDeCo、つみたてNISAとiDeCoは併用可能です。
この3つの制度を利用して、上手な資産形成を目指しましょう。