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ステップ9:アセットアロケーション 

個別銘柄の選択やその売買は、資産運用のほんの一過程に過ぎません。そのまえにアセットアロケーションというプロセスを経なければなりません。アセットアロケーションというのは、ありていに言えば、現金を幾ら持ち、株式や不動産に幾ら投資するかという判断です。以下の3原則を、アセットアロケーションと株式投資の参考としてください。

第一の原則:今後1~5年の間の必要資金は、現預金で保有すべき

海外旅行の資金や子供の教育費等、今後1~5年くらいにかけて必要になりそうな資金は、株式投資につっこむべきではありません。株式市場が暴落するとそういった資金に充てられないリスクが伴うからです。逆にいうと、今後必要な現金を十分確保しておくことで、余裕をもって株の長期投資に臨めます。

第二の原則:5年以内に使う必要のない資金は株式投資の原資となりえる

世界の株式は、長年にわたり、現預金や他の投資商品のリターンを一貫して上回ってきました。したがって長期で現金を寝かしておくというのは、非常にもったいないことになります。

もちろん、短期的には株式市場は調整、暴落することもありますが、5年間継続して低迷している相場というのは、世界を見渡すとあまりなさそうです。日本ではバブル崩壊後は株式市場、不動産市場と、長期のデフレとともに低迷したことがありましたが、これは稀有なケースです。日本株についても、アベノミクスで上がったとはいえ、バリュエーションをみるとバブル崩壊後のほとんどの時期よりも割安な水準にあります。

第三の原則:株式を長期保有せよ

株式は、インフレや定年後の支出に備える意味で、長年にわたりポートフォリオに組み込むべき最良の資産です。上記に示した通り、5年間は現金化する必要がなく、株式市場は長期で上昇傾向にあるので、長期保有すべきです。デイトレーダーで稼ぐ人もいますが、非常にまれだと考えた方がいいでしょう。ファイナンス学会でも短期の株価は予測しがたいといわれています。

保有期間 株式のパフォーマンスが債券を上回った確率
3年 67%
5年 69%
10年 80%
30年 99%

出典: Stocks for the Long Run, by Jeremy Siegel.

少なくとも米国では、株式を17年以上保有すれば、インフレに負けたことはないが、このようなことは債券には当てはまりません。実際5年間の時間軸で見ると、株が債券のパフォーマンスを上回る確率は7割近くあり、時間軸が伸びるほど、その確率は高まります。株式の対現金へのパフォーマンスについても同様のことが言えます。

リスクがリターンを導く

多くの人は、目標リターンに基づいて投資戦略を立てるが、これは本末転倒である。そうではなく、まずリスク管理に集中し、あなたが許容できるリスクに見合うリターンを受け入れるべきです。

以下の質問を自問して下さい。もし、ポートフォリオが、現在のレベルから、10%、20%、あるいは40%下落した場合、あなたは何をするでしょうか?生活水準を下げるべきか?定年後の場合、年金や子供達に頼るのか、あるいは、再度職場に復帰するのか、小さなマイホームに引っ越すのか?

これらの問いへの回答が、あなたのリスク耐性を示しています。ポートフォリオの価値の上昇・下落への耐性が低いほど、現預金をより多く保有すべきということになります。

あなたの株式・現預金配分率を決定する一助として、以下の表を参照してください: (出典:William Bernstein’s The Intelligent Asset Allocator

より高いリターンを得る過程で、ポートフォリオの ___%を失っても問題ない 株式に配分すべきポートフォリオの比率
35% 80%
30% 70%
25% 60%
20% 50%
15% 40%
10% 30%
5% 20%
0% 10%

つまりBernsteinによれば、あなたが、自分のポートフォリオ価値の20%以上の下落に耐えられないとすれば、50%以上を株式に投資すべきではないということになる。これは一つのわかりやすい物差しになります。

これを参考に株式をどの程度保有すべきかを検討し、アセットアロケーションを決めていきましょう。必要な現金、株式以外に残った資産は、住宅ローンの繰り上げ返済という形で不動産に当ててもいいでしょう。シンプルに現金と株だけでもいいかもしれません。

株へのアロケーションが決まった後は、大型株、小型株、成長株、米国株にどの程度配分すべきか、そして個別銘柄はどれくらい買うべきか、ということはポートフォリオを組む際に検討する課題です。 

行動指針:株式にどの程度投資すべきか、上述のBernsteinの表を参考にして決定しましょう。その際、株式市場の状況(好調か暴落時か)と個人の置かれた環境(年齢や年収の見通し)によって、リスク許容度が変わるものであることに留意してください。例えば、株式市場が好調な時は保守的に考えておくのが無難ですし、暴落時ではその逆があてはまります。