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ステップ5:住宅ローンは繰り上げ返済すべき?

多くの人が住宅ローンを抱えていますが、株式投資をする前にローンへの取り組み方について整理する必要があります。一般論としては、史上稀に見る低金利であるこの時期に、固定金利にしておいた方がよいでしょう。また、借り換えすることで月々の返済が大幅に(借り換え手数料以上に)抑えられるかどうか検討すべきでしょう。適切な借り換えは、今後20ー30年間にわたる返済にあたり大きな節約につながります。長期借入の金利を下げるということは、ある意味複利効果が得られるということにつながります。

固定金利か変動金利かという問題よりも、この低金利下で、そもそも住宅ローンを繰り上げ返済した方がいいのか、あるいはリスクをとって余剰資金を株式投資に振り向けた方がいいのかどうかは、より難しい問題です。以下その課題について議論したいと思います。

株式投資で住宅ローン金利以上の収益が得られることもありますが、実質借金して投資することになるので、損をすれば痛手は大きいともいえる。ただ金利が低い現状、リスクを取りやすい環境にあることも事実なので、特に固定金利であれば急いで返済するより、リターンの見込める中小型株や米国株を中心に運用する考え方もあります。

繰り上げ返済が正しい判断なのか、それとも資金を株式投資に回す方が有利なのか、以下を読んで、あなたなりの答えを出してみましょう。

 繰り上げ返済するメリット

それではまず、繰り上げ返済のメリットを以下みてみましょう。

  • 安心感が得られます:ローンを完済してしまえば、極端な話、返済できない場合の差し押さえを心配する必要はなくなります。
  • 利払いが節約できます:繰り上げ返済すれば多くの金利支払額を節約できる。例えば、3,000万円を35年、金利0%で借りている場合、利払い総額は35年間で1,050万にもなり、そのメリットは大きいととらえることもできます。
  • リターンが保証された投資と同じ効果がある:繰り上げ返済すれば必ず金利が節約できる。つまり利回り保証の投資と同じです。これに対し、資金を株式投資に回せば、損失が出るかもしれません。
  • 生活費を減らし、職業選択の幅が広がる:住宅ローンの返済は、月々の支払いの中で大きな支出項目です。繰り上げ返済の結果生活費が減るので、給料がやや安い仕事についたり、子育てを優先したり、あるいは、早めの定年を選んだりと、職業選択の幅が広がります。

 繰り上げ返済せず株式投資に回すメリット

ここまで、繰り上げ返済のメリットを見てきましたが、そのデメリットについても考えるべきです。すなわち繰り上げ返済せず株式投資をするメリットを以下みていきましょう。

  • 長期的には平均リターンが高い:ローン返済のために1万円余分に使うということは、運用のために1万円を使えないことを意味します。繰り上げ返済をすれば、金利1%というリターンを100%の確率で得られますが、株式投資に資金を回したとき、50%の確率で15%のリターンを得られ、50%の確率で-5%損失をすると仮定すると、期待リターン(両シナリオの平均値)は10%となるので、リスクに対して中立な見方をする人は株式投資に回した方がよいことになります(もちろん上記リターンの仮定が妥当という前提に立てばですが。)実際S&P500は配当込みで長期的なリターンが年率10%に近く、繰り上げ返済による金利1%の節約よりもはるかに高いといえます。
  • 株の方がマイホームよりも換金しやすい:自宅の売却は時間がかかるし、面倒で費用もかかるので、いざ資金が必要な時に換金するのは容易ではありません。何か大きな資金が必要な時にすぐ売却できる流動性の高い株を持っていた方が換金しやすいというメリットがあります。
  • 株と自宅のポートフォリオができる:資金の多くを自宅につぎこむことは、不動産に集中的に投資することを意味します。住宅ローンの繰り上げ返済をして株式投資をしない場合、自宅の価格が下がると純資産はもろに影響を被ります。しかし住宅ローンを残して不動産の持ち分をコントロールしておきながら、株式投資をすれば、住宅と株のポートフォリオができ、自宅の価格変動リスクを多様化することができます。

繰り上げ返済や株式投資をする前に。

以上、繰り上げ返済や株式投資のメリットデメリットを議論しましたが、その前にできること、すべきことがあります。

  • 高金利の消費者ローンの完済:クレジットカード借入、消費者ローン、自動車ローンなどの借入金利は住宅ローンよりも高いし、借り入れ金利分を住宅ローン控除に算入することもできません。住宅ローンの繰り上げ返済や株式投資前に、まずはこれら高金利のローンを完済すべきです。
  • 緊急事態に備えた貯金の確保:繰り上げ返済した後に、自宅を担保に現金を調達したいと考えたとしても、手数料や金利等そのコストは大きくなります。入院等まとまったお金が必要になったときのための資金は現金という形で確保しておきましょう。

さて、あなたの判断やいかに?

あなたの住宅ローンを繰り上げ返済すべきか否か、正しい選択をするためには、短期と長期それぞれの目標、リスク耐性が明確であることが必要である。

繰り上げ返済も一つの選択であるただ、機会損失についても正しく理解していただきたい。特にインフレが発生すれば、固定金利であれば実質返済額は減るし、株に投資していればインフレ時には比較的よいリターンを出すことが多く、自身の資産の拡大に貢献するでしょう。